ペット保険にまつわるトラブル

 ペットには医療保険のような制度がないため病気になれば診療費はかかるものと認識している人は多いはずです。しかし、ペット保険のしくみまできちんと理解をしている人は多くないかもしれません。せっかくペット保険に加入したのに病院で支払った診療費が全額支払われなかったというトラブルも耳にします。これはどういうことなのでしょうか。

 ペット保険に関するトラブルを避けるためにも、知っておきたい補償のしくみと加入前に確認しておきたいポイントについて解説します。
 ペット保険の補償のしくみはペット保険取扱会社によって異なります。ここでは一般的な補償についてペット保険のトラブル例について取り上げてみます。

■継続契約に年齢制限がある

 ペット保険の継続契約は1年ごとに更新されるのが一般的です。継続契約は終身(一生涯)に更新できる保険もあれば、継続できる年齢に制限がある保険もあります。保険期間中に病気になっても次年度から継続できなくなることは原則ありませんが、継続の際の引受審査によりやむを得ず継続が断られる場合もあります。
飼っているペットが長寿な品種であれば、長くペット保険に加入していたいと思うことでしょう。しかし、希望通りに継続ができないということになればこれがトラブルの一因となる可能性もあります。

■保険金の支払い

(1)病院で支払ったのに保険金が支払われない

 ペット保険の保険金は、ペットがケガや病気を負った場合に病院にかかり診療費を支払った場合に支払われます。しかし、保険金の支払い対象にならないものもあります。例えば、ペットが出産する際に帝王切開の手術を受けた場合については、病気ではないため保険金の支払い対象にはなりません。保険の対象になっていなければ、それを知らずにペット保険取扱会社に請求しようとしても保険金が支払われることはありません。

(2)待機期間がある

 ペット保険には初年度契約に限り待機期間が存在する場合がほとんどです。待機期間とは、ペット保険の契約の始期日から保険の対象とならない一定期間のことです。例えば、病気の場合、保険始期日から30日間の待機期間があるペット保険であれば、待機期間中に発症した病気については待機期間中とその後についても保険金は支払われません。また、ガンの場合30日を超える待機期間を設けているペット保険もあります。

【待機期間の一例】

 保険金の支払いについては加入時に「契約のしおり」や「重要事項説明書」で理解しているはずですが、つい忘れてしまうことも考えられます。契約の際は、保険金の支払いにばかりに目がいってしまいがちです。トラブルを防ぐためにも保険金が支払われないケースについてもしっかり確認し覚えておきましょう。
 ペット保険に加入する目的は、もしものケガや病気の時の診療費に充てられることです。肝心の保険金についてトラブルが起こらないように、加入前に確認しておきたいポイントをおさえておきましょう。

■保険金が支払われない事項を確認する

 ワクチンなどの予防接種や、疾病予防のための検査・投薬など予防に関する費用は支払いの対象にはなりません。また、サプリメントやビタミン剤などの健康食品、漢方薬なども同様に保険金の支払い対象外です。

【補償対象外の一例】
・予防に関する費用
ワクチン接種費用、その他の疾病予防のための検査・投薬等

・ワクチン接種をすることで発症を防ぐことができる病気
犬パルボウイルス感染症、ジステンパーウイルス感染症、
フィラリア感染症、猫汎白血球減少症、猫ウイルス性鼻気管炎、
猫白血病ウイルス感染症、狂犬病など

・ケガ・病気にあたらないもの
妊娠、出産に関する費用、去勢手術、断耳、断尾、肛門腺除去など

・検査、代替医療等
健康診断、温泉療法など

・診療(診察または治療)にあたらないもの
療法食、サプリメント、ビタミン剤などの健康食品、漢方薬、
シャンプー、イヤークリーナーなど
■補償割合を理解する

 支払われる保険金の補償割合はペット保険によって異なります。補償割合は、100%、70%、50%などが用意されています。例えば、診療費が10万円だった場合、補償割合による支払われる保険金は次の通りです。

【診療費10万円の補償割合の例】

 補償割合は割合が高ければ保険金も多くなります。契約時に補償割合を理解し、納得した上で契約をすることが重要です。

■更新(継続)ごとに保険料は上がる(原則)

 ペット保険の保険料は、更新(継続)時のペットの年齢で決まります。年齢が上がるにつれ保険料も原則上がります。ペットが若いうちは割安だった保険料が気付けば割高になってしまったということになりかねません。保険料は初年度だけでなく、ペットが高齢になった年齢時の保険料も確認した上で契約しましょう。
 各ペット保険においてもクーリングオフ制度があります。契約の申込み日もしくは締結前交付書面としての重要事項説明書を受領した日のいずれか遅い日を起算日として8日以内であれば、クーリングオフ制度により申込んだ契約を撤回することができます。クーリングオフした場合は、既に払い込んだ保険料は返還されます。クーリングオフの手続きができる期間は短いので、契約時には補償内容と合わせてクーリングオフ制度についても確認しておきましょう。

 ペット保険のトラブルは、補償のしくみを理解すること、また、保険金が支払らわれない事項などを確認しておくことで回避することができます。このように補償内容などに納得してから契約することがトラブル回避のポイントとなります。
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