猫を飼う費用はいくらかかる?準備費用や医療費を解説

猫を飼う費用はいくらかかる?準備費用や医療費を解説

「いつかは猫を飼ってみたいけどお金が心配」と考えている人は多いのではないでしょうか。飼い主として猫の生涯に責任を持てるよう、飼育費用についてしっかり認識しておくことは大切です。
なお、一般社団法人ペットフード協会「令和5年 全国犬猫飼育実態調査」によると、猫の飼育に生涯必要な費用は149万8,728円(平均寿命15.79歳)となっています。

この記事では、猫を飼うために必要なグッズや準備費用、医療費などについて紹介するとともに、万が一のケガや病気の医療費に備えるためのペット保険についても解説します。猫を飼う際の参考にしてください。

猫を飼う前に準備するもの

初めて猫を飼うためには、どのようなものが必要になるのでしょうか。まずは、必ず必要となるキャットフードや爪とぎなどのケア用品についてご紹介します。

キャットフード

猫を飼う際、まず必要になるのがキャットフードです。
アニコム ホールディングス株式会社の「家庭どうぶつ白書2023」によると、猫のために1年間でフード・おやつにかけた費用の平均は4万9,103円となっています。

なお、キャットフードには、主にドライタイプウェットタイプの2つがあります。
ドライタイプは、水分量が少なく長期保存に適しています。一方、ウェットタイプは水分量が多く、食べやすいことが特徴です。しかし、開封後すぐに食べきる必要があったり、ドライタイプに比べると割高だったりします。

トイレ・猫砂

猫のトイレは、小さすぎるとストレスを感じさせてしまうため、サイズ選びが重要です。目安は体長の1.5倍程で、猫がトイレの中で1回転できる程度のものがおすすめです。

なお、猫のトイレにはカバー(蓋)のないものとあるものがあります。カバーのないタイプはシンプルで洗いやすくお手入れが簡単ですが、においが広がりやすいのがデメリットです。
一方、カバーのあるタイプはにおいが広がりにくいですが、猫が排泄をしたことに気づきにくいというデメリットもあります。

また、猫は砂のある場所をトイレと認識するため、トイレとともに猫砂を用意する必要があるほか、猫砂は定期的に交換することが大切です。

爪とぎ

猫は本能的に爪をとぐ習性があり、家具で爪とぎをすることがあります。壁や家具を守るためにも、専用の爪とぎをいくつか用意しておきましょう。

爪とぎはダンボールや麻などの素材でできたものから、カーペットタイプのものまでさまざまな種類がありますが、消耗品のため、なるべくお求めやすい価格のものがおすすめです。

食器類

猫の食器類は、フード用水用の2つを用意します。人間の食器でも代用できますが、猫専用の食器は、高さや深さなど猫にとって食べやすいように設計されています。
また、衛生的にも、人間と猫の使用する食器は分けることがおすすめです。

ブラシ

猫の身だしなみを整えるブラシには、いくつかの種類があります。ゴムやシリコンでできたラバーブラシは、マッサージをするように使えるため、ブラッシングが苦手な猫におすすめです。

また、毛並みを整えてつやを出したいときは、静電気が起きにくく、しっとりと仕上がる獣毛ブラシがいいでしょう。ほかに、毛玉をほぐしたり、ノミ取りをしたりするときは金属製のコームタイプがおすすめです。なお、ブラシは猫の好みや目的に合わせて、複数持つ人が多いようです。

おもちゃ

猫のストレスと運動不足を解消するため、おもちゃは複数あると便利です。

猫じゃらしぬいぐるみ知育玩具などがありますが、猫の月齢に合わせて、飽きないように工夫しながら用意することをおすすめします。

なお、猫はおもちゃで遊びながら体を動かすため、特に室内飼いの猫にはいくつか用意しておきたいところです。

ケージ

猫用ケージはキャットケージとも呼ばれ、生後3ヵ月までは必須のアイテムです。それ以降は留守中のいたずらや誤飲防止など、主に短時間猫を入れておく目的で使用できます。

なお、ケージはトイレやキャスター付きのものから、コンパクトタイプまで種類はさまざまです。また、素材はスチール製や木製、プラスチック製などから選ぶことができます。

ベッド

猫用ベッドは主にドーム型オープン型ソファー型ハンモック型の4種類に分類されますが、ボアやフリースなどのふわふわした暖かい素材で、丸洗いできるものがおすすめです。

なお、猫は狭くて暗い場所に入ると、外敵から攻撃される心配がないと感じて安心できます。そのため、猫用ベッドがあると、自分のにおいのついた場所をなわばりとして認識できたりリラックスできたりするので、ぜひ用意したいアイテムです。

猫を飼う際にできれば用意したいグッズ

猫を飼う際にできれば用意したいグッズ

猫を飼い始めたばかりの頃は、前述のアイテムがそろっていれば十分ですが、猫との暮らしに慣れて、余裕が出てきたら、できれば用意しておくと便利なグッズがあります。

続いては、猫の暮らしが豊かになったり、安全面に配慮できたりするグッズについて見ていきましょう。

キャットタワー

キャットタワーは、猫が遊んだり運動したりする大型の遊具で、猫のストレスや運動不足の解消に役立ちます。自宅の壁と床に突っ張り棒を渡して設置するタイプや、床に固定する据え置きタイプなどがあり、多くの場合は飼い主自身での組み立てが必要です。

なお、猫がのっても揺れが少なく、安定性に優れたものがおすすめです。

リード付きハーネス

リード付きハーネスとは、猫が外出するときに使用するアイテムです。猫の胴体にハーネスを装着し、ハーネスにリードを取り付けて人間が持つことで、猫の動きをコントロールして、外出先での事故やトラブルから保護することができます。また、散歩や動物病院への訪問時のほか、災害時にも役立ちます。

なお、ハーネスを選ぶ際に大切なポイントとなるのは、サイズです。小さいハーネスを選んでしまうと猫のストレスになり、反対に大きすぎると脱げて逃げ出す危険性が高まるため注意が必要です。

猫を迎え入れる際にかかる費用

猫を初めて迎え入れる際には、いくつか準備しなければならないことがあります。
一般的に猫を迎え入れる際にかかる、マイクロチップの装着やワクチン接種などの費用についてご紹介します。

マイクロチップ装着費用

2022年6月1日より、ブリーダーやペットショップなどで販売されるすべての猫にマイクロチップの装着が義務付けられました。

マイクロチップは長さ8〜12mm、直径2mm程度の小さな円筒形の電子標識器具で、専用の注射器を使って猫の体に埋め込みます。マイクロチップに割り当てられた15桁の識別番号を専用リーダーで読み込むことで、飼い主の個人情報(氏名や住所、電話番号など)を認識できるため、猫が迷子になった場合や災害時に身元を確認することができます。

なお、マイクロチップの装着は獣医師が行う必要があり、費用は動物病院によって異なりますが、一般的には3,000〜1万円程度です。

装着後は、識別番号と飼い主の情報を結び付けるため、公益社団法人日本獣医師会が運営する登録データベース「犬と猫のマイクロチップ情報登録」を通じて個人情報を登録しますが、300円(2024年4月以降は400円)の登録料が必要になります。

ワクチン接種費用

ワクチンは通常、子猫の時期に2回、その後は年に1回接種します。費用は動物病院によって異なります。

公益社団法人日本獣医師会「家庭飼育動物(犬・猫)の診療料金実態調査(平成27年度)」によると、「猫混合ワクチン(Felvを含まないもの)」の1回あたりの接種費用は4,474円(中央値)です。

健康診断費用

予防接種を受ける際は、健康診断も併せて受けることをおすすめします。身体検査や血液検査などで猫の健康状態を知ることができるため、年に1度は健康診断を受けることが大切です。

なお、健康診断(1日ドック)の費用は動物病院によって異なりますが、公益社団法人日本獣医師会「家庭飼育動物(犬・猫)の診療料金実態調査(平成27年度)」によると、1万4,021円(中央値)です

去勢や避妊手術の費用

猫は望まない妊娠や性ホルモンに関連する病気を防ぐためにも、発情期を迎えるまで(生後6ヵ月頃まで)に去勢・避妊手術を受けておくといいでしょう。

費用は動物病院によって異なりますが、公益社団法人日本獣医師会「家庭飼育動物(犬・猫)の診療料金実態調査(平成27年度)」によると、去勢は1万2,652円卵巣切除による避妊手術は1万9,833円卵巣子宮切除による避妊手術は2万986円です(いずれも中央値)。

猫を飼うのに毎月かかる費用

爪とぎグッズや猫砂などの猫の消耗品は、必要なタイミングで新しいものを買って交換する必要があります。また、猫の快適な飼育環境のためには温度管理も大切です。

そのため、猫を飼育する家庭の光熱費は高くなりやすい傾向があるようです。

ここでは、猫を飼うのに毎月かかる日用品の費用と光熱費を見ていきましょう。

日用品の費用

猫の日用品である爪とぎグッズやおもちゃなどは消耗品のため、一定の期間で交換することをおすすめします。

また、猫砂についても、こまめな交換が必要です。猫が排泄をしたタイミングで、汚れた砂を都度取り除くとともに、月に1〜2回はトイレの中の砂をすべて交換しておくと、においや雑菌が溜まりにくくなります。

なお、「家庭どうぶつ白書2023」によると、1年間にかけた猫の日用品の費用の平均は1万3,429円です。

光熱費

猫が過ごしやすい温度は20〜28℃、最適な湿度は50〜60%とされています。快適な飼育環境のためには、エアコンやホットカーペット、加湿器などでの温度や湿度の管理が大切です。

特に温度については、低すぎても体調を崩してしまいますが、高すぎても熱中症の危険があるので、十分に注意する必要があります。

なお、「家庭どうぶつ白書2023」によると、1年間にかけた光熱費(猫の飼育に伴う追加分)の平均は1万5,661円です。

猫の飼育において最も高額になりやすいのは医療費

猫の飼育において最も高額になりやすいのは医療費

猫を飼育する際は、さまざまなグッズやフード、日用品を用意する必要があり、それぞれ費用がかかります。中でも、猫の飼育において最も高額になりやすいのが、医療費です。

猫にも人間と同じようにさまざまな病気があり、ケガや病気の程度によっては手術が必要な場合もあります。手術の内容によっては数十万円必要になることがあるほか、退院後も通院してこまめに治療に通わなければならない場合もあるため医療費は高額になりがちです。
また、猫には人間のように公的な保険制度がないため、治療費は飼い主の全額自己負担となってしまいます。

なお「家庭どうぶつ白書2023」によると、1年間にかけた猫のケガや病気の治療費の平均は3万1,138円です。

猫の高額な医療費に備えて、ペット保険の加入がおすすめ

猫を飼う際に必要な費用について解説しましたが、最も大きな費用がかかるのは医療費です。猫には公的な保険制度がないため、治療費は全額飼い主の自己負担となります。

また、動物病院はすべて自由診療となるため、病院によって治療費が異なり、施術後の請求金額を見て驚いたという話も少なくありません。高額な医療費に備えるためにも、ペット保険の加入をおすすめします。
ペット保険は、通院・入院・手術の3つが主な補償対象となり、健康診断や予防接種などの病気の「予防」に関わる行為や、避妊・去勢手術は補償対象外になりますが、幅広いケガや病気の治療費を補償してくれます。

なお、ペット保険は保険会社やプランによって補償内容や保険料が大きく変わるため、大切なペットが十分な治療を受けられるよう、複数の保険会社でそれぞれのプランを比較検討して、ご自身とペットに合った保険を選びましょう。

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