犬を飼う費用はいくら必要?準備費用や医療費などを解説

犬を飼う費用はいくら必要?準備費用や医療費などを解説

新たな家族の一員として犬を迎えたいと思いつつも、費用面で二の足を踏んでいる人は多いのではないでしょうか。一般社団法人ペットフード協会「令和5年 全国犬猫飼育実態調査」によると、犬の飼育に生涯必要な費用は244万6,068円(平均寿命は14.62歳)です。

この記事では、犬を飼うのに必要な準備費用や医療費などについて解説するとともに、ケガや病気の際にかかる高額な医療費に備えるためのペット保険についても解説します。これから犬を飼い始めたいと考えている人は、ぜひ参考にしてください。

犬を飼う前に準備するもの

犬を飼うためには、どのようなものを準備する必要があるのでしょうか。必ず事前に準備しておきたいドッグフードやお散歩アイテムなどについてご紹介します。

ドッグフード

犬を飼う際、まず必要になるのがドッグフードです。アニコム ホールディングス株式会社の「家庭どうぶつ白書2023」によると、犬のために1年間でフード・おやつにかけた費用は、平均6万6,066円です。

なお、ドッグフードは大きく分けてドライフードとウェットフードの2つの種類があります。ドライフードは水分量が少なく、保存がきくことが特徴です。一方、ウェットフードは水分量が多いほか、食いつきが良いのが特徴です。

いずれも、メーカーや商品によって価格は大きく異なります。なお、犬の健康のためには、なるべくヒューマングレード(人間の食事と同等の品質)のものがおすすめです。

首輪・ハーネス

犬は散歩に出掛けるようになると、首輪やハーネスが必要になります。
天候が悪いときに散歩をすることが多い場合は、水濡れに強いものを、散歩の際に首輪やハーネスの装着を嫌がる場合は、ワンタッチで装着できるものを選ぶといいでしょう。

また、首輪のサイズは、首と首輪のあいだに、指2本分が入るくらいのものがおすすめです。

サークル・ケージ

サークルやケージは、犬が安全に遊んだり休んだりできるスペースを作るためのアイテムです。天井のないタイプをサークル天井のあるものをケージといい、トイレトレーニングや留守番の際にも役立ちます。サークルは、後から拡張できるタイプがあり、体の成長など状況に応じて使い方を変えやすいのが特徴です。一方、ケージは、天井があるため脱走の心配がないほか、落下物から犬を守ることができます。

なお、サークルやケージのサイズは、犬の大きさや設置する場所の広さに合わせて選ぶことをおすすめします。

トイレトレー・トイレシーツ

犬のトイレトレーとトイレシーツは、室内で排泄するための必須アイテムです。トイレトレーニングやいたずら防止のためにも、トイレ用品は必ず用意しましょう。

トイレトレーの種類はさまざまで、フラットな形状のものやはみ出し防止形状のものなどがありますが、いずれも網の下に使い捨てのトイレシーツを敷いて使用します。
なお、初めて購入する際は、フラットな形状がおすすめです。また、トイレトレーは犬の大きさや設置する場所の広さ、使用目的に合わせてサイズを選ぶことをおすすめします。

食器類

食器類は、犬の体格や口の大きさに合わせて、最適なものを選ぶことがポイントで、フード用水用の2種類を用意します。

なお、素材はプラスチックよりも、ある程度重さがあって安定感があるステンレスがおすすめです。また、ステンレスの食器はずれにくいため犬が食事をしやすく、噛んでも壊れないので、噛み癖のある犬でも安心して使用できます。

リード

犬の放し飼いやリードなしでの散歩は法律で禁止されているため、外出の際はリードが必要です。日頃の散歩にはスタンダードタイプ、公園や海など周りに人のいない広い場所での散歩には、犬の動きに合わせてリードが伸びるフレキシブルタイプが適しています。

しかし、フレキシブルタイプは使用が禁止されている場所もあるため注意が必要です。なお、素材はナイロン、革、金属などがありますが、初めて購入する場合は取り扱いやすいナイロン製をおすすめします。

おもちゃ

犬のおもちゃは、犬と飼い主が楽しく遊べるだけではなく、ストレス運動不足の解消にも役立ちます。
音の鳴るぬいぐるみやボール、ロープ、噛むおもちゃ、知育玩具などさまざまな種類があるため、犬の好みに合ったおもちゃを選びましょう。

犬を迎え入れる際にかかる費用

犬を迎え入れる際は、グッズの用意以外にもいくつかの準備が必要です。一般的に犬を迎え入れる際にかかるマイクロチップの装着や畜犬登録、ワクチン接種などの費用についてご紹介します。

マイクロチップ装着費用

2022年6月1日より、ブリーダーやペットショップなどで販売されるすべての犬にマイクロチップの装着が義務付けられました。

マイクロチップは長さ8〜12mm、直径2mm程度の小さな円筒形の電子標識器具で、専用の注射器を使って犬の体に埋め込みます。
マイクロチップに割り当てられた15桁の識別番号を専用リーダーで読み込むことで、飼い主の個人情報(氏名や住所、電話番号など)を認識できるため、犬が迷子になった場合や災害時に身元を確認することができます。

畜犬登録費用

畜犬登録とは、犬を飼う際に飼い主が必ず行わなければならない手続きです。
畜犬登録することで、飼い主と犬の情報を明確にして犬が迷子になることを防止するほか、狂犬病の予防接種を済ませているという証明にもなります。

飼い主は犬を飼い始めてから30日以内(子犬の場合は生後90日を経過した日から30日以内)に狂犬病の予防接種を受けさせ、証明書を持って市町村の定める管轄(多くの場合、保健所)で登録をし、鑑札(首輪につける札)をもらわなければなりません。

なお、登録費用は自治体によって異なるため、事前に自治体のウェブサイトなどで確認しておきましょう。

ワクチン接種費用

ワクチンは、初年度(一般的に生まれてから4ヵ月頃まで)に3回に分けて接種し、その後は1年に1回ずつ追加接種をする必要があります。

なお、公益社団法人日本獣医師会「家庭飼育動物(犬・猫)の診療料金実態調査(平成27年度)」によると、犬混合ワクチン(5種・6種)の接種費用は1回あたり6,388円(中央値)です。

狂犬病の予防接種費用

狂犬病の予防接種は法律で義務付けられており、生後3ヵ月以上のすべての犬に対して年1回の接種が必要です。狂犬病は人間にも感染する可能性があり、発症すると死に至る確率の高い非常に危険な病気なため、接種を怠った場合は罰金が科されることもあります。

公益社団法人日本獣医師会「家庭飼育動物(犬・猫)の診療料金実態調査(平成27年度)」によると、狂犬病の予防接種費用は1回あたり2,944円(中央値)です。

去勢や避妊手術費用

犬に去勢や避妊手術を受けさせるかは、飼い主の判断で決めなくてはなりません。望まない妊娠やトラブル、性ホルモンに関連する病気を防ぐためにも、発情期を迎えるまで(生後6ヵ月頃まで)に去勢・避妊手術を受けておくことをおすすめします。

費用は動物病院によって異なりますが、公益社団法人日本獣医師会「家庭飼育動物(犬・猫)の診療料金実態調査(平成27年度)」によると、去勢は1万7,675円、卵巣切除による避妊手術は2万6,780円、卵巣子宮切除による避妊手術は2万7,413円です(いずれも中央値)。

犬を飼うのに毎月かかる費用

犬を飼うのに毎月かかる費用

犬を飼うためには、食費や医療費のほかにも毎月さまざまな費用がかかります。ボディケア費やドッグラン利用料、しつけ(トレーニング)料などについて詳しく見ていきましょう。

ボディケア費

家庭どうぶつ白書2023」によると、1年間で犬のシャンプー・カット・トリミングにかけた費用の平均は、4万7,273円です。ペットサロンでは、シャンプー・カット・トリミングだけでなく、耳そうじや爪切りなどのケアも受けることができますが、価格はペットサロンによって大きく異なります。
なお、トリミングの頻度の目安は2〜3ヵ月に1回ですが、トイ・プードルなどの毛が伸びやすい犬種は、月1回程度が目安です。

ドッグラン利用料

ドッグランとは、犬が自由に遊んだり運動したりすることができる場所や施設のことで、全国に有料、無料の施設が多く整備されています。
普段の散歩ではリードをつけて近所を歩くことしかできず、犬が思いきり走り回れる機会が少なくなっていますが、ドックランでは決められたスペースの中でリードを外し、のびのびと運動させることができるのが特徴です。

なお、ドッグランは公園やキャンプ場、商業施設などに併設されていますが、近年は高速道路のサービスエリアやパーキングエリアにも無料のドッグランが整備されています。
また、有料の場合、料金は地域や施設によって大きく異なります。「家庭どうぶつ白書2023」によると、1年間でドッグランにかける費用の平均は、3,466円です。

しつけ(トレーニング)料

しつけ(トレーニング)は、飼い主と犬がいっしょに楽しく過ごすために必要ですが、犬の安全のためにも大切です。「お座り」「待て」やトイレなど、日常に関するしつけのほか、いたずらせずに留守番できるようにしたり、無駄吠え・噛みつきなどの問題行動があれば改善したりすることも重要になります。

なお、犬のしつけは飼い主自身で行うのが一般的ですが、プロのドッグトレーナーや訓練士に依頼する人もいます。「家庭どうぶつ白書2023」によると、1年間でしつけ・トレーニングにかける費用の平均は7,930円です。

洋服代

近年、デザインが多様化し、専門店も増えてきた犬の洋服は、メーカーやブランドによって大きく価格が異なります。

家庭どうぶつ白書2023」によると、1年間で犬の洋服にかける費用の平均は1万2,853円です。犬の洋服はデザインだけでなく、着心地の良さや季節に合わせた洋服を選んであげましょう。

犬の飼育において最も高額になりやすいのは医療費

犬を飼育する際は、さまざまなグッズを用意したり、フードやおやつ、日用品などを用意したりする必要があります。中でも、犬の飼育において最も高額になりやすいのが医療費です。

犬のケガや病気の程度によっては手術が必要な場合もあります。手術の内容によっては数十万円必要になることがあるほか、退院後も通院して小まめに治療に通わなければならない場合もあるため医療費は高額になりがちです。

また、犬には公的な保険制度がないため、治療費は飼い主の全額自己負担となってしまいます。

なお「家庭どうぶつ白書2023」によると、1年間にかけた犬のケガや病気の治療費の平均は6万7,367円です。

動物病院は自由診療

すべての動物病院は自由診療で犬の治療費は動物病院によって料金設定が異なるため、同じケガや病気でも治療費に差が出ます。
また、人間と違い犬には公的な保険制度がありません。そのため、治療費は全額飼い主の自己負担となり、入院や手術が必要になったり定期的な通院が必要になったりすると高額になるケースもあります。

犬の医療費が高くなるケース

犬の医療費が高くなるケース

小型犬よりも大型犬のほうがケガや病気の際に必要となる薬の量が多くなるため、治療費も高くなる傾向があります。
また、犬が高齢になると、慢性的な病気にかかりやすくなり、毎月治療費がかかるケースもあります。

犬の高額な医療費に備えてペット保険の加入がおすすめ

犬を飼うには、フードや日用品、医療費など、さまざまな面でお金がかかります。飼い始めてから経済的な理由で行き詰まることがないよう、あらかじめ必要な費用を考えておかなければなりません。

中でも、大きな費用がかかるのは医療費で、犬の高額な医療費負担に備えておすすめしたいのが、ペット保険です。ペット保険は、通院・入院・手術の3つが主な補償対象となり、健康診断や予防接種などの病気の「予防」に関わる行為や、避妊・去勢手術は補償対象外になりますが、幅広いケガや病気の治療費を補償してくれます。

なお、ペット保険は保険会社やプランによって補償内容や保険料が大きく変わるため、大切なペットが十分な治療を受けられるよう、複数の保険会社でそれぞれのプランを比較検討して、ご自身とペットに合った保険を選びましょう。

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