300万円で資産運用するなら?運用方法の種類とポイントを解説
ここ数年は緩やかに上昇していますが、1997年の給与所得額の平均である467万円には届いていません。日本がインフレ傾向にあることを踏まえると、実質減少しているといえるでしょう。年金支給額や退職金も減少傾向にあり、さらに日本では超低金利政策が続いており、預貯金でお金を増やすことは望めません。
そのような中で、運用によって手持ちの資金を増やそうという動きが活発になり、政府でもさまざまな優遇政策を打ち出しています。今回は、手元に300万円がある場合、どのように資産運用すべきか、注意点を含めて解説します。
監修者 AFP/2級FP技能士 吉田祐基
ライター・編集者。お客様向けの会報誌や、記事、Webサイト、PDF資料といった各種コンテンツ制作のディレクション業務ほか、Webメディアの運営を担当。
目次
300万円を運用した場合のシミュレーション
ここしばらく続いた超低金利を脱して上昇傾向にありますが、0.1%の場合、300万円を銀行に預けていても、10年間で3万円程度しか増えません。
さらにインフレが進めば、元本の価値そのものが減ってしまう可能性があります。そこで、資産運用を行う重要性が高まっているのです。
まずは、300万円を10年間運用した場合のシミュレーションを見てみましょう。
■利回り別・300万円の運用シミュレーション
1% |
2% |
3% |
4% |
5% |
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1年目 |
303万円 |
306万円 |
309万円 |
312万円 |
315万円 |
2年目 |
306万円300円 |
312万1,200円 |
318万2,700円 |
324万4,800円 |
330万7,500円 |
3年目 |
309万903円 |
318万3,624円 |
327万8,181円 |
337万4,592円 |
347万2,875円 |
4年目 |
312万1,812円 |
324万7,296円 |
337万6,526円 |
350万9,576円 |
364万6,519円 |
5年目 |
315万3,030円 |
331万2,242円 |
347万7,822円 |
364万9,959円 |
382万8,845円 |
6年目 |
318万4,560円 |
337万8,487円 |
358万2,157円 |
379万5,957円 |
402万287円 |
7年目 |
321万6,406円 |
344万6,057円 |
368万9,622円 |
394万7,795円 |
422万1,301円 |
8年目 |
324万8,570円 |
351万4,978円 |
380万310円 |
410万5,707円 |
443万2,366円 |
9年目 |
328万1,056円 |
358万5,278円 |
391万4,320円 |
426万9,935円 |
465万3,985円 |
10年目 |
331万3,866円 |
365万6,983円 |
403万1,749円 |
444万733円 |
488万6,684円 |
なお、目標額を元本の倍の600万円とした場合、利回り別にシミュレーションすると下記のようになります。
■目標額に到達するまでの利回り別運用期間
1% |
2% |
3% |
4% |
5% |
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運用期間 |
69年8か月 |
35年 |
23年5か月 |
17年8か月 |
14年2か月 |
できるだけ高い利回りの商品を選んで資産運用を行ったほうが増えるお金は多いですが、その分リスクも大きくなることに注意しなければなりません。
どれだけ資産を増やすかといった目標額や資産運用の目的などを考えた上で、適切な資産運用方法を選びましょう。
300万円で行う資産運用の種類
投資信託
投資家の投資額に応じ、運用によって得た利益が分配されます。
集めた投資金をどこにどう投資するかは、ファンドごとの運用方針にもとづいており、運用状況は定期的に発行されるレポートで確認できます。
投資信託は、必ずしも利益が得られるとは限らず、元本割れすることもあります。
購入時より値下がりしていれば、売却額が下がる可能性もあるでしょう。
しかし、長期的・安定的に資産運用を行いたいのなら、投資信託は向いています。
分散投資でリスクを低減でき、手数料はかかりますが運用を専門家に任せられるため、知識や経験が少なくてもスタートしやすい点もメリットです。
iDeCoやNISAで投資信託を利用すれば、税制優遇措置も受けられます。
ETF
投資信託の一種ですが、株式などと同様に証券取引所に上場しているため、リアルタイムで価格が変動します。
株式指数など、特定の指標に連動するように設計されており、値動きがわかりやすい点も特徴です。
ETFには、投資信託と同様に分散投資ができる上、コストは投資信託より抑えられるというメリットがありますとはいえ、ETFは自分でタイミングを見極めて売買を行うため、ある程度投資や運用の経験がある人に適しています。
REIT
日本では頭に「JAPAN」のJをつけて、「J‐REIT」と呼ばれることもあります。
REITは投資家から集めたお金でオフィスビルや商業施設、マンションといった不動産を購入し、その賃貸収入や売買益を投資額に応じて投資家に分配する資産運用方法です。
不動産に投資するといっても不動産のオーナーになるわけではないため、建物やた土地を購入したり、管理したりする必要はありません。
仕組みとしては投資信託と同じであり、REITを1つ購入するだけで分散投資の効果があります。
なお、REITもETFのように上場しているため、リアルタイムで価格が変動し、取引時間中であればいつでも売買をすることができます。
資産運用を行っていて、急に現金が必要になったときも対応が可能です。
ただし、元本保証された商品ではないため、価格が下がって損失が出る可能性があることには注意が必要です。
株式投資
購入時より高い金額で株式を売ることで得られる「売却差益(キャピタルゲイン)」と、株式を保有することで得られる「配当金(インカムゲイン)」という2つの利益が期待できます。
一定数の株式を保有していると商品やサービスなどの株式優待を得られる場合もあります。
株式は、最低でも数万円の初期投資額が必要なものが多く、中には最低購入代金が100万円を超える株式もあります。値動きが大きいため、成功すれば大きな売却益を狙えますが、その分損失のリスクも大きいです。
運用するにはある程度の知識や経験が必要になるため、初心者の場合、慣れるまではできるだけ安定性の高い株式を選び、配当金や株主優待を得る方法から試してみるといいもしれません。
外貨預金
日本円の金利はかなり低い状態が続いていますが、外貨預金では外国通貨の比較的高い金利が適応されるため、預けているだけでお金が増える可能性があります。
また、預入時より引出時に円安になっていれば、為替差益を得られるメリットもあり、インフレリスクに備えることもできるでしょう。為替レートの変動によっては、損失が出ることもあります。
300万円を外貨預金で資産運用する場合は、いくつかの通貨に分散することでリスク分散するのがおすすめです。
外貨を交換する際には為替手数料がかかるため、頻繁に預けたり引き出したりしたい人には不向きです。
ただし、外貨のまま引き出す際は、為替手数料がかからないこともあるため、海外で外貨を使う機会がよくある人に便利です。
300万円を資産運用するポイント
必要以上に恐れることはありませんが、大切な300万円を減らしてしまわないために、下記のようなポイントに注意してください。
運用の目的を明確にする
住宅購入費用や教育資金、老後資金など、何のための費用かを考えると、目標とする金額や期間などを考えやすくなります。それに合わせて必要な利回りを考え、自分に合った資産運用の方法を選んでください。
自分のリスク許容度を理解する
例えば、「年齢が若ければ、損失を出しても長期的な運用で回復できる可能性があるので、リスク許容度は高め」「目標が老後資金を貯めることなので、できるだけ減らさないようにリスク許容度は低め」など、考え方はさまざまです。
一般社団法人全国銀行協会では、リスク許容度を診断する「あなたのリスク許容度診断テスト」を提供していますので、使ってみてもいいでしょう。
長期投資を基本とする
短期的に売買しないことで、売買のコストを抑え、値動きのタイミングを読む必要もありません。
一時的に金融商品が値下がりしたとしても、長期的に保有していることで回復し、再び値上がりする可能性も十分にあるでしょう。
また、長期投資には複利効果を活かせるというメリットもあります。複利とは、資産運用で得た利益を元本に組み入れて投資を行う方法のことです。
「利益が利益を生む」状態になると、長期的に投資を行うことでさらに利益が増幅していきます。
勉強や専門家への相談を行う
効率良く資産運用を行うためには、プロに相談するのもひとつの手段です。
ただし、資産運用についてのセミナーや勉強会で伝えられる知識が、すべて正しいとは限りません。自分に合わないものだったり、中には特定の金融商品の購入をすすめたりするものもあります。
参加する際は、情報の発信元が信頼できるのかを調べ、得た知識を鵜?みにせず、自分でも勉強しながら資産運用を行ってください。
資産運用の勉強方法については、下記の記事をご覧ください。
資産運用の勉強方法は?基礎知識やおすすめの勉強方法を紹介
300万円があったら、資産運用でお金を増やそう
資産運用にはリスクもありますから、自分の目的や目標、リスク許容度に合わせ、最適な資産運用の方法を探してみてください。
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外貨預金 オリコン顧客満足度ランキング
監修者 AFP/2級FP技能士 吉田祐基
ライター・編集者。編集プロダクションで、Web・紙媒体問わず主に金融系コンテンツの制作を担当後、HRテック企業に制作ディレクターとして入社。お客様向けの会報誌や、記事、Webサイト、PDF資料といった各種コンテンツ制作のディレクション業務ほか、Webメディアの運営を担当。