ネット証券会社を徹底比較!証券会社の選び方を4つのポイントから解説

これから株を始めたいという人にこそ、おすすめのネット証券。口座開設や取引がオンラインで完結する利便性に加えて、手数料が安く、少額からでも始めやすいという特長があります。一方で、店舗型証券とは異なり、対面でのサポートがないため、情報収集と判断はすべて自分で行う必要があります。そのため、投資初心者にとっては自分が必要なサポートが受けられる証券会社を選択することが重要です。ここでは、ネット証券を比較する際に考慮すべきポイントを解説します。
市川雄一郎

監修者 市川雄一郎

保有資格:CFP(R)、1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)

証券会社選びのポイント@ 手数料

「約定」(株式の売買取引が成立すること)には手数料が発生します。各証券会社によって手数料がいくら掛かるかは異なりますが、低い方が好ましいといえるでしょう。ネット証券は基本的に、店舗型証券と比較して手数料が圧倒的に安い傾向がありますが、ネット証券各社の中でも手数料は異なります。一回一回の手数料の差はわずかだとしても、この違いが将来的には大きな金額となる可能性があるため、なるべく手数料が安い証券会社を選びたいところです。

取引頻度と取引金額に注目する

手数料に注目する際に考慮すべきなのは、自身が通常どの程度の金額・頻度で取引を行うかです。多くの証券会社が、取引の都度に手数料が発生するプランと、手数料が一日の取引全体で一定の額になるプランを提供しています。取引頻度と取引金額を考慮して、自分に合ったプランやコースを提供している証券会社を選ぶことが重要です。

例えば、1日に何度も少額取引を行うデイトレーダーの場合は、一日定額の手数料が適しています。逆に、取引頻度は低く高額取引が中心の場合は、1回あたりの取引手数料が安い証券会社を選ぶといった投資スタイルに合わせて比較することが重要です。

現物取引の手数料比較表:1約定ごとに手数料が発生するプラン

会社名

SBI証券

楽天証券

GMOクリック証券

SBIネオトレード証券

プラン名

スタンダードプラン
※手数料無料化が適用されない場合

超割コース
※手数料無料化が適用されない場合

1約定ごとプラン

一律プラン

~5万円

55円

55円

50円

50円

~10万円

99円

99円

90円

88円

~20万円

115円

115円

100円

100円

~50万円

275円

275円

260円

198円

~100万円

535円

535円

460円

374円

~150万円

640円

640円

550円

440円

~3,000万円

1,013円

1,013円

880円

660円

3,000万超

1,070円

1,070円

930円

880円

その他

手数料の月間合計額1.1%相当のポイント付与

手数料の月間合計額1%相当の「楽天ポイント」付与。

2023年12月26日時点の情報です。手数料はすべて税込表示となります。掲載情報は各社WEBサイトを参照しておりますが、検討時には公式WEBサイトで最新の情報をご確認ください。
現物取引の手数料比較:定額プラン

会社名

SBI証券

楽天証券

GMOクリック証券

SBIネオトレード証券

プラン名

アクティブプラン
※手数料無料化が適用されない場合

いちにち定額コース
※手数料無料化が適用されない場合

一日定額プラン

定額プラン

~50万円

0円

0円

0円

0円

~100万円

0円

0円

0円

0円

~150万円

1,238円

2,200円

1,238円

880円

~200万円

1,238円

2,200円

1,238円

1,100円

~300万円

1,691円

3,300円

1,691円

1,540円

300万円超以降、100万円ごとの加算金額

295円

1,100円

295円

295円

2023年12月26日時点の情報です。手数料はすべて税込表示となります。掲載情報は各社WEBサイトを参照しておりますが、検討時には公式WEBサイトで最新の情報をご確認ください。

手数料無料プランを提供している証券会社

SBI証券と楽天証券では、国内株式の現物取引手数料が無料になるコースを提供しています。適用条件を満たすことで、約定金額にかかわらず手数料が0円になるので、ぜひチェックしておきたいところです。

SBI証券の利用条件は、各種交付書類(下の表に掲載)を郵送から電子交付に切り替えることです。「スタンダードプラン」、「アクティブプラン」のいずれも対象です。

楽天証券では、従来の手数料プラン「超割コース」、「1日定額手数料コース」の他に追加された「ゼロコース」を選択することで手数料0円が適用されます。なお、ゼロコースを選択するには、SOR/Rクロスへの同意が必須となりますので、利用条件を理解した上で選択しましょう。

SBI証券

楽天証券

開始日

2023年9月30日

2023年10月1日

適用条件

次の3つの交付書類を郵送から電子交付に切り替える。
@円貨建・米株信用の各種報告書
A外貨建(米株信用を除く)の各種報告書
B特定口座年間取引報告書

・国内株取引手数料のコース選択で、ゼロコースを選択
・楽天証券のSOR/Rクロス利用同意が必要

その他

インターネットコースのインターネット取引のみ

証券会社選びのポイントA 開設口座数のシェア

口座数が多いということは、その分、多くの人々に信頼されている証しとなる。主要なネット証券には、SBI証券や楽天証券、マネックス証券、松井証券、auカブコム証券などがある。

主なネット証券会社の口座開設数

証券会社名

口座数

SBIグループ
(SBI証券、SBIネオモバイル、SBIネオトレード、FOLIOを含む)

1,1063万 
※2023年9月末時点

楽天証券

924万  
※2023年6月末時点

マネックス証券

225万  
※2023年11月末時点

auカブコム証券

163万  
※2023年11月末時点

松井証券

149万  
※2023年9月末時点

※各社の決算報告資料や月次の開示情報より引用。最新の情報は各社公式WEBサイトをご確認ください。
口座数で見ると、SBIグループの口座がトップシェアを占めていますが、他の証券会社もかなり多くの口座が開設されています。証券会社を選ぶ際には、これらの主要なネット証券と比較して口座数のシェアを確認すると良いでしょう。

証券会社選びのポイントB 取り扱い商品のラインナップ

少額から始める株式取引

少額から気軽に取引を始めたい株初心者にとって、1株単位で取引ができる「単元未満株」がある証券会社を選ぶことも一つの選択肢です。例えば、SBI証券の「S株」やマネックス証券の「ワン株」、auカブコム証券の「プチ株」、楽天証券の「かぶミニ」などがこれに当たります。ただし、各証券会社によって取り扱い状況は異なるので各社の公式サイトで最新の情報を確認しましょう。

将来的にチャレンジしたい商品にも目を向ける

初心者の方は、まず比較的理解しやすい国内株の取引や、少額から始められる投資信託が主な選択肢となるでしょう。ただし、外国株やIPO(新規公開株)など、さまざまな投資商品があり、将来的にはこれらに手を広げることでより大きな利益を追求できる可能性もあります。各証券会社が扱う商品は異なるため、国内株や投資信託以外の商品に興味がある場合は、取扱商品を比較することも重要です。
■外国株
外国株に投資したい場合、まずどの国の株を扱っているかの観点から証券会社を選ぶことが重要です。例えば、SBI証券や楽天証券は、米国株・中国株・アセアン株など様々な外国株を取り扱っています。マネックス証券は米国株に強みを持ち、購入時の為替手数料が発生しないなど、コスト面でもメリットがあります。

■IPO(新規公開株)
IPO(新規公開株)の取り扱いの豊富さに注目するのも良いでしょう。IPOは新たに上場する企業の株式で、成長が期待され、比較的利益が見込まれるため、人気があります。ネット証券でIPOに参加するには、抽選方式が一般的です。SBI証券や楽天証券はIPOの取り扱い数が多いですが、競争が激しいことにも注意が必要です。逆にシェア率が低い証券会社は取り扱い数が少ないものの、競争相手も少ないといえるでしょう。

証券会社選びのポイントC 情報分析ツールとサポート体制

ネット証券では、情報収集から売買の判断、発注の操作まで全てを自分で行うことが基本です。そのため、各証券会社のコールセンターの使いやすさや、投資家サポートの仕組みも重要なポイントとなります。また、各証券会社では、投資スキル向上のためのオンラインセミナーや最新の株式情報の提供、アナリストレポートやメールマガジンなど、様々なサポートが提供されています。不安や疑問を解消しながら取引するために、これらのサポートの種類を確認しましょう。

加えて、情報画面や取引ツール、アプリの使いやすさも重要です。取引のタイミングを逃さないためにも、画面上のデザインも含めて、使いやすいツールを備えた会社を選ぶことが大切です。ただし、シンプルなツールでサポートが不足していると感じる場合もあれば、機能が多すぎて使いこなせないと感じる場合もあります。実際に操作してみて使い勝手を確認すると良いでしょう。

各社の公式サイトを比較しながら決めるのも良いですが、無料で口座開設までできる場合が多いため、複数の証券会社で口座を開設してみることも一つの手段。デモトレードや少額取引を試しながら、自分に合ったネット証券を見つけるのも良いでしょう。ここで紹介した4つのポイント(手数料、シェア率、取り扱い商品のラインナップ、ツールやサポート体制の充実度)を軸に各社を比較・検討することで、自分に適したネット証券会社を見つけてください。


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市川雄一郎

監修者 市川雄一郎

生活者目線の自由なトークが持ち味。物腰やわらかで明快な講義は、全国に多数のファンがいる。グローバルファイナンシャルスクール校長。CFP(R)。1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)。日本FP協会会員。日本FP学会会員。1969年生まれ。グロービス経営大学院修了(MBA/経営学修士)。日本のFPの先駆者として資産運用の啓蒙に従事。ソフトバンクグループが創設した私立サイバー大学で教鞭を執るほか、金融機関の職員や顧客に対する講義や講演も行う。「日本経済新聞」「日経ヴェリタス」「朝日新聞」「東洋経済」「週刊ダイヤモンド」などへの原稿執筆・コメント提供のほか、ラジオ日経などのメディア出演も多数。主な著書に『投資で利益を出している人たちが大事にしている45の教え』(日本経済新聞出版)がある。
グローバルファイナンシャルスクール(GFS)公式サイト(外部サイト)
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