六本木ヒルズの入居企業をマップ化して見えた“ヒルズ族”の栄枯盛衰
そこで今回のオリコンDサイエンスでは、昨年で開業10周年を迎えた六本木ヒルズの入居企業をマップ化し、この10年でどのような変貌を遂げてきたのかを分析。六本木ヒルズ森タワーの過去と現在の入居企業と各種データから、ヒルズの「現在の姿」を考察してみよう。
>>考察2:売上高激減もソシャゲ勢の利益に希望の光? ヒルズの復権なるか
上場企業は半減、ミッドタウンに“退避”する企業も…
また、ヤフーやコナミのように東京ミッドタウン(赤坂/07年開業)に移転した企業や、楽天のように自社ビル(品川)へと転居して行った企業もあるが、その背景には「虚業でマネーゲームに走るヒルズ族」という、六本木ヒルズに対する世間のイメージが、自社に直結することを回避しようとしたのかもしれない。10年にはIT業界のトップランナーといえるグーグルが入居したことで「ヒルズ族復権」の兆しへの期待が高まったが、以降はそれほど大きな変化はない。
売上高激減も“ソシャゲ勢”の利益に希望の光? ヒルズの復権なるか
1)2000年代前半に入居していたヤフーの利益率は約30%を記録したが、同じく退去組となった楽天も、ヒルズに入居当時は黒字化する前だった。
2)ここ数年のヒルズの売上を牽引しているグリーは、2012年8月の決算発表で利益率30%を記録している。
ただし、ソーシャルゲーム企業の好調は、ヒルズの安泰を約束するものでもない。2010年以降に入居したソーシャルゲーム企業は売上が拡大しつつあるものの、営業利益では頭打ち。さらに純利益を見てみると、グリーは前年の53%減、Klabは赤字に転落している状況だ。昨年、人気アプリ・『パズル&ドラゴンズ』(パズドラ)で“一山当てた”ガンホーの株価の乱高下も記憶に新しく、ソーシャルゲーム、ゲームアプリによる収益は一過性、不安定なものという印象もぬぐえない。
現在はAppleやgoogleが入居しているとはいえ、今後、日本企業による六本木ヒルズの本当の復権は望めるのか否か。新参のenishや、堅調に見えるクルーズに代表されるソーシャルゲーム業界の“次なる一手”か、もしくは次世代を席巻する新たなビジネスモデルの誕生か? いずれにせよ、救世主登場の可能性は決して低くはない。この機会に東証マザーズなどの新興市場を中心に未来のヒルズ族を探してみるのはいかがだろうか。
調査対象企業:六本木ヒルズに入居した経歴のある上場企業
調査データ出典:本決算時の有価証券報告書
データ取得期間:2000年4月1日〜2013年3月31日
【データ取得方法】
1.本決算時の有価証券報告書より取得。
2.連結決算を実施している企業については、連結決算の財務データを利用。
3.連結決算に関しては、米国基準会計or国際会計基準の連結決算データを利用。
4.取得した財務データは、売上高、営業利益、経常利益、当期利益、人件費+労務費、従業員数、EPS、BPS、期末発行済み株式数。
5.野村HDは金融業のため、売上高→営業収益、営業利益と経常利益→経常収益と読み替える。