パッシブ運用の特徴と向いている人は?メリット・デメリットも解説

パッシブ運用の特徴と向いている人は?メリット・デメリットも解説

投資には大きく分けて、「パッシブ運用」と「アクティブ運用」という2種類の運用スタイルがあります。このうち、パッシブ運用は投資初心者に適した手法といわれています。

今回は、パッシブ運用の定義やアクティブ運用との違いのほか、メリット・デメリットについて解説します。パッシブ運用に向いている人の特徴もまとめていますので、ぜひ参考にしてください。
AFP/2級FP技能士 吉田祐基

監修者 AFP/2級FP技能士 吉田祐基

ライター・編集者。お客様向けの会報誌や、記事、Webサイト、PDF資料といった各種コンテンツ制作のディレクション業務ほか、Webメディアの運営を担当。

mokuji目次

  1. パッシブ運用とは、指標に合わせて安定的に運用する手法のこと
    1. アクティブ運用との違い
  2. パッシブ運用のメリット
    1. 低コストで運用できる
    2. 安定したリターンが得られる
    3. 初心者にも適した運用方法
  3. パッシブ運用のデメリット
    1. 市場全体が低迷するとリターンも低下する
    2. 大きなリターンは期待しにくい
  4. パッシブ運用に向いている人
    1. 長期的に安定したリターンを求める人
    2. リスクを抑えた投資をしたい人
  5. 非課税制度を活用したパッシブ運用で、効率的な資産形成を

パッシブ運用とは、指標に合わせて安定的に運用する手法のこと

パッシブ運用とは、ベンチマーク(目安となる指標)に連動するように運用する投資スタイルのことです。パッシブ運用の代表例として、インデックスファンドへの投資が挙げられます。

インデックスファンドは、特定の市場指数(インデックス)に連動するように運用される投資信託です。

例えば、日経平均株価やS&P500(アメリカを代表する500社の株価にもとづく指数)などを基準とし、市場全体の動きにあわせた安定的なパフォーマンスを目指します。

これにより、個別銘柄を選ぶことなく、幅広く分散投資できるメリットがあります。主要な指数は一般に公開されている情報のため、誰でも容易に確認できる点が特徴です。

アクティブ運用との違い

パッシブ運用と対比される投資スタイルがアクティブ運用です。アクティブ運用は、ベンチマークを上回るリターンを目指す運用スタイルのこと

パッシブ運用が市場平均に追随する運用スタイルであるのに対して、アクティブ運用は市場平均を上回るために、積極的な売買や銘柄選定を行う点が大きく異なります。

なお、アクティブ運用では、「グロース投資」と「バリュー投資」のどちらかの考え方にもとづいて銘柄を選びます。

グロース投資とは、高い成長性が期待される銘柄を中心に投資するスタイルのこと。一方のバリュー投資は、株価が企業価値に対して比較的割安と思われる銘柄に投資するスタイルのことを指します。

パッシブ運用のメリット

パッシブ運用のメリット

パッシブ運用には、魅力的なメリットがいくつかあります。パッシブ運用の主なメリットは、下記の3点です。

低コストで運用できる

パッシブ運用は、信託報酬などの運用コストが低く抑えられるのが特徴です

ベンチマークに連動するように運用するため、ファンドマネージャーの人件費などの運用管理費を抑えることができます。アクティブ運用と比べて詳細な市場分析や運用判断を必要としないことに加え、銘柄の入れ替えが頻繁には発生しないためです。

インデックスファンドで運用する場合、信託報酬が安い傾向があるので、長期的な運用コストの削減を実現しやすい手法といえるでしょう。

安定したリターンが得られる

パッシブ運用は、市場平均への連動を目指す運用スタイルなので、市場全体に投資しているのと同じ効果が得られます。投資家独自の判断で、個別に株を売買する場合と比べてリスクが分散され、リターンが安定しやすい点がメリットです

パッシブ運用には、ベンチマークの構成銘柄のすべてに投資する「完全法」や、その中から信用リスクの高い銘柄を除外して投資する「準完全法」、構成銘柄の中から特定の銘柄を抽出して投資する「サンプル法」と呼ばれる手法があります。

なお、サンプル法の場合でも、ベンチマークと大きく乖離することのないように投資対象を選びます。ですから、パッシブ運用を用いた投資信託であれば、投資家自身の経験や判断に左右されずに運用成績の安定化が期待できるのです。

初心者にも適した運用方法

パッシブ運用は投資対象や運用方針がわかりやすいことから、初心者にも適した運用方法といえます。シンプルな仕組みのため、投資に関する高度な知識がなくても安定して運用しやすいのが特徴です。

インデックスファンドは市場全体の成長に連動するため、将来の運用益を予測しやすい点も魅力です。リスクやリターンを見通しやすく、計画的に運用できることは、パッシブ運用のメリットのひとつといえます。

パッシブ運用のデメリット

パッシブ運用のデメリット

パッシブ運用には多くのメリットがある一方で、デメリットとなりかねない面もあります。主なデメリットとして挙げられるのは、下記の2点です。

市場全体が低迷するとリターンも低下する

パッシブ運用によって得られるリターンはベンチマークに連動するため、相場が悪化した際には損失を被る可能性があります

例えば、リーマンショックのような世界的な経済危機が発生すると、マーケット全体の低迷が保有資産の価値下落に直結することが考えられます。

このように、個別株などとは異なり、特定の投資対象だけでなく、日本や世界経済全体の動きを注視する必要がある点はデメリットといえます。

また、パッシブ運用は、短期的に利益を狙う手法ではなく、あくまで中長期的な投資に向いていることを理解しておくことが大切です。

大きなリターンは期待しにくい

パッシブ運用では、市場全体のパフォーマンスが運用実績に反映されるため、大きなリターンは期待しにくいという特徴があります

投資の原則は、ハイリスク・ハイリターンもしくはローリスク・ローリターンです。リスクを低減することと大きなリターンを得ることは、トレードオフの関係にあります。

パッシブ運用は、できるだけリスクを抑えつつ、中長期的に安定した運用を目指す場合に適した投資スタイルです。そのため、大きなリターンを目指す場合には、アクティブ運用を選択したほうが良いといえます

パッシブ運用に向いている人

パッシブ運用に向いている人

パッシブ運用は、どのような人に適した投資スタイルなのでしょうか。特に、下記2つのタイプに該当する人におすすめです。

長期的に安定したリターンを求める人

パッシブ運用は、低コストで安定したリターンが期待できるため、長期にわたって資産を着実に増やしたい人に向いています。例えば、老後資金の準備など、長期的な資産形成を目指すケースに最適です。

iDeCo(個人型確定拠出年金)NISA(少額投資非課税制度)などの税制優遇制度を活用してインデックスファンドに投資することで、節税効果を得ながら効率的な資産形成が可能です

リスクを抑えた投資をしたい人

パッシブ運用は、高いリターンを得ることよりも、リスクを抑えた投資を重視する人に適しています。なぜなら、ベンチマークに含まれる多くの銘柄に分散投資することで、リスクを分散できるためです

例えば、日経平均株価に連動するインデックスファンドでは、日本全体の主要企業に投資することができ、S&P500に連動するインデックスファンドでは、アメリカの代表的な500社に投資することができます。

これにより、個別銘柄への投資よりもリスクが分散され、安定した運用が期待できるのです。
また、インデックスファンドを活用したパッシブ運用はアクティブ運用に比べて投資信託の運用手数料が安いので、長期的に見て投資効率を最大化できるというメリットもあります

初心者にとっての投資の基本は、長期・分散・積立です。パッシブ運用によって、少額ずつ積み立てていく投資スタイルは、リスクをできるだけ抑えて資産運用に取り組みたい人におすすめの手法といえるでしょう。

非課税制度を活用したパッシブ運用で、効率的な資産形成を

パッシブ運用は、ベンチマークに連動することで、低コストで安定したリターンを目指す投資手法です。短期間で大きな利益を狙うのは難しいものの、リスクを抑えつつ長期的な資産形成を実現したい人に向いています

iDeCoやNISAを活用すれば、パッシブ運用における代表的な商品であるインデックスファンドに非課税で投資できるため、効率的な資産形成が可能です。

なお、iDeCoやNISAを活用してパッシブ運用を始めるには、投資信託を取引できる口座を金融機関で開設しておく必要があります。金融機関によって手数料や取扱商品のラインナップが異なるため、複数の金融機関を比較検討しましょう

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AFP/2級FP技能士 吉田祐基

監修者 AFP/2級FP技能士 吉田祐基

ライター・編集者。編集プロダクションで、Web・紙媒体問わず主に金融系コンテンツの制作を担当後、HRテック企業に制作ディレクターとして入社。お客様向けの会報誌や、記事、Webサイト、PDF資料といった各種コンテンツ制作のディレクション業務ほか、Webメディアの運営を担当。

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