株式投資の勉強は何から始める?初心者におすすめの勉強方法を解説
株式投資は、正しい知識と取引方法を身につけることで、資産形成の有効な手段となる一方で、準備不足のまま始めてしまうと大きな損失を被るリスクもあります。
この記事では、株式投資の基本的な仕組みから、株価チャートの見方から、テクニカル分析やファンダメンタルズ分析といった具体的な分析手法まで、初心者が押さえておくべき基礎知識を解説します。
また、入門書やセミナー、シミュレーションアプリなど、効率的に学習を進めるための具体的な勉強方法もご紹介。
これから株式投資を始めようとしている方が着実にスキルアップできるような内容となっています。
目次
株は勉強すれば勝てる?初心者が勉強する意味
しかし、正しい知識を身につけることで、投資の成功確率を高め、大きな損失を避けることは可能といえます。
株式市場では、企業業績や景気動向、国際情勢など、さまざまな要因が株価に影響を与えています。
これらの要因を理解し、適切な投資判断ができるようになるためには、体系的な学習が欠かせません。
特に初心者は、闇雲に投資を始めるのではなく、まずは基本的な知識やリスク管理の方法を学ぶことが重要です。
投資の世界で成功を収めている人々に共通しているのは、継続的な学習姿勢です。
市場環境は常に変化しており、その変化に対応できる知識と判断力を磨き続けることが、投資の成功につながります。
株初心者が知っておくべき基礎知識
株式とは何か、取引の仕組み、利益の種類、投資スタイル、分析方法など、理解しておくべき要素は多岐にわたります。
ここでは、初心者が最低限押さえておきたい基礎知識を順番に解説していきます。
株とは
株を購入することは、その企業の一部を所有することを意味し、株主としてさまざまな権利を得ることができます。
株主には、企業の利益から配当を受け取る権利や、株主総会での議決権など、複数の権利が与えられます。
また、株式は市場で自由に売買することができ、株価の値上がり益を得る機会もあります。
一方で、企業の業績が悪化すれば株価は下落し、投資した資金が目減りするリスクもあります。
株式投資を始める前に、このような株式の特徴やリスクを十分理解しておくことが重要です。
株式投資の仕組み
個人投資家が株式を売買する際は、証券会社を通じて注文を出します。
株価はさまざまな要因で変動します。
企業の業績はもちろん、景気の変動、国際情勢、為替相場の変動なども株価に影響を与えます。
投資家は、これらの要因を分析して値上がりが期待できる銘柄を見つけ出し、投資することで利益を上げているのです。
キャピタルゲイン
例えば、1株1,000円で購入した株式が1,500円まで上昇した時点で売却すれば、1株あたり500円のキャピタルゲインを得ることができます。
キャピタルゲインを得るためには、株価が上昇する可能性が高い銘柄を見極める必要があります。
そのためには、企業の成長性や業界動向、経済環境などを総合的に分析する力が求められます。
また、適切な売却タイミングを見極めることも重要です。
インカムゲイン
企業は利益の一部を株主に還元するため、定期的に配当金を支払います。
配当金の金額は企業によって異なり、業績に応じて変動します。
一般的に、安定した業績を上げている優良企業は、継続的な配当金の支払いを重視する傾向にあります。
インカムゲイン重視の投資戦略では、高配当や安定配当が期待できる企業を選んで長期保有するのが基本戦略となります。
株を始めるには
株式投資の手順
- 証券会社を選んで口座を開設する
- 証券口座に入金する
- 株式を選ぶ
- 株式を購入する
- 株式を保有、売却する
証券会社は店舗型の証券会社とネット証券会社の2種類がありますが、自身のニーズに合った会社を選びましょう。
口座開設手続きは、オンラインで数日程度で完了するのが一般的です。
次に、開設した証券口座に投資資金を入金します。
多くの証券会社では、提携銀行からの振り込みなら手数料無料のサービスを提供しています。
その後、投資する株式銘柄を選定します。
東京証券取引所には、プライム市場、スタンダード市場、グロース市場の3つの市場があり、それぞれ特徴が異なります。
市場の特性を理解した上で、投資目的に合った銘柄を選びましょう。
また、株式の購入方法としては、指値注文(希望価格を指定)や成行注文(現在価格で即時取引)など、いくつかの注文方法があります。
そして、購入した株式は、基本的には保有して株価が値上がりするのを待ち、適切なタイミングで売却します。
売却した利益は、3営業日前後で入金されるのが一般的です。
証券口座の選び方
店舗型は対面でのサポートが充実しており、投資相談や企業情報の提供などきめ細かいサービスを受けられますが、手数料は比較的高めです。
一方、ネット証券は手数料が安く、スマートフォンやPCからいつでも取引できる利便性の高さが特徴ですが、窓口がないため、基本的にはさまざまな取引が「セルフサービス」となります。
ただし、ネット証券は取引ツールが充実している会社も多いため、初心者の場合は手数料の安さや取引ツールの使いやすさが魅力のネット証券で取引をスタートするのがおすすめです。
証券会社は数が多いため、どの証券会社で口座を開設するか悩む方も多いと思います。
証券口座を選ぶ際は、以下のポイントを考慮することが重要です。
取引手数料
・証券会社によって数百円から数千円まで幅がある
・取引頻度が高い場合は特に重要な要素となる
取引ツールの使いやすさ
・証券会社によってツールの操作性が異なる
・チャート機能や分析ツールの充実度もさまざま
取扱商品の種類
・国内株式以外の商品の取り扱いの有無
・投資信託などの商品ラインナップ
サポート体制
・営業時間外でのサポート対応
・セミナーや投資教育コンテンツの提供
特に初心者の場合は、手数料が安く、使いやすい取引ツールを提供しているネット証券の口座の開設をおすすめします。
銘柄の選び方
企業の過去の業績推移や将来の成長戦略、競争力、業界内でのポジションなどを分析し、長期的な視点で投資価値を判断するとよいでしょう。
ただし、初心者にとってはこれらの分析は難しいため、以下のような基準から始めることをおすすめします。
・株主優待や配当金で選ぶ
株主優待や配当金は、投資初心者にとってわかりやすい選択基準です。
株主優待として、商品の割引券や優待券をもらえる場合があります。
また、安定した配当金を支払う優良企業を選ぶことで、定期的なインカムゲインも期待できます。
・普段から利用している商品・サービスの提供企業を選ぶ
いつも購入している商品のメーカーや、日常的に利用しているサービスの提供企業を選ぶのもよいでしょう。
自分が利用者である企業は、事業内容や市場での競争力を理解しやすく、投資判断がしやすいためです。
・少額から投資できる銘柄を選ぶ
初心者のうちは、少額投資できる銘柄を選び、リスクを抑えながら投資経験を積むのがおすすめです。
単元未満株制度を利用すれば、1株から取引することも可能です。
株価チャートの基本
代表的なチャートとしては、ローソク足チャートが広く使われています。
ローソク足を見ると、一定期間の株価の始値・高値・安値・終値を一目で把握できます。
株価チャートの分析方法は多岐にわたりますが、基本的な分析方法は、主に相場の方向性を示す「トレンド」に注目します。
上昇トレンドではローソク足が右肩上がりの動きを、下降トレンドはローソク足が右肩下がりの動きを示し、その流れにラインを引くことで相場の大きな流れを把握できます。
また、トレンド分析に役立つのが、一定期間の株価の平均値を繋ぎ合わせた指標である「移動平均線」です。
短期(25日)、中期(75日)、長期(200日)といった期間ごとに移動平均線を表示させ、これらの線の位置関係などをシグナルとして売買のタイミングを判断したりもします。
さらに、出来高(売買高)も重要な指標で、株価の動きと出来高の関係から、相場の強さや転換点を読み取ることができます。
投資スタイル
それぞれ以下のような特徴があります。
投資スタイル | メリット | デメリット |
長期投資 | ・大きな値上がり益が期待できる | ・資金が長期間固定される |
短期投資 | ・短期間で利益を得られる可能性がある | ・取引手数料がかさむ |
以下で、長期投資と短期投資について詳しく説明します。
長期投資
企業の成長性や収益性を重視し、時間をかけて大きな利益を目指す手法です。
最大の利点は、日々の株価変動に左右されることなく、企業の本質的な価値に着目して投資できる点です。
また、配当金による定期的な収入も期待できます。
ただし、投資資金が長期間固定されるため、途中で現金化が必要になった場合の対応が難しいことは認識しておきましょう。
長期投資は、目先の値動きに左右されにくいため、落ち着いた判断ができます。
会社員など、日中の相場を常時監視できない人にもおすすめの手法です。
投資先としては、安定した業績と堅実な経営を続ける優良企業や、成長産業で将来性のある企業が向いています。
短期投資
株価の短期的な変動を利用して、小刻みに利益を積み重ねていく手法です。
短期投資の利点は、市場の変化に応じて柔軟に対応でき、資金効率が良いことです。
一方で、取引が頻繁になるため手数料が増えたり、相場の急激な変動リスクの影響を受けやすかったりするところはデメリットです。
この投資スタイルは、時間的余裕があって相場を常時監視できる人に適しています。
また、リスク許容度が高く、相場の短期的な変動を受けても精神的に動揺しにくい人におすすめの投資スタイルです。
短期投資に向いている銘柄は、値動きが活発で取引量の多い人気銘柄です。
ただし、初心者には難易度が高いため、長期投資などで十分な経験を積んでから取り組むことをおすすめします。
株の分析方法
株式の分析方法は大きく分けて、テクニカル分析とファンダメンタルズ分析の2つがあります。
分析手法 | 概要 |
テクニカル分析 | 株価の値動きをグラフ化したチャートを分析し、過去の価格パターンや出来高から将来の値動きを予測する手法 |
ファンダメンタルズ分析 | 企業の財務内容や業績、業界動向、経済環境などの要因を分析し、企業の本質的な価値を評価する手法 |
初心者の方は、まずはファンダメンタルズ分析の基礎を学び、その後テクニカル分析を取り入れていくことをおすすめします。
以下で、2つの分析手法について簡単に説明します。
テクニカル分析
代表的なテクニカル指標には、以下のようなものがあります。
- 移動平均線(MA):一定期間の株価の平均値を繋ぎ合わせた指標
- ボリンジャーバンド:MAと標準偏差で構成され、MAとその上下に値動きの幅を示す線を加えた指標
- 一目均衡表:転換線・基準線・先行スパン(2本)・遅行スパンの5本線を使った指標
- MACD:MAの発展版で、MACDとMACDシグナルというラインにより売買シグナルを表す指標
ファンダメンタルズ分析
主要な分析指標には以下のようなものがあります。
- PER(株価収益率):株価が1株当たり純利益(EPS)の何倍の価値になっているかを示す
- PBR(株価純資産倍率):株価が1株当たり純資産(BPS)の何倍の価値になっているかを示す
- ROE(自己資本利益率):企業が自己資本に対してどれだけ利益を生み出したのかを示す
- 配当利回り:株価に対する年間配当金の割合を示す
財務諸表を読む力と共に、企業や業界を多角的に分析する視点を養うことが大切です。
株式投資にかかる税金
税率は、所得にかかわらず一律20.315%で、その内訳は所得税および復興特別所得税が15.315%、住民税が5%です。
冒頭で説明したとおり、株式投資の利益には「キャピタルゲイン」と「インカムゲイン」がありますが、インカムゲインに関しては、申告分離課税ではなく「総合課税」を選ぶことも可能です。
総合課税は、インカムゲイン以外の所得も含めた合計額から所得税を計算するため、所得次第では申告分離課税よりも税金が安くなる場合があります。
また、配当控除で負担を軽減できる点もメリットになります。
ただし、所得の高い方が総合課税を選択すると税金が高くなることがあるため注意しましょう。
また、税金の収め方としては、「源泉徴収」と「確定申告」があります。
株式投資の利益から20.315%の税金を金融機関が徴収して納税する方法です。
源泉徴収を希望する場合は、「源泉徴収ありの特定口座」で取引します。
「源泉徴収なしの特定口座」や「一般口座」では源泉徴収が行われないため、確定申告が必要です。
確定申告
1年間の所得に対する税額を自分で計算して税務署に納税する方法です。
株式投資の利益のほかに、給与などの所得も一緒に申告します。
条件によっては支払う税金が少なくなる可能性があります。
参考:株式・配当・利子と税|国税庁
株初心者におすすめの勉強方法
ここでは、入門書・雑誌、セミナー・勉強会、証券会社のWebサイト、ネット記事・個人ブログ、シミュレーションアプリなど、初心者に適した勉強方法を紹介し、それぞれのメリット・デメリットを解説していきます。
入門書・雑誌
特に入門書は、初心者向けに基本的な概念から段階的に解説されており、自分のペースで繰り返し学習できます。
メリット | デメリット |
・体系的に知識が得られる | ・時間の経過とともに情報の鮮度が落ちる |
初心者が入門書を選ぶ際は、「入門」「基礎」「初心者向け」といったキーワードが付いた書籍から始めることをおすすめします。
また、発行年が新しいものを選ぶことで、より現状に即した新鮮な情報を得ることができます。
セミナー・勉強会
オンラインセミナーの普及により、場所や時間の制約なく参加できるようになりました。
メリット | デメリット |
・専門家から直接学べる | ・費用が高額な場合がある |
初心者がセミナーを選ぶ際は、証券会社や金融機関が主催する無料セミナーから始めることをおすすめします。
主催者が明確でなく、怪しい投資話や高額な投資商品を勧めてくるセミナーには十分注意が必要です。
証券会社のWebサイト
それらを活用することで、効率的に学習を進めることができます。
メリット | デメリット |
・無料で利用できる | ・各社の取引ツールを持っていないと内容を理解できない |
情報の信頼性は高いものの、自社のサービス利用を前提とした内容が多いため、気になるコンテンツがあった場合はその証券会社の口座を開設する必要があるかもしれません。
ネット記事・個人ブログ
机上の空論ではなく、実際の取引経験などに基づいた内容が記載されていることが多いため、投資に関するリアルな情報を得ることができます。
メリット | デメリット |
・無料で閲覧できる | ・情報の信頼性にばらつきがある |
初心者は、大手メディアや証券会社が運営するサイトなど、信頼できる情報源をもとに学び始めることが重要です。
個人の投資体験はリアリティがあっておもしろいですが、あくまで参考程度にとどめるようにしましょう。
シミュレーションアプリ
メリット | デメリット |
・リスクなく取引を体験できる | ・緊張感に欠ける |
シミュレーションでは成功しても、実際の取引では失敗するケースも多いため、あくまでも学習ツールの一つとして位置づけ、他の学習方法と組み合わせて使うことをおすすめします。
株の勉強は「意味がない」と言われる理由
多くの初心者は、株価の上昇を完璧に予測したいという思いから、複雑な分析手法や難しい理論を学ぼうとします。
しかし、こうした難解な知識を詰め込むだけでは、実際の投資判断に活かすことは難しく、学習段階で挫折してしまうケースも少なくありません。
ただし、これは勉強自体が無意味だということではありません。
重要なのは、基礎的な知識から段階的に学び、実践と結びつけながら着実にスキルを積み上げていくことです。
投資で長期的に利益を出している人の多くが継続的な学習を重視している事実からも、適切な勉強方法の重要性がわかります。
初心者が株を勉強する際の注意点
ここでは、継続的な学習の重要性や実践的な経験の積み方、情報の取捨選択など、初心者が特に意識すべきポイントについて解説していきます。
勉強は継続して行う
効果的な学習を継続するには、しっかりとした学習計画を立てることが重要です。
例えば、平日は毎日市場チェックと投資関連ニュースの確認、週末は集中的に学習するといった具合で、自分のライフスタイルに合わせた学習スケジュールを組みましょう。
また、学習内容も段階的に設定することが大切です。
最初は株式投資の基本概念や仕組みを理解し、徐々に分析手法や投資戦略の学習へと進むことで、無理なく知識を積み重ねることができます。
勉強だけでなく実践する
知識として学んだことを実際の投資で試してみることで、より確かな学びが得られます。
最初は少額から始めることをおすすめします。例えば、10万円程度の資金で投資を始め、投資額を徐々に増やしていくイメージです。
この方法であれば、たとえ損失が出ても経済的・精神的なダメージを最小限に抑えることができます。
また、投資を始める前にシミュレーションアプリで取引の練習をするのも効果的です。
実践に近い環境で取引を体験することで、実際の投資に向けた準備を整えることができます。
すべての情報を鵜呑みにしない
特にインターネット上には、誤った情報や偏った見解が数多く存在します。情報を評価する際は、以下の点に注意しましょう。
- 情報源の信頼性
- 情報の客観性
- データや根拠の有無
- 複数の情報源での確認
自分なりの投資基準を持ち、それに基づいて意思決定を行う習慣をつけましょう。
初心者の場合はネット証券がおすすめ
初心者は基礎知識の習得から始め、少額で経験を積みながら、徐々にスキルを向上させていくのが望ましいでしょう。
また、投資を始める際は信頼できる証券会社を選ぶことも重要です。
先にも触れたとおり、特に初心者の場合は手数料が安く、使いやすい取引ツールを提供しているネット証券がおすすめです。
オリコン顧客満足度ランキングでは、取引のしやすさや取引手数料、情報提供の充実度といったテーマ別の「ネット証券ランキング」を掲載しています。このようなランキングも参考にしながら、自分に合った証券会社を選びましょう。
継続的な学習と実践、そして適切な情報収集を心がけることで、着実に投資力を高めていくことができます。