猫のワクチンは毎年必要?接種の頻度・費用・副反応を解説
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しかし、注射による猫の心理的・身体的負担や副反応の心配、接種費用の負担などから、「毎年ワクチンを打つ必要はないのでは?」と考える飼い主もいるでしょう。「猫のワクチンは3年に1回で十分」という説を聞くこともあり、接種の頻度で悩んでいる飼い主もいるかもしれません。
そこで今回は、猫のワクチンが毎年必要とされる理由や、3年に1回でいいとされる理由などを解説します。猫のワクチン接種で悩んでいる飼い主は、参考にしてみてください。
監修者まさの森・動物病院 院長 安田賢
日本獣医生命科学大学卒業。
幼少期より動物に興味を持ち、さまざまな動物の飼育経験を持つ。
2012年11月、石川県金沢市にまさの森・動物病院を開業。
※監修は医療情報についてのみであり、ペット保険への加入を推奨するものではありません。
目次
猫の健康を守るワクチン
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猫のワクチネーションプログラム
猫のワクチンは一度接種すれば終わりではなく、子猫期から成猫期まで、年齢や生活環境に合わせて計画的に接種していくことが大切です。このような計画的なワクチン接種を、ワクチネーションプログラムといいます。
特に子猫の時期は、成長に合わせて複数回の接種が必要になります。
そのため、まずは免疫が下がる時期に合わせて、1歳までに複数回ワクチンを接種し、感染症を防ぐための免疫をつけていく必要があります。
猫のワクチンは年に1回接種することが一般的ですが、世界小動物獣医師会(WSAVA)のガイドラインでは、リスクの高低に合わせて接種の頻度を分けています。
一方で、外に出る機会がある猫や多頭飼育の猫、ペットホテルを利用する猫などは、感染リスクを踏まえて年1回の接種をすすめられることもあります。
日本でも、動物病院の方針や獣医師の考えによって、3年に1回とする動物病院もあります。
※世界小動物獣医師会(WASVA)「犬と猫のワクチネーションガイドライン」
子猫のワクチン接種の回数とスケジュール
重要なのは、3〜4回目のワクチンを生後16週以降に接種することです。子猫は母猫から抗体を受け取りますが、それは90日以内に弱くなってしまうとされています。そのため、世界小動物獣医師会(WSAVA)のガイドラインでは、抗体が弱くなる生後16週以降でのワクチン接種が重要としています。
接種回数や時期の目安は、以下のとおりです。
| 回次 | 接種時期の目安 | ポイント |
|---|---|---|
| 1回目 | 生後8〜9週齢 | 初回接種。ペットショップ・ブリーダーで済んでいる場合は種類と時期を必ず確認 |
| 2回目 | 1回目の3〜4週後 (生後12〜13週齢ごろ) |
1回目から3〜4週の間隔をあけて接種 |
| 3〜4回目 | 生後16週齢以降 (1歳までに完了) |
最重要:移行抗体は生後90日以内に消える。WSAVAガイドラインでは生後16週以降の接種を推奨 |
| 以降(成猫) | 年1回 or 3年に1回 (種類・環境による) |
コアワクチンは3年に1回でも効果あり。感染リスクが高い場合は年1回を推奨する動物病院も多い |
ペットショップやブリーダーから子猫を迎えた場合は、すでに1回目のワクチン接種が済んでいることがあります。その場合は、以下の点を確認しておくと安心です。
■接種したワクチンの種類
■接種した日付
■次回接種の予定日
■接種証明書やワクチン記録の有無
ワクチンの種類による接種の頻度
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ワクチンの種類には、大きく分けて「コアワクチン」と「ノンコアワクチン」の2種類があり、この2つのワクチンの性質によって、猫のワクチン接種の推奨される頻度は変わります。
ここでは、コアワクチンとノンコアワクチンの違いについて解説します。
コアワクチン
生活環境にかかわらず、全ての猫に接種するべきワクチンとされ、世界中どこでも感染の可能性がある感染症を防ぎます。
これらは一般的に「3種混合ワクチン」に含まれる病気です。
外飼いなどリスクの高い環境の場合は、特に接種を検討しておいたほうがよいワクチンです。
ノンコアワクチン
猫白血病ウイルス感染症や猫クラミジア感染症などがノンコアワクチンで防げる病気です。
これらの病気は、完全室内飼いで、屋外で暮らす猫との接触がなければ感染リスクは低いですが、もしも感染すれば治療は難しいものです。
そのため、年に1回の接種が望ましいとされています。
ワクチンで予防できる猫の病気
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いずれも感染すると治療が難しかったり、重篤な症状が出たりするほか、体力の少ない子猫や老猫などは命の危険もある感染症です。
・猫ウイルス性鼻気管炎
・猫カリシウイルス感染症
・猫汎白血球減少症(猫パルボウイルス感染症)
・猫クラミジア感染症
・猫白血病ウイルス感染症
また、体調が良くても、ワクチン接種後にある程度副反応が出ることはあります。異常があればすぐに動物病院を受診できるようにしておきましょう。特に症状がなくても、接種後2〜3日は安静に過ごさせてください。
| 対象の病気 | 分類 | 3種 | 4種 | 5種 | 7種 |
|---|---|---|---|---|---|
| 猫ウイルス性鼻気管炎 | コア | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
| 猫カリシウイルス感染症 | コア | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
| 猫汎白血球減少症 | コア | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
| 猫クラミジア感染症 | ノンコア | − | 〇 | 〇 | 〇 |
| 猫白血病ウイルス感染症 | ノンコア | − | − | 〇 | 〇 |
○:対応/−:対応外
コアワクチンで防げる病気(3種混合ワクチン)
これらは一般的に「3種混合ワクチン」に含まれ、生活環境にかかわらず、すべての猫に接種が推奨される基本的なワクチンとされています。
猫汎白血球減少症は、猫パルボウイルスによって起こる感染症です。感染した猫の排泄物やウイルスが付着した環境を介して感染することがあり、激しい嘔吐や下痢、発熱、白血球の減少などが見られます。特に子猫は命に関わることもある病気です。
ノンコアワクチンで防げる病気
猫クラミジア感染症は、感染した猫との接触や飛沫によって広がり、結膜炎や目やに、鼻水、くしゃみなどを引き起こします。
猫のワクチン接種の費用と時期が過ぎた場合の対応
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猫のワクチンは、FeLVを含まない混合ワクチン、FeLVを含む混合ワクチン、FIVワクチン、FeLVワクチンなどがあり、予防できる病気の範囲によって費用も変わります。
公益社団法人日本獣医師会の「家庭飼育動物(犬・猫)の診療料金実態調査 調査結果」によると、猫混合ワクチン(FeLVを含まないもの)の中央値は4,000円です。費用の分布を見ると、3,000〜5,000円未満が65.4%と最も多く、次いで5,000〜7,500円未満が29.4%となっています。
| 費用の範囲 | 件数 | 割合 |
|---|---|---|
| 3,000〜5,000円未満 | 717件 | 65.4% |
| 5,000〜7,500円未満 | 322件 | 29.4% |
| 7,500〜10,000円未満 | 10件 | 0.9% |
| 2,000〜3,000円未満 | 7件 | 0.6% |
| 対応外・無回答など | 37件 | 2.5%+0.9% |
※中央値:4,000円
もしワクチン接種の予定時期が過ぎてしまった場合は、まずは獣医師に相談してみましょう。前回の接種から1年以上あいている場合や、接種歴がわからない場合でも、猫の年齢や体調、生活環境に合わせて接種スケジュールを立て直せることがあります。
一方で、ワクチンを接種していなかったことが原因で発症した病気については、補償対象外となる保険もあります。
加入中のペット保険がある場合や、これから加入を検討している場合は、ワクチン未接種時の扱いや補償条件を事前に確認しておきましょう。
猫のワクチン接種のメリットとデメリット・副反応ほか
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接種後に元気がなくなる、食欲が落ちる、発熱する、注射した部分が腫れるといった症状が見られることがあります。多くは数日で落ち着きますが、症状が長引く場合や悪化する場合は、動物病院へ相談しましょう。
猫は犬と違って「肺や気管支」に症状が出やすい性質があり、突然の激しい呼吸困難、苦しそうな咳、よだれ、ぐったりして動けなくなる(虚脱)といった症状が、接種直後から数十分以内に現れるのが特徴です。
万が一、このような呼吸の異変や嘔吐などのサインが見られた場合は、一刻を争うため、すぐに動物病院へ連絡して受診してください。
頻回接種によって慢性腎臓病の発生リスクが高まるって本当?
不安がある場合は、猫の年齢や体調、持病の有無、これまでの接種歴を踏まえて、接種頻度を獣医師に相談することが大切です。
ワクチンの接種前・接種後に気を付けたいこと
接種後は2〜3日ほど安静に過ごさせ、激しい運動やシャンプー、長時間の外出は避けましょう。
結局飼い主は猫のワクチンをどうすべき?
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一方で、持病のある猫はワクチンの副反応によって体調が悪化するリスクもあるため、「毎年接種すれば安心」とは一概には言えません。
また、猫がアレルギーを持っていたり、過去にワクチン接種後に体調を崩したことがあったりする場合も同様です。
コアワクチンについては、完全室内飼いの場合などは、3年に1回の頻度でワクチン接種を行えば十分という考え方もあります。
猫のワクチンは獣医師に相談しつつ受けさせよう
なお、猫のワクチン接種費用は、基本的にペット保険では補償されません。ワクチンは病気やケガの治療ではなく、予防を目的とした費用にあたるためです。
ただし、接種することで病気にかかりにくくなるため、健康継続割引などを受けられる場合もあります。またワクチン接種を行わないと加入できないペット保険や、ワクチン未接種を原因とする病気が補償対象外となるペット保険もあるため、接種は行っておくことをおすすめします。
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監修者まさの森・動物病院 院長 安田賢
日本獣医生命科学大学卒業。
幼少期より動物に興味を持ち、さまざまな動物の飼育経験を持つ。
2012年11月、石川県金沢市にまさの森・動物病院を開業。
・獣医がん学会
・日本エキゾチックペット学会
・鳥類臨床研究会(鳥類臨床研究会認定医)
・爬虫類・両生類の臨床と病理のための研究会
●まさの森・動物病院
※監修は医療情報についてのみであり、ペット保険への加入を推奨するものではありません。