ペットの医療費はどれくらいかかる?高額負担に備える方法を解説

ペットの医療費はどれくらいかかる?高額負担に備える方法を解説

 動物には人間のように公的な保険制度が存在しないため、医療費は全額自己負担です。日々の通院だけでも継続すればかなりの負担になりますが、さらに入院や手術が必要になると、高額な医療費がかかります。

 この記事では、ペットの医療費について詳しく解説するとともに、実際にどれくらいの頻度で通院が必要か、高額な医療費負担が発生するケースなども紹介。ペット保険への加入を考える際の参考にしてください。

ペットにかかる医療費

 「ペットの医療費は高額」といわれますが、実際にどれくらいかかるのでしょうか。公益社団法人日本獣医師会「家庭飼育動物(犬・猫)の飼育者意識調査(平成27年度)」 の結果から、平均的なペットの医療費を紹介します。

※公益社団法人日本獣医師会「家庭飼育動物(犬・猫)の飼育者意識調査(平成27年度)」

犬の医療費

 犬の場合、1ヵ月あたりの動物病院にかかる平均金額は、小型犬で8,217円、中型犬で8,183円、大型犬で9,281円です。年齢別に見た場合、0〜6歳の犬が平均7,136円であるのに対し、13歳以上になると平均9,801円となり、年齢が上がるほど高額になっています。

猫の医療費

 猫の場合、1ヵ月あたりの動物病院にかかる平均額は6,991円で、犬に比べると安価です。また、0〜6歳の猫が平均6,779円であるのに対して、13歳以上は平均7,991円で、猫も犬と同様に年齢が上がるほど高額になる傾向にあります。

 なお、ペットを飼育し始めてからこれまでにかかった治療費の最大金額について種類別に見ると、犬(大型犬)が平均74,893円と最も高額で、猫は平均54,197円で最も安いという結果でした。

動物病院の利用頻度

 続いて、動物病院の利用頻度について見てみましょう。一般社団法人ペットフード協会「令和4年 全国犬猫飼育実態調査」 の「犬 飼育・給餌実態と支出」によると、現在、飼育している犬が最近1年間で動物病院へ行った回数は、0歳が平均5.65回、1〜6歳が平均4.05回、7〜12歳が5.66回、13歳以上が6.65回で、年齢が上がるにつれて利用頻度が増えています。動物病院の利用は、低年齢のうちは予防接種がメインですが、高齢になると病気やケガで訪れる機会が増えることが背景にあるようです。

※一般社団法人ペットフード協会「令和4年 全国犬猫飼育実態調査」

ペットの医療費は全額自己負担

ペットの医療費は全額自己負担

 人間の場合は公的な医療保険制度があるため、病院の窓口で支払う医療費は1〜3割の負担ですが、ペットの場合はこうした保険制度がないため、医療費は飼い主の全額自己負担です。

 人間と同様に、ペットも高齢になると病院にかかるリスクが増え、入院や手術が必要になった場合、数十万円の支払いが必要になることもあります。

 そんなとき、ペット保険に入っておけば治療費が補償されるため、ペットに安心して十分な治療を受けさせることができるのです。しかし、いざ加入しようとしたときに年齢制限にかかってしまう場合もあるため、ペット保険の加入はペットが若くて元気なうちに準備しておくことをおすすめします。

ペット保険に加入するタイミング

 ペット保険の加入には、人間の医療保険と同様に原則として健康であることが条件ですが、年齢や既往歴などのリスクによって保険料が変わるため注意しなければなりません。

 また、多くのペット保険には年齢制限があります。犬や猫は7歳を過ぎるとシニア期にさしかかり、体力が衰えて病気になりやすいため、一般的には新規加入の上限が8〜12歳程度とされていることが多いようです。

 さらに、保険会社が指定する病気に過去に罹患していたり、治療中だったりすると、加入できないことがあります。また、先天性の病気がある場合にも加入に制限がかかる場合があるようです。

 このように、ペット保険加入の際は「年齢」と「過去の病気」に注意する必要があるため、加入のタイミングとしては、年齢が若く、一度も重い病気にかかっていない状況がベストといえます。

ペット保険の選び方

 ペット保険は、補償割合や補償限度額、補償内容と保険料のバランスなどを複合的に考えて選ぶことをおすすめします。ペット保険を選ぶ際のポイントを詳しく見ていきましょう。

補償割合

 補償割合とは、ペットの治療費が発生した際に、保険会社が保険金を支払う割合です。ペット保険の補償割合は保険会社やプランによってさまざまですが、およそ50〜90%のあいだで設定されています。一般的には、50%もしくは70%のどちらかです。

 例えば5万円の治療費がかかった場合、補償割合が50%であれば自己負担額は25,000円です。補償割合が高いほど保険料は高くなり、補償割合が低いほど保険料は安くなる傾向があります。

補償限度額

 補償限度額とは、1日や1年で支払われる保険金の限度額です。多くの場合、50万円〜140万円のあいだで限度額が設定されており、補償限度額が上がるほど保険料は高くなる傾向があります。

補償内容

 ペット保険の補償内容は、保険会社やプランによって異なりますが、多くの場合、通院・入院・手術が補償の対象です。補償内容がそれぞれどのようなものかご紹介します。。
通院
ペットが病気やケガをして通院する際にかかった診療費を補償します。入院や手術を伴わない病気、ケガの処置、薬の処方などが適用範囲です
入院
ペットが病気やケガをして入院する際に、入院費用の一部や入院中の診療費が補償されます。
手術
ペットに手術が必要になった際に、手術そのものにかかる費用(麻酔費用を含む)が補償されます。
 基本的に、入院や手術を補償するだけのプランであれば保険料は安く抑えられますが、通院ありのプランにすると保険料は高くなるため、入院や手術などの高額な医療費負担に備えたいのか、通院だけで十分なのか、よく検討してください。

特約

 保険会社によっては、通院・入院・手術以外に、さまざまな特約を設定しているところもあります。代表的な特約は、賠償責任を補償するものや葬儀費用を補償するものです。
賠償責任
賠償責任は「他人にケガを負わせる」「他人の物を壊す」「他人のペットにケガをさせる」などの損害を与えたことによって、法律上の損害賠償責任を負った場合に補償されます。
葬儀費用
葬儀費用は、ペットが亡くなった際、お別れセレモニーや火葬にかかる費用を補償します。

補償対象となる病気

 病気やケガは、保険会社によって補償対象と補償対象外になるものが定められています。せっかく保険に加入したのに、ペットの病気が補償対象外だったという事態にならないよう、必ず保険約款などで確認しておきましょう。

受診回数の制限

 多くの保険会社では、補償する受診回数に制限を設けています。「利用日数・回数」で制限を設けている場合と「年間の最大利用回数」で制限する場合の2パターンがあります。
利用日数・回数の制限
利用日数・回数の制限とは、契約期間内に保険会社が補償する利用日数、または回数の制限のことです。入院の利用日数制限が7日に設定されていたとして、入院が長引いたなどの理由で合計10日間入院した場合、7日分の入院費用のみ補償が適用され、残り3日分の費用に関しては補償の対象外となります。
年間の最大利用回数の制限
年間の最大利用回数とは、1年間に保険会社が補償する回数の制限です。「1年間の最大利用回数が、通常の診察は20回、手術については2回」と決められている場合、これを超えた分は補償されません。
 なお、保険会社によっては、1年間に支払いを受けることができる補償の合計金額だけを設定し、通院・入院・手術ごとの利用日数や利用回数に制限がないタイプの保険もあります。このタイプの保険は、限度額の範囲内であれば、利用回数を気にする必要はありません。

 ただし、利用回数制限のない保険でも、年間支払限度額に達してしまうと、それ以降は保険を利用できなくなってしまいます。また、年間支払限度額まで使い切ると、その時点で補償が止まるだけでなく、契約が打ち切られたり、次回の更新(継続)ができなくなったりすることもあるため注意が必要です。

保険料

 ペット保険に加入する際、多くの人が気になるのが保険料ではないでしょうか。一般的に、補償割合が大きいほど月々の保険料は高くなり、入院・手術だけでなく通院までカバーするなど、補償の範囲を広げた場合も保険料が高くなります。

 また、ペットの年齢が上がるほど保険料は高額になるほか、犬の場合は大きさによっても保険料が異なり、大型になるほど上昇する傾向があるのです。例として、小型犬の場合の楽天損害保険(楽天ペット保険)の保険料をご紹介します。
■ペット保険の保険料の例:小型犬

通院つき70%プラン

通院つき70%プラン

通院つき50%プラン

通院つき50%プラン

月払い

年払い

月払い

年払い

0歳

2,470円

27,120円

1,860円

20,420円

1歳

2,350円

25,880円

1,770円

19,450円

2歳

2,180円

23,940円

1,630円

17,970円

3歳

2,270円

25,020円

1,710円

18,790円

4歳

2,480円

27,230円

1,860円

20,470円

5歳

2,750円

30,220円

2,070円

22,730円

6歳

3,110円

34,190円

2,340円

25,730円

7歳

3,630円

39,980円

2,740円

30,120円

8歳

4,070円

44,780円

3,070円

33,750円

9歳

4,520円

49,730円

3,410円

37,480円

10歳

5,270円

58,000円

3,970円

43,720円

※新規申込みは満11歳未満(10歳11ヵ月まで)
(2023/12月時点の保険料です)
 上記はあくまでも一例であり、保険料は保険会社やプランによって大きく異なるため、保険会社のWebサイトなどで見積もりを取ったり、料金比較サイトを活用したりして、納得のいくプランを選択してください。

免責

 ペット保険に限らず、保険契約の際には、契約内容が記されている「約款」に目を通すことになります。その中に「免責」という言葉がありますが、この免責についてもチェックが必要です。

 免責とは保険会社が保険金を支払わなくてもよい場合の条件を指す言葉で、具体的には「免責金額」と「免責事由」の2つがあります。
免責金額
免責金額とは、保険会社が保険金を支払わなくてもよい金額のことで、設定された金額までは保険加入者の自己負担です。例えば、補償割合が70%で「免責金額10,000円」と設定されているケースでは、実際にかかった診療費が10,000円以下の場合は全額が自己負担となります。
免責事由
免責事由とは、保険会社が保険金の支払いを免れる理由(事由)のことです。免責事由の内容は保険会社によって異なりますが、それにあてはまる場合は保険金を請求することはできません。一般的には自然災害によるケガや予防接種などが該当します。

請求方法

 ペット保険の請求方法は、主に窓口精算と後日精算(直接請求)の2種類があります。いざ保険を使おうと思ったときに、請求方法や必要書類がわからずに時間がかかってしまうこともあるため、必ず事前に確認しておきましょう。
窓口精算
窓口精算とは、動物病院の窓口で治療費を支払う際、保険会社より支給された「ペット保険証」を提示することで、自己負担額のみを支払う方法です。
後日精算(直接請求)
後日精算(直接請求)は、動物病院で治療費を全額支払った後、必要な書類をそろえて保険会社に送付し、保険金を請求する方法です。保険会社が必要書類をもとに審査を行い、問題がなければ指定口座に保険金が振り込まれます。
 なお、最近ではWebの専用サイトやLINEなどを通じて、手続きのすべてを完結できる保険会社もあるため、書面での手続きを面倒に感じる人や、忙しくて都度請求するのが大変な人にはおすすめです。

おすすめのオリコン顧客満足度ランキング:ペット保険「精算方法別<窓口精算>」
おすすめのオリコン顧客満足度ランキング:ペット保険「精算方法別<後日精算>」

高額なペットの医療費に備えて、ペット保険の活用を

高額なペットの医療費に備えて、ペット保険の活用を

 この記事では、高額といわれるペットの医療費は実際にどれくらいかかるのか、それに備えるためのペット保険とはどのようなものなのかについて解説しました。大切なペットにいつまでも元気でいてほしいというのは、すべての飼い主に共通の願いではないでしょうか。

 万が一、ペットが急な病気やケガに見舞われた際、高額な医療費に臆することなく、十分な治療を受けさせることができるよう、ペット保険への加入を検討しましょう。保険料や補償内容をよく比較検討した上で、ご家庭の状況とペットに合った保険を選んでください。

 オリコンでは、日本最大級の規模で実際の利用者による満足度調査を行い、毎年「ペット保険の顧客満足度ランキング」を発表しています。保険料はもちろん、ペットの種類別や適用内容別など、さまざまな視点でのランキングをご確認いただけますので、ぜひ保険会社選びの参考にしてください。
オリコン日本顧客満足度ランキングの調査方法について

当サイトで公開されている情報(文字、写真、イラスト、画像データ等)及びこれらの配置・編集および構造などについての著作権は株式会社oricon MEに帰属しております。これらの情報を権利者の許可なく無断転載・複製などの二次利用を行うことは固く禁じております。