犬の腎臓病の原因は?症状と治療法、注意すべき点を解説
この記事では、犬の腎臓病の症状と原因のほか、治療法と注意すべき点について解説します。
監修者 ガイア動物病院 院長 松田唯
北里大学獣医畜産学部卒業後、千葉県内と東京都内の動物病院で勤務。2019年7月、ガイア動物病院開設、院長となる。
※監修は医療情報についてのみであり、ペット保険への加入を推奨するものではありません。
目次
犬の腎臓病は、腎機能の低下で老廃物がうまく排出できない病気
そもそも腎臓は血液を濾過し、体に不要なものを尿として体外に出すいわばフィルターとしての役割を果たしています。腎臓の機能が低下すると、血液中の毒素が体内にとどまったり、血圧を調整するホルモンを作れなくなったりして、健康に悪影響を及ぼす可能性があるのです。
犬の腎臓病には「急性腎臓病」と「慢性腎臓病(CKD)」の2種類があり、原因と対処法はそれぞれ異なります。初期症状がわかりにくいこともあるため、定期的な健康診断が重要といえるでしょう。犬の腎臓病に備えるには、早期発見と早期治療、そして高額な治療費に対する備えがカギとなります。
犬の慢性腎臓病のステージ
■犬の腎臓病における進行と症状の4ステージ
犬が腎臓病になる原因とは?
急性腎臓病の原因
犬が腎毒性のある物質を誤って誤食・誤飲すると、急性腎臓病を引き起こすことがあります。例えばレーズンやぶどうのほか、ユリの葉や根、車の不凍液に含まれるエチレングリコール、農薬・除草剤などの薬品は、少量でも腎臓に深刻なダメージを与えます。
・脱水
激しい嘔吐や下痢、熱中症などにより脱水状態が続くと、腎臓に負担がかかり、急性腎臓病を引き起こす可能性があります。脱水が血液の流れを減少させ、血液による腎臓への酸素供給を妨げることが原因です。
・尿路結石による尿路閉塞
急性腎臓病は、腎臓から尿道までの尿路に結石ができ尿の流れが妨げられることでも起きる可能性があります。尿路結石によって尿が排出されず腎臓に溜まり、腎臓の機能が急激に低下するので注意が必要です。
慢性腎臓病の原因
原因は多岐にわたり、加齢や遺伝的要因、感染症などが挙げられます。ただし、病気は徐々に進行するため、明確な原因を特定するのが難しい場合もあるのが特徴です。過去に急性腎臓病を患ったことがある場合も、慢性腎臓病の原因となります。
初期症状は非常に軽微で、飼い主が気づかないことが多い傾向があります。多飲や多尿、体重減少などが見られることがあるものの、これらの症状はほかの病気とも重なるため注意が必要です。
犬の腎臓病の症状
多飲と多尿
食欲と体重の低下
嘔吐や下痢
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元気がない
毛艶が悪くなる
なお、腎臓病が悪化すると、最終的に尿毒症になる可能性があります。尿毒症は、腎臓が老廃物を排出できなくなり、全身に毒素が回る状態です。けいれんや意識障害を起こすなど、犬の命に関わる深刻な状態といえます。
犬の腎臓病の治療法
点滴
特に急性腎臓病の場合は、迅速に点滴によって症状の悪化を防ぐことが可能です。
投薬
例として、血圧を下げる降圧剤や腎臓の炎症を抑える薬などが用いられます。適切な薬の使用により、腎機能低下の進行を遅らせることが可能です。ただし、薬は継続的な投与が必要となるので注意してください。
食事療法
腎臓に負担をかけないためには、低たんぱく質・低リンの食事が推奨されます。動物病院で獣医師の指導のもと、療法食を調製してもらい、与えるようにしてください。療法食によって腎臓の負担を軽減し、病状の進行を遅らせることが可能です。
透析
なお、犬の透析治療に対応できる病院は非常に限られています。
犬の腎臓病の注意点
老犬ほどかかりやすい
初期症状がわかりにくい
疑わしい点があれば、念のため動物病院でチェックしてもらうようにしましょう。
定期的な健康診断で予防できる
一般的には、6ヵ月ごとの受診がおすすめです。また日頃の運動も、腎臓病予防には効果があります。
犬の高額な医療費に備えて、ペット保険の加入がおすすめ
犬の高額な医療費負担に備えておすすめしたいのがペット保険です。ペット保険は、通院・入院・手術の3つが主な補償対象となり、健康診断や予防接種などの病気の予防に関わる行為や避妊・去勢手術は補償対象外になりますが、ケガや病気の治療費について幅広く補償してくれます。
なお、ペット保険は保険会社やプランによって補償内容や保険料が大きく変わるため、複数の保険会社でそれぞれのプランを比較検討して、ご自身とペットに合った保険を選びたいところです。
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監修者 ガイア動物病院 院長 松田唯
埼玉県生まれ。北里大学獣医畜産学部卒業後、千葉県内と東京都内の動物病院で勤務。
2019年7月、ガイア動物病院(東京都杉並区)開設、院長となる。大学時代は医療の専門用語が苦手だったこともあり、治療法や薬について分かりやすく説明し、治療法のメリット・デメリットを理解して飼い主さまが選択できる診療を心掛けるようにしています。
●ガイア動物病院
※監修は医療情報についてのみであり、ペット保険への加入を推奨するものではありません。