犬の嘔吐はなぜ?飼い主が知っておきたい犬が吐く原因と対処法

犬の嘔吐はなぜ?飼い主が知っておきたい犬が吐く原因と対処法

 犬は体の構造上、人間より嘔吐しやすいとされています。ただし、吐きやすいといっても、様子を見ていいものとすぐに動物病院に連れて行くべきものがあり、判断に悩む飼い主もいるでしょう。

 犬の嘔吐には、生理現象から病気が原因のものまで、さまざまな種類があります。今回は、犬の嘔吐の原因や対処法などについて解説します。
ガイア動物病院 院長 松田 唯

監修者 ガイア動物病院 院長 松田 唯

北里大学獣医畜産学部卒業後、千葉県内と東京都内の動物病院で勤務。2019年7月、ガイア動物病院開設、院長となる。

※監修は医療情報についてのみであり、ペット保険への加入を推奨するものではありません。

mokuji目次

  1. 犬は嘔吐しやすい
  2. 犬の嘔吐物でわかる原因
    1. 茶色っぽい液体やドロドロ
    2. 透明の液体や泡
    3. 黄色の液体
    4. 毛玉
    5. 嘔吐物に異物が混じっている
    6. 薄いピンク色や赤色の液体
  3. こんな嘔吐なら動物病院の受診を
  4. 犬が嘔吐したときの対処法
  5. 犬の嘔吐はさまざまな原因がある

犬は嘔吐しやすい

 犬の体は消化管が地面と平行なため、吐くときに重力に逆らわず、人間より嘔吐しやすい構造になっています。また、食道の筋肉を意識的に動かせることも、犬が吐きやすい理由でしょう。健康な状態でも一過性の消化不良などで吐くことは珍しくありません。

 ただし、嘔吐以外にも症状があるなら、何か病気が原因かもしれません。不安な場合は動物病院の受診がおすすめです。

 なお、口から何か吐き出すと一般には「嘔吐した」と考えますが、獣医学では胃の中の物を吐き出す「嘔吐」、胃に届いていない未消化の物を吐き出す「吐出」に分けられます。

 嘔吐は胃の内容物が口から出てくることで、オエッオエッというような何かしらの前触れがあることがほとんどです。脳の嘔吐中枢が刺激されることで起こり、多くの場合、胃液が混ざっています。

 吐出は食道内のものが吐き出されることで、未消化のものが出てきます。胃液はほとんど混ざっていません。食道が塞がれていたり、運動性が悪くなっていたりすると吐出が起こります。

犬の嘔吐物でわかる原因

 犬が嘔吐した場合、どんなものを吐いたかで原因が特定できる場合があるため、内容をしっかり観察することが重要です。ここでは、嘔吐したものや別に考えられる原因をご紹介します。

茶色っぽい液体やドロドロ

 犬が嘔吐したものが茶色っぽい液体やドロドロの場合は、未消化フードの可能性が高いです。その後は吐かずに元気にしているようなら、あまり心配はないでしょう。

 ただし、同じ茶色でも、サラサラの液体の場合は消化管のどこかで出血している可能性も考えられます。見た目だけで判断するのは難しいため、吐いたものを持って動物病院を受診することが望ましいです。

透明の液体や泡

 犬が透明の液体や泡を吐いた場合は、水や胃液、唾液の可能性が高いです。水の飲みすぎや、極度の空腹の場合にそういった物を吐くことがあるため、注意してください。一気に水を飲まないように散歩中にこまめに飲ませる、食事の回数を増やして間隔を狭くするなどの対処が考えられます。

 泡は吐き気を感じているときに見られるため、しっかり嘔吐していなくてもむかつきなどを感じている可能性があります。前後の犬の様子をよく見ておきましょう。

黄色の液体

 犬が黄色の液体を嘔吐した場合、胆汁の可能性が高いです。空腹のせいで胆汁が胃に逆流している際に吐くことがあり、空腹の時間が長すぎる可能性があるでしょう。

 吐いた後に元気な場合は、食事のあいだにおやつを与えたり、食事の間隔を短くしたりといった調整をしてみてください。

毛玉

 犬が毛玉を吐いた際は、換毛期の抜け毛やカーペットなどのほこりの可能性が高いです。嘔吐後に元気ならあまり問題はありません。しかし、抜け毛やほこりを大量に飲み込むと、毛球症という消化管トラブルを起こす可能性もあるので、ブラッシングや掃除を徹底してください。

 犬がいたずらでソファやぬいぐるみなどの中身を引っ張り出した場合は、飲み込まないうちに片付けましょう。

嘔吐物に異物が混じっている

 犬の嘔吐物にフードやおやつ以外の異物が混じっている場合は、誤飲や誤食の可能性があるので、確認のためにも動物病院の受診が望ましいです。特に下痢や食欲不振、えずいているが嘔吐しないなどの様子が同時に見られる場合、注意が必要です。腸閉塞や中毒になれば命に関わるため、すぐに動物病院を受診しましょう。

薄いピンク色や赤色の液体

 犬がピンク色や赤色の液体を吐いた場合は、口腔や食道、気管などからの出血が考えられます。また、重度の胃潰瘍などでも鮮血を吐くことがあります。もしくは、硬いおやつやおもちゃで口の中を傷つけてしまったかもしれません。早めに動物病院を受診してください。

こんな嘔吐なら動物病院の受診を

こんな嘔吐なら動物病院の受診を

 吐いたものが何であれ「一日に何度も嘔吐する」、「数日にわたって嘔吐している」、「吐きそうなのに吐き出せない」、「元気がない」などの様子があれば、すぐに動物病院を受診しましょう。

 食欲不振や体重低下などが見られる場合も同様です。消化器系の病気や中毒、感染症なども考えられます。

 なお、嘔吐のほかにあまり症状が見られなくても、子犬や高齢犬などは免疫力が低下している可能性があるため、動物病院を受診したほうが安心です。 

犬が嘔吐したときの対処法

 犬が吐いた後は、空腹で吐いたとき以外、水もフードも与えずに休ませてください。嘔吐の直後に胃に物が入れば反射的に吐いてしまい、脱水してしまう可能性があります。吐いた後に元気な場合は、1〜2時間開けていつもどおりの水やフードを少しずつあげます。

 嘔吐の回数が多ければ、深刻な病気でないとしても脱水のおそれがあるため、動物病院を受診してください。その際、下記のようなことを伝えられるよう、メモしておくといいでしょう。

犬が嘔吐したとき、獣医師に伝えたいこと>
・いつから嘔吐が始まったか
・何回嘔吐したか
・最後の食事からどれくらい時間が経っているか
・どのような吐き方だったか
・どのような嘔吐物だったか
・嘔吐の後はどのような様子か
・ほかに症状はあるか
 また、嘔吐物を獣医師に見てもらうと原因が特定しやすくなります。持って行くのが難しい場合は、写真に撮っておくことをおすすめします。 

犬の嘔吐はさまざまな原因がある

 犬の嘔吐にはさまざまな原因があり、飼い主が特定するには難しいかもしれません。吐いた後に元気だった、1週間に1回だけ嘔吐したなどという場合は様子を見てもいいですが、不安な場合は動物病院を受診するといいでしょう。吐いた回数やその前後の様子、ほかに症状がないかを観察し、獣医師に伝えることで原因特定の助けになります。

 どのような検査や治療が必要かは、実際に動物病院に行ってみないとわかりません。診療費が不安な場合は、ペット保険に加入しておくことをおすすめします。

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ガイア動物病院 院長 松田 唯

監修者 ガイア動物病院 院長 松田 唯

埼玉県生まれ。北里大学獣医畜産学部卒業後、千葉県内と東京都内の動物病院で勤務。
2019年7月、ガイア動物病院(東京都杉並区)開設、院長となる。大学時代は医療の専門用語が苦手だったこともあり、治療法や薬について分かりやすく説明し、治療法のメリット・デメリットを理解して飼い主さまが選択できる診療を心掛けるようにしています。
 ●ガイア動物病院 

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