火災保険料の仕組み
火災保険料はどうやって決まる?
火災保険料は、建物の所在地、構造、契約期間など、さまざまな条件によって決まります。条件について解説する前に、保険料が「純保険料」と「付加保険料」の2つから成り立っていることをお話しします。「純保険料」とは、火災などが起きたときに受取人に支払う保険金の原資になる部分です。「付加保険料」とは、保険会社が事業運営に用いる必要経費や利益、保険代理店に支払う手数料などに充てる部分です。
火災保険料は何で左右される?
保険料に影響する条件は主に下記のものになります。
建物の種類(共同住宅/戸建て)
共同住宅(マンション)の場合、保険の対象は専有部分のみになります。それに対して、戸建ては建物全体が対象となりますので、戸建ての方が保険料は高額になります。
建物の構造(マンション構造/耐火構造/その他の構造)
燃えにくい構造の建物の方が、火災保険料は安くなります。構造は下記の3種類に分けられます。保険料は、マンション構造(M構造)の建物がもっとも安く、その他の構造(H構造)の建物がもっとも高くなります。
・マンション構造(M構造) コンクリート造や耐火建築物などのマンション
・耐火構造(T構造) コンクリート造、鉄骨造、耐火建築物などの戸建て
・その他の構造(H構造) 木造の戸建てなど
建物の所在地
災害にあうリスクは場所によって異なるため、建物の所在地が保険料に影響します。建物の密集エリアは、他の建物で起きた火災が延焼するリスクが高いため、保険料が高くなります。海や川の近くにあって水害のリスクが高い場所では保険料が高くなります。
築年数
建ってから年数が経過している建物の方が保険料は高くなります。年数が経つほど、電気設備の老朽化による火災のリスク、台風による損壊リスク、水漏れリスクなどが高まるためです。
専有面積、延べ床面積
マンションの場合は専有面積、戸建ての場合は各階の床面積を足し合わせた延べ床面積によって、保険料が変わります。広ければ、それだけ補償される範囲が広がるので、保険料が高くなります。
補償内容
火災保険ですので火災を対象とするのは必須ですが、風災、水災、盗難、地震などを補償対象とするかどうかで、保険料が変わってきます。幅広いリスクに備えようとすれば、それだけ保険料も高額になります。
保険の期間・支払い方法
毎年契約を更新して1年ごとに支払うよりも、長期契約を結んで保険料を一括で支払う方が、割引が適用されて安くなります。以前は35年の長期契約が可能でしたが、現在では最長で5年までとなっています。
火災保険料の相場
火災保険料の相場をみていきます。(保険期間を5年間として見積もりを取り、1年あたりの保険料を表示しています。ここに掲載した保険料はあくまで目安です。保険料は条件によって異なるため、実際に加入を検討されるときは、ご自身に合った条件で見積もりを取るようにしてください)
[条件別]に火災保険料の相場をチェック
まず、火災保険料に大きな影響があるのは「地震保険」の有無です。地震保険は、地震や噴火、津波、それらを原因とする火災などによって生じた建物と家財の損害を補償するものです。意外と知られていないのですが、地震を原因とする火災は、火災保険だけでは補償されません。契約時に地震保険のオプションを付ける必要があります。地震保険の補償金額は、火災保険の保険金額の30〜50%の範囲内で設定できます(建物は5000万円、家財は1000万円が上限)。地震保険は単体では加入できず、常に火災保険に付帯する形で加入することになっています。
(2023年9月現在)
地震保険を付けると、保険料はぐっと高額になります。たとえば、A社で[戸建て]、[最低限の補償]、[地震保険なし]なら、年間の保険料は1万1000円です。ところが、[地震保険あり]にすると10万8000円と、10倍に跳ね上がります。10倍というのは極端なケースですが、他の保険会社でも、[地震保険あり]と[地震保険なし]の間には、それなりに大きな額の差が生じています。
実は、地震保険の保険料はどの保険会社でも同じです。見積もりの表で[地震保険あり]の保険料から[地震保険なし]の保険料を引き算すると、[戸建て]で9万6000円か9万7000円、[マンション]で4万8000円か4万9000円と、3社ともおよそ同額になっています。なぜなら、地震保険は、国が政策的に設けた保険制度で、加入条件が同じならどの保険会社でも同じ保険料になるように決まっているからです。
地震保険の保険料は、建物の所在地、構造、免震・耐震性能などによって異なります。また、地震保険料は税控除の対象です(火災保険料は税控除の対象ではありません)。確定申告や年末調整のときに、その年に支払った地震保険料を、所得税は5万円、住民税は2万5000円を上限に控除できます。
【監修者:ファイナンシャルプランナー/経済ジャーナリスト 酒井富士子】
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