2015年05月26日 08時30分

貴重な「キティ」から「大物のサイン」まで! お宝満載の東証“資料館”

東証の資料館にある「キティちゃん付きのサンリオ株券」 (C)oricon ME inc. [拡大する]

東証の資料館にある「キティちゃん付きのサンリオ株券」 (C)oricon ME inc.

 海外旅行者や修学旅行生などから人気の観光スポットとなっている日本最大の金融取引所「東京証券取引所(東証Arrows)」(以下、東証)。これまで“大人の社会科見学”として、メインの「マーケット・センター」や子供から大人まで夢中になる「体験コーナー」を紹介してきた。今回は、貴重なお宝がたくさん展示されている「証券史料コーナー」をお伝えしよう。

 東証の前身である東京株式取引所が売買立会を開始したのは、1878年(明治11年)。それ以来、130年以上の歴史があるだけに、東証にはここでしか決して見られない証券に関する貴重な史料がたくさん残されている。建物1階にある「証券史料コーナー」には、貴重なキティちゃんや大隈重信の直筆サインなど、マニアだけでなく、証券に関する知識のない人でも楽しめる展示物が至るところに飾れているのだ。ここでは、その中からいくつか特に注目すべきものをピックアップしていく。

■これは見逃せない! 珍しい大隈重信の直筆サイン

 この史料コーナーで、必ず見ておきたいものは、東京証券取引所の前身「東京株式取引所(東株)」の創立証書。1878年(明治11年)5月15日、大隈重信大蔵卿の免許を受けて設立されたときの証書である。

 注目すべきは、当時の大蔵卿である大隈重信の直筆サイン。大隈重信ほどの人物であれば、書き残したサインなどは普通にあると思ってしまうが、実はこうしたものはほとんど残っていないそうだ。一節には字が汚いことを本人が気にしていたためと言われている。そういったこともあり、このサインは絶対に見逃さないでほしい。

■電子化以前を懐かしむ!? 貴重な株券の数々

 2009年に電子化されてから、目にする機会がなくなった株券。最近まで使われていた株券を記念に持っている人もいるかもしれないが、同所では戦前に発行されたものなど、めったにお目にかかれない古い株券が多数展示されている。現在上場されている会社の初期の株券もあれば、もう存在しない会社の株券もあり、株式会社の栄枯盛衰を感じることもできる。ここからは訪れた際に見ておくべき、オススメの株券を紹介する。

【1】「東京株式取引所」(東株)の株券
 日本で初めて上場された東証の前身「東京株式取引所」(東株)の株券。明治11年7月15日に上場された。日本資本主義の父ともいわれる渋沢栄一氏が設立した同会社は、公益を目的にした法人に思われがちだが、意外にも営利目的でスタートしている。

【2】「第一銀行」の株券
 株式会社第一銀行は、明治5年制定の国立銀行条例に基づいて、同6年に設立された銀行。株主の有限責任や利益計算に基づく配当の実施などの点から、我が国で最初の株式会社といわれている。

【3】「南満州鉄道」の株券
 南満州鉄道株式会社、いわゆる「満鉄」の株券。明治時代の末期から終戦までという期間しか存在していない会社の株券だが、特別な存在感を放っている史料だ。

【4】「福助」の株券
 独特の意匠が印象的な福助株式会社の株券。デザインを見ただけで「福助」の株券であることは一目瞭然だ。株券は、偽造されないデザインで発行するのが重要なことだが、株主から愛着をもってもらえそうな、親しみやすいデザインのものもあった。

【5】「キティちゃん付きのサンリオ」の株券
 比較的新しい時代のものだが、株式会社サンリオの株券。株券自体も会社のイメージに合うかわいらしいデザインだが、シルバーのキティちゃんのぬいぐるみ付きということで、発行当時は話題になった。

 こららを見てもわかるように、今や貴重な株券のデザインは、それぞれの会社の個性が垣間見える。今回紹介しきれないが、証券史料コーナーにはこのほかにもたくさんの株券が展示されている。自分好みの株券を探すのもいいだろう。

■情報伝達を支え続けた「場電」

 「紙」の史料が多い中でちょっと目を引くのが、昔の「場電」だ。場電とは、立会場と会員の証券会社とを結ぶ専用電話のこと。1999年4月に場電による取引は廃止されているが、明治時代からずっと情報伝達の手段として活用されてきた。

 資料館にある最も古い場電は、昭和16年から昭和20年ごろに使用されていた木製のもの。ハンドルを回して使用する磁石式電話機だ。

 その後に使用された場電も展示されている。時代とともに変化した場電の姿からは、徐々に近代化していく取引所の様子をうかがい知ることができるだろう。

 貴重な史料はたくさんあり、全部は紹介しきれないのだが、一通り見てみると証券取引所の歴史だけでなく、明治時代から現代までの日本の歴史をも振り返ることができる。

 さらに興味がある場合は、東証の見学前や見学後に、証券取引所周辺のスポットを見ておくのもオススメだ。兜町の由来となった兜神社、銀行発祥の地である第一銀行跡などがある。余裕があれば、こちらにも足を運んでみてはいかがだろうか。

 次回は、ちょっと人に自慢したくなる、東証見学の「豆知識」についてお伝えする。お楽しみに。

(記事/川口沙織)

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