投資信託にかかる手数料の目安はいくら?内訳や商品選びのポイントも紹介

投資信託にかかる手数料の目安はいくら?内訳や商品選びのポイントも紹介

投資信託での運用を考えている人には、投資信託にかかる手数料が気になる人も多いのではないでしょうか。

基本的に投資信託には3つの手数料があり、中でも保有中ずっと発生する信託報酬は運用コストに大きな影響を与えるため、できるだけ低く設定されているものを選ぶことが大切です。

今回は投資信託にかかる手数料の目安や、運用スタイルによる手数料の違いについて解説するとともに、あらためてNISAの仕組みについても紹介します。投資信託での運用を考えている人は、ぜひ参考にしてください。

mokuji目次

  1. 投資信託の仕組みと手数料の基礎知識
    1. 投資信託に手数料がかかるのはなぜ?
    2. 投資信託の手数料はどこで確認できる?
  2. 投資信託にかかる3つの手数料と目安
    1. 購入時手数料
    2. 信託報酬
    3. 信託財産留保額
  3. 信託報酬はいつ引かれる?
  4. 投資信託の運用スタイルによる信託報酬の違いは?
    1. アクティブファンド
    2. インデックスファンド
  5. 投資信託は信託報酬が低いものを選ぶべき?
    1. 信託報酬が低い場合の運用成績
    2. 信託報酬が高い場合の運用成績
  6. 投資信託の手数料を抑えるポイント
  7. 投資信託ではNISAにも注目!
    1. NISAの仕組みをおさらい
    2. NISAも信託報酬はかかる?
  8. 投資信託の手数料の目安を把握して商品選びに活かそう

投資信託の仕組みと手数料の基礎知識

投資信託の仕組みと手数料の基礎知識

資産運用におけるおすすめの商品として投資信託が注目されています。投資信託は少額から始めることができ、リスク分散を意識した長期運用にも適しているため、初心者にもおすすめです。

ただ、投資信託には手数料がかかります。かかる手数料は投資信託の商品によって異なるため、なるべく手数料が低い商品を選ぶことで運用コストを抑えられます

ここでは、なぜ投資信託に手数料がかかるのかについて説明するとともに、投資信託の商品にかかる手数料の確認方法について解説します。

投資信託に手数料がかかるのはなぜ?

投資信託に手数料がかかるのは、投資信託の仕組みが関係しています。

投資信託を購入する際には、証券会社を通じて購入しますが、証券会社は販売会社の役割を持っています。そして販売会社が集めた資金を信託銀行が管理します。そのため、信託銀行は受託会社とも呼ばれます。

実際の運用は運用会社が行いますが、運用会社は委託会社としての立場にあります。

投資信託にはこのように販売会社受託会社委託会社の3つが関わっており、それぞれの役割を果たすための費用が発生します。そのため、それらの費用の一部を投資家に負担してもらう目的で手数料が設定されているのです。

投資信託の手数料はどこで確認できる?

実際に購入しようと思っている投資信託商品の手数料は、その商品の「交付目論見書」で確認できます。交付目論見書には、販売会社、受託会社、委託会社ごとに発生する費用の内容が記載されており、どのくらいの手数料がかかるのかが分かります。

また、保有中にかかる信託報酬額を計算できるツールを紹介しているサイトもあり、投資額や投資期間によってどのくらい差し引かれるのかも確認できますので活用してみましょう。

投資信託にかかる3つの手数料と目安

投資信託にかかる3つの手数料と目安

ここからは、投資信託にかかる3つの手数料の詳細と、その目安について解説します。

投資信託には、以下の3つの手数料が発生します。
購入時手数料
信託報酬
信託財産留保額

購入時手数料

購入時手数料とは、文字どおり、投資信託の購入時にかかる手数料です。手数料額は販売会社が独自に決定しますので、購入する証券会社によって異なるケースもあります。

ちなみに購入手数料を受け取るのは販売会社です。委託会社(運用会社)や受託会社(信託銀行)が受け取ることはありません。また、最近ではノーロード商品といって、購入時手数料がかからない商品もあります。

購入時だけにかかるからと軽く考えがちですが、積立購入を行う際にはその都度購入手数料が差し引かれることになりますので注意しておきましょう。購入時手数料の目安は0%〜5%程度です。

100万円で投資信託を購入するとしても、購入手数料が1%と2%ではそれぞれ1万円、2万円と大きな差が生じます。さらに購入手数料は消費税の課税対象ですので、額が大きいほど初期負担も多くなります。

投資信託を購入する際には、証券会社のサイトで購入手数料を確認し、手数料が低く設定されている証券会社で購入することをおすすめします。

信託報酬

信託報酬とは、投資信託を保有している間ずっとかかる手数料です。

そのため、わかりやすく運用管理費用と呼ばれることもあります。信託報酬は投資信託に関係する販売会社、委託会社、受託会社すべてに関係するコストで、毎日定められた手数料が差し引かれる仕組みです。

投資信託の基準価額は1万口当たりの金額で表示されるため、信託報酬がどのくらいかかるのかを計算するためには以下の計算式を用います。
1万口当たりの信託報酬=保有期間中の平均基準価額×信託報酬率×(保有日数/365)
通常、投資信託にかかる信託報酬の目安は年0.1%〜3.0%程度です。

最近では信託報酬を0.1%台にしている商品も多く見られますので、運用する商品を選ぶ際には必ず信託報酬がどのくらいに設定されているかを確認し、できるだけ低く設定されている商品を選ぶようにしましょう

信託財産留保額

信託財産留保額とは、投資信託を解約する時にかかる手数料です。なぜ解約する時にも手数料が取られるのか不思議に感じる人もおられるかもしれません。

投資信託を解約すると、投資先の株式などを現金化しなければならず、投資先が多いほどその費用も高額になります

そして、それらのコストを現在まだ保有しているほかの投資家が負担するのは公正性を欠くという理由から、売却した際にかかる費用を投資信託の資産に組入れ、ほかの投資家に還元する仕組みを取っているのです。

信託財産留保制度を導入している商品は少なくなっているものの、導入されているケースもあるため購入前に確認しておきましょう。

信託財産留保額の目安は、解約時の投資信託の基準価格の0%〜0.1%程度ですが、中には0.3%などと高く設定されているものもあるため注意が必要です。ちなみに信託財産留保額は消費税の課税対象外です。

信託報酬はいつ引かれる?

信託報酬はいつ引かれる?

信託報酬は、日割換算した金額が日々投資信託の商品(ファンド)の基準金額から差し引かれます。

仮に保有しているファンドの信託報酬が0.2%で、ファンドの基準価額が20,000円の場合、その日の信託報酬額である20,000円×0.2%÷365日=約0.11円が差し引かれる仕組みです。

ちなみに公表されている基準価額はすでに信託報酬の額が差し引かれています。

投資信託の運用スタイルによる信託報酬の違いは?

投資信託の運用スタイルによる信託報酬の違いは?

投資信託は商品によって運用スタイルが異なります。運用スタイルは大きく「アクティブファンド」と「インデックスファンド」に分けられ、アクティブファンドの方が信託報酬が高く設定されている傾向があります。

ここでは、投資信託の運用スタイルの違いを解説するとともに、なぜ信託報酬がそれぞれで異なるのかについて説明します。

アクティブファンド

アクティブファンドとは、運用の指標となるベンチマークや市場平均を上回る運用成果を目指すファンドを指します。また、市場が下落している局面では、いち早く影響を回避する戦略が必要です。

そのため、インデックスファンドより高い運用成績が期待できる反面、運用コストがかかるため、それが信託報酬に反映されるのです。

アクティブファンドでは、そのファンドのファンドマネージャーやアナリストが関わっており、さまざまな方法で分析を行います。その人件費が信託報酬に反映されるため、どうしても信託報酬が高く設定される傾向があります。

インデックスファンド

インデックスファンドとは、アクティブファンドと異なり、指標とするベンチマークや市場平均に連動した運用を目指すことを目的としています。そのため、アクティブファンドほどの運用成績は期待できないものの、低リスクで安定した資産運用が行えるといった特徴があります。

投資先も指標とするベンチマークや市場平均に沿ったものを選べばいいため、アクティブファンドと比べると運用に関するコストが少なくて済み、最終的に信託報酬が低くなる傾向があります。

投資信託は信託報酬が低いものを選ぶべき?

投資信託は信託報酬が低いものを選ぶべき?

信託報酬は投資信託を保有している間毎日かかる手数料です。そのため、できるだけ信託報酬の低いファンドを選ぶことによって運用にかかるコストを低減できるでしょう。

しかし、だからといって信託報酬が低いファンドが必ずしも良いというわけではありません。このことを前提に、信託報酬が低い場合と高い場合の運用成績について説明します。

信託報酬が低い場合の運用成績

信託報酬が低ければ、投資家へのリターンは大きくなります。逆に信託報酬が高いほど投資家が得られるリターンは減ってしまいます。

仮に同じファンドを100万円で購入し、5年間運用したとしましょう。信託報酬が0.5%だった場合、5年間の信託報酬額は約32,000円、受け取れる利益は331,295円です。

しかし、信託報酬が1.2%だった場合、5年間にかかる信託報酬額は約75,750円となり、倍以上の差が生じます。その分受け取る利益が少なくなり、最終的に受け取る利益は約285,900円となってしまいます。

つまり、同じ利回りのインデックスファンドを選ぶなら、信託報酬が低い商品を選ぶことでより運用成績が良くなる可能性があるのです。

信託報酬が高い場合の運用成績

上でも述べたとおり、アクティブファンドはインデックスファンドに比べ信託報酬が高く設定されている傾向があります。

ただ、アクティブファンドの性質上、ファンドマネージャーの積極的な運用によって、指標としているベンチマークや市場平均を上回る運用成果を得られ、運用成績が伸びることが期待できます。

そのため、アクティブファンドの商品同士では、信託報酬の違いだけで優越がつけにくいといった特徴があり、ファンドマネージャーの過去の実績や、どのようなアナリストが絡んでいるのかといった情報を重視することが大切です。

投資信託の手数料を抑えるポイント

投資信託の手数料を抑えるポイント

投資信託の手数料を抑えるポイントには、以下のものがあります。
・インデックスファンドを選ぶ
・ノーロード商品の購入を検討する
・信託財産留保額の導入の有無を確認する
インデックスファンドは信託報酬が低く設定されており、運用コストを抑える効果が期待できます。投資信託は基本的に長期で運用するため、期間が長ければ長いほど運用コストにかかる影響も大きくなります。

ノーロード商品とは購入手数料がかからない商品を指します。そのため、運用に関する初期費用を抑えられます。

また、信託財産留保額が設定されているかは投資信託の商品によって異なります。交付目論見書で確認できますので、解約時にかかる手数料を抑えたいなら、信託財産留保額の制度が導入されていないものを選ぶことをおすすめします。

投資信託ではNISAにも注目!

投資信託ではNISAにも注目!

投資信託にかかる運用コストは手数料だけではありません。実際には運用益や分配金、配当金を受け取る際に20.315%の税金がかかります

そのため、投資信託を利用した運用を考えているなら、NISA(小額投資非課税制度)も活用しましょう。ここでは投資信託とNISAの関係について説明します。

NISAの仕組みをおさらい

NISAは口座内で新たに購入した投資信託や株式などから得られる売却益や配当金、分配金が非課税になる制度で、2024年からさらに使いやすくなったことで注目されています。

NISA口座は1人1口座しか開設できませんが、日本に住んでいる18歳以上の人なら誰でも開設できます。

また非課税枠はつみたて投資枠と成長投資枠で異なり、つみたて投資枠は年間120万円、成長投資枠は年間240万円までとなっています。非課税で運用できる期間に制限はなく、非課税で保有できる限度額は最高1,800万円(その内成長投資枠は1,200万円)までです。

つみたて投資枠では投資信託しか購入できませんが、成長投資枠では株の購入も可能です。また、つみたて投資枠と成長投資枠は併用できるため、年間最大360万円の非課税枠が用意されていることになります

特にNISAのつみたて投資枠に用意されている投資信託は、長期の積立および分散投資に適していると金融庁が認めた商品に限られるため、リスクを軽減した安定した資産形成が期待できます。

NISAも信託報酬はかかる?

NISAでは売却益や分配金、配当金を受け取る際には非課税で受け取れますが、信託報酬は通常の投資信託と同様に差し引かれます。

ただ、2024年からはNISA口座内にある運用商品を売却した場合でも、翌年以降に売却した商品の取得金額の枠に応じた非課税投資枠が復活し、再利用できます

これによってより効果的な非課税での運用が可能になるため、売却した際には翌年以降の枠の再利用を活用しましょう

投資信託の手数料の目安を把握して商品選びに活かそう

投資信託を利用して運用する際には、投資信託にかかる手数料を考慮する必要があります。特に信託報酬は保有している間ずっとかかるものですので、できるだけ低く設定されているファンドを選ぶことで運用コストを抑えられます。

ただ、運用スタイルによって一概に言い切れない部分もありますので、注意しておきましょう。

また、投資信託で運用するならNISAの活用も有効です。投資信託にかかる手数料はネット証券の方が安く設定されているケースも多いため、口座の開設を考えている際にはネット証券も視野に入れてみましょう。

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