2017年04月01日 11時20分
【資産運用の基礎知識】 “金融商品”はどこまで理解すべき?
金融商品の仕組みを理解していないと危険? マネーに詳しいFPが解説
資産運用の基本として、「自分で理解できない」「仕組みがよくわからない」と思う金融商品は利用すべきではないが、すべてが自分にとって不利益な商品かというと、そうでもない可能性があることは念頭に置いておくべきだろう。
金融商品の中には、一般の人には理解しにくい複雑な仕組みのものが存在するのも事実。そのような複雑な仕組みで作られている商品は、どのようなリスクがあるのか、一般の人にはわかりにくくなっているのが通常である。
商品によっては、販売している金融機関の販売担当者でさえもが、細部までの仕組みをきちんと理解できていないケースも多く存在する。デリバティブ(金融派生商品=基礎的な商品である債券や株式、金利、為替などから派生している商品)などが巧妙に組み込まれている商品は、一般の販売担当者でもどのように組成されているかについて、細部にわたるまできちんと理解することが困難な場合もあるからだ。
商品の内容を理解しないまま利用すると、想定外の大きな損失が発生することもあるので絶対に避けるべきである。
とはいえ、現時点ではよくわかっていない商品の中にも、良い商品があるかもしれない。理解してみると非常に有用な商品であることに気付くかもしれない。そんな意識は常に持っておくべきではないだろうか。
というのも、多くの人が利用していない金融商品の中にも、仕組みがシンプルで、かつコスト負担が非常に軽い、利用者にとってのメリットが大きい商品も存在するからだ。ただしそのような商品は、販売する金融機関にとってのメリットが少ないため、販売担当者も積極的には販売しないうえに、広告宣伝にも載らないのである。
▼理解し、実践してみることが重要
販売担当者が積極的には販売しない、広告宣伝にも載らない金融商品の代表格が、個別の債券や株式である。
例えば先進国の国債などは、大手の証券会社であればどこでも買える。日本の通常の国債であれば額面5万円単位、アメリカの国債であれば額面1000ドル単位、ドイツやフランスなどのユーロ圏の国債であれば額面1000ユーロ単位で買えるのが通常である。
そのような先進国の通常の国債は年1、2回の利払いがあり、満期が来れば額面金額で償還される。適用金利の水準は各国の預金金利よりも高いものが多く、国債であればその国の経済が破綻しない限り満期のお金は保証されている。安全性や優位性が比較的高く、利用者のコスト負担は非常に軽い。ただし、日本の個人向け国債は相対的にコスト負担が重いので、例外だと考えるべきだ。
また、国内外の個別企業の株式も売買委託手数料が自由化されているため、証券会社によってはかなり低コストで買うことができる。個別企業の株式に集中投資をするのは値動きの大きさという意味のリスクは高くなるが、商品性はいたってシンプルである。少額から複数の銘柄に分散投資をすることができるなら、投資信託を利用するよりも低コストにできる。
このようにコスト負担の軽い商品を選ぶことが重要だが、上記のようにシンプルで、かつ低コストの商品は広告宣伝には載らない。だからこそ、知らずに利用しないのはもったいない。まずはこれらのような商品が存在することを知り、商品性を理解し、利用してみることが重要ではないだろうか。預金を通じて間接的に国債を買うのではなく、国債を買ってみるのだ。国債の利息から中間マージンを取られていると考えると、直接国債を買ったほうが有利なことが理解できるはずだ。
<記事/菱田雅生(マイアドバイザー登録FP)>
早稲田大学法学部卒業後、大手証券会社を経て独立系FPに。資産運用や住宅ローンなどを中心テーマに、相談業務や原稿執筆、セミナー講師などに従事している(http://www.la-consul.com)。
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