2018年05月30日 08時50分

知っておきたいインサイダー取引 違反に当たるケースとは

身近に起こりうるインサイダー取引。該当するのはどんな場合だろうか(画像はイメージ) [拡大する]

身近に起こりうるインサイダー取引。該当するのはどんな場合だろうか(画像はイメージ)

 たびたび世間を騒がせるインサイダー取引事件。数億円の利益を上げた、あるいは追徴金や懲役刑が科せられたなどと聞くと、まったく他人事のように感じるかもしれない。しかし、実は一般企業に勤めている普通の人であっても、インサイダー取引として違法行為になってしまうケースがある。特に新社会人などは、新しい環境のなかで色々な情報を得ることもあるだろう。だが、魅力的な情報を得たときに、実は犯罪行為に相当するような株の売買などに手を染めてしまうことのないように、今回はインサイダー取引について紹介する。

■意外と身近に起こり得るインサイダー取引

 インサイダー取引に当たるのは、どのような場合なのだろうか。ごくシンプルに説明すると、以下のような場合を指す。

「公表される前に会社関係者等が重要事実を入手して株式等を売買する」

 このような場合をインサイダー取引といい、法律を違反したことになる。その具体例をさらに見てみよう。

「友人間のケース」
社内でも一部しか知らない「今度、新型の大ヒット商品が出る」という自社の情報を友人に伝えたところ、その友人が株を購入した。

「監査法人のケース」
決算発表前に、監査法人の担当者が業務を通じて会社の財務状況を入手し、自らの持ち株を売却した。

「夫婦間のケース」
夫が会社での人事異動を知り、カリスマ的社長が退陣すると妻に話したところ、妻が株を売却した。

 ここではほんの一例を挙げたが、過去には、マスコミや印刷会社の社員などが最初に挙げた会社関係者等となり、インサイダー取引を行ったケースもあるので注意が必要だ。また、会社関係者にはアルバイト、パート、派遣社員なども含まれるので注意したい。

■証券口座を開設する際に申告

 インサイダー取引を未然に防ぐため、証券取引所で株式の売買ができる上場企業に本人や家族が勤めている場合は、証券口座開設時に企業名の申告が必要だ。証券会社は金融庁から顧客の情報を管理するよう通達を受けており、証券会社の顧客はそれに従う必要がある。

 自分や家族、または親戚が上場企業に勤めている場合、口座の開設時に勤め先の企業を登録しておくと、関与する銘柄を売買できないようにすることもできる。これである程度、インサイダー取引を未然に防ぐことができる。

■友人や親戚などにも注意

 久々に会った友人が、酒の席で勤め先の重大なニュースを口にすることがある。また、甥や姪といった親戚が勤める企業の噂が、話題に上ることもある。インサイダー取引の火種となりそうな話は、実は色々なところに転がっているものだ。そのような話を聞く機会が多い人は「少額なら大丈夫なのでは?」と考えてしまうかもしれない。

 しかし、過去のインサイダー取引事件を見ると、NHKに勤める3人の記者がインサイダー取引により約10万円〜50万円という少額の利益を上げたケースが摘発されて、追徴金が科せられている。金額の多寡には関係なく、不正取引行為は厳しく罰せられるのだ。

 ほんの小遣い稼ぎのつもりで手を出した株式の売買で、大事な社会的信用を失ってしまわないよう、くれぐれも注意したい。

(文/西村有樹)
フリーライター。保険や資産運用などマネー系の分野に強く、「All About」で自動車保険ガイド記事のほか、銀行や保険会社、証券会社などの刊行物、国交省、財務省等官公庁の媒体などで幅広く執筆。そのほか、雑誌『プレジデント』『ベストカー』などでも多数の記事を担当する。

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