2018年06月22日 22時00分

0歳から開設できるネット証券の未成年口座 ジュニアNISAとの違いは?

未成年でも自分名義の証券口座を持つことができる。未成年口座のメリットや注意点を解説(画像はイメージ) [拡大する]

未成年でも自分名義の証券口座を持つことができる。未成年口座のメリットや注意点を解説(画像はイメージ)

 金融資産を子どもや孫の世代へ引き継ぐための手段として「ジュニアNISA」を利用している人も多いだろう。2016年4月にスタートした同制度は、未成年者でも自分名義の証券口座を持つことができると話題になり、口座数は2017年12月末時点でおよそ13万口座と着実に数を増やしている。しかし、18歳になるまでは払い出し不可など制限を受けることもある。そこでもうひとつの選択肢として利用を考えたいのが未成年口座だ。今回は未成年口座とジュニアNISAの違いやメリット、注意点について解説しよう。

■0〜19歳までの未成年者が開設可能

 未成年口座とは、0〜19歳までの未成年者が開設することができる証券総合口座のことだ。主要ネット証券10社を調べたところ、未成年口座を開設できる証券会社は6社あり(図表1参照)、すべての証券会社であらかじめ親権者が総合取引口座を開設していることを条件としている。未成年口座の開設手続きには、親権者の同意書や続柄を示す書類の提出などが必要となる。また、どこの証券会社でも購入できる商品に制限があるが、これは未成年者が大きな損失を被らないよう配慮された商品ラインナップとなっているためだ。

 なお、上記10社のうちネットでの取引はできないが対面取引や電話取引のみ対応している会社が2社、ジュニアNISAを利用する場合のみ未成年者でも口座開設できる会社が2社あった。

■早期から金融を学ぶ機会を持てる

 子どもがまだ小さいうちは実際の運用・管理は親権者などが行うことになるが、中・高校生くらいになれば、経済や社会へ興味を持ちはじめる頃だ。そんな時、自分名義の証券口座があればいち早く投資や金融の仕組みについて学ぶ機会が持てるだろう。失敗も経験することで社会に出る前から“金融リテラシー”を養うことにも繋がるはずだ。

■ジュニアNISAとの違いは?

 ジュニアNISAは、2016年4月からスタートした未成年者向けの少額非課税投資制度で、年間80万円までは投資で得た利益が非課税になる。非課税期間は最長で5年間だ。利益が非課税になるのだから、課税されてしまう未成年口座よりもジュニアNISAを利用した方がメリットは多いように見えるかもしれないが、ジュニアNISAにはいくつか注意が必要なことがある。

 まず、払い出しに制限がある点だ。災害時など特別な場合を除き、口座名義人が18歳になる前に払い出すと、過去の利益に対しさかのぼって課税されてしまう。これではせっかくの非課税の恩恵を受けることができない。また、2023年に制度が終了してしまう点にも注意したい。2023年時点で18歳に到達していない場合、継続管理勘定といって、ロールオーバー(非課税期間の延長)専用の非課税枠に移管することになる。そうすると、20歳になるまでは非課税での保有と売却は可能だが、新規の買い付けはできなくなる。このように、ジュニアNISAにはいくつか制約があるため、投資する額は慎重に考える必要がある。

■制度の違いを把握し使い分けを

 未成年口座とジュニアNISAは、相続対策としても注目が集まっている。暦年贈与(毎年1月1日から12月31日までの間に贈与された金額が110万円以下なら非課税、110万円を超えていたら課税するというもの)を利用すれば、年間110万円までなら贈与税がかからない。その資金を未成年口座などに移し、子どもの投資教育に利用するというわけだ。もちろんのことながら、子どもに投資判断を任せるのであれば投資額は損失を許容できる範囲に留めなければならないので、教育資金を貯めるためジュニアNISAで親がしっかり長期運用する一方で、子どもの投資教育のために未成年口座を利用する、などの使い分けが考えられる。2つの制度の違いを把握し上手に活用しよう。

(文/マネーライター・永井志樹子)

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