猫の腎臓病を予防するために飼い主ができること
今回は、猫の腎臓病の症状や原因のほか、飼い主ができる予防法などについて解説します。
監修者 ガイア動物病院 院長 松田唯
北里大学獣医畜産学部卒業後、千葉県内と東京都内の動物病院で勤務。2019年7月、ガイア動物病院開設、院長となる。
※監修は医療情報についてのみであり、ペット保険への加入を推奨するものではありません。
目次
発症することが多い猫の腎臓病
数時間〜数日で急激に悪化する「急性腎臓病」と、長い期間をかけてゆっくり進行する「慢性腎臓病」の2つがあり、いずれも猫の発症は多く見られます。
また、猫の死因として腎臓病はトップクラスに入ります。腎臓は一度機能が低下すると、元に戻ることはありません。そのため、予防することと、もし腎臓病になってしまったら早期に治療を開始し、できるだけ進行を遅らせることが重要です。
猫の腎臓病で考えられる原因とは?
ここでは、猫の腎臓病で考えられる原因を、急性腎臓病と慢性腎臓病に分けてご紹介します。
急性腎臓病の原因
原因としては、尿道結石や膀胱炎、前立腺肥大などで尿が出なくなることが多いですが、その他に脱水や循環器疾患、出血などで腎臓への血液量が低下することなどでも発症します。
また、感染症による腎炎や、中毒などによる腎障害でも急性腎臓病を起こすことがあり、特に植物のユリによる中毒は危険とされています。ユリは花や葉を食べなくても、飾ってある花瓶の水を飲んだり、花粉を口に入れたりするだけでも急性腎臓病を発症する可能性があるため、猫を飼っている家では厳禁です。
なお、急性腎臓病によって腎機能が低下することで、慢性腎臓病に移行することもあります。急性腎臓病は早期に治療開始するとともに、快復後も様子を見ていくことが必要です。
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慢性腎臓病の原因
加齢で腎機能が低下していくケースのほか、急性腎臓病によるダメージで発症する場合もあり、腎臓腫瘍や多発性嚢胞腎なども慢性腎臓病に含まれます。そのため、はっきりした原因はわかっていないことも多いようです。
慢性腎臓病には、多飲多尿や尿の色が薄くなる、食欲の低下、体重減少、嘔吐、痙攣などの症状がありますが、初期にはあまり見られず、飼い主が気づいたときには進行していることも多々あります。
特に高齢の猫では慢性腎臓病が多いため、普段と違う様子がないか確認してください。
なお、猫の慢性腎臓病にはステージがあります。動物病院での血液検査や尿検査によって、下図のようにステージを分け、それぞれに合った治療を行います。
■猫の腎臓病における進行と症状の4ステージ
猫の腎臓病の予防法
ここでは、飼い主ができる猫の腎臓病の予防法をご紹介しましょう。
水を飲ませる
常温がいい、結露をなめるのが好き、流水なら飲むなど、水の飲み方に好みがある猫も多くいます。よく観察して猫の好きな水の飲み方を探り、できるだけ水を飲めるようにしてください。
なお、水はミネラルウォーターではなく水道水が無難です。特に硬水のミネラルウォーターは猫にとってミネラル分が多すぎて、尿路結石の原因となるとされることがあります。
さらに、塩素殺菌されている水道水と違って、ミネラルウォーターは加熱殺菌しかされていない場合が多く、常温放置することで雑菌が発生するおそれもあるため、避けたほうがいいでしょう。
フードに注意する
市販のキャットフードは猫の年齢に合わせた栄養素が配合されているため、手作りのフードよりも管理がしやすいです。
また、EPAやDHAといったオメガ3脂肪酸は腎機能の低下を抑える働きがあるとされていますし、ウェットフードに慣らしておくと、どうしても水を飲まない猫に水分をとらせることができます。中毒を防ぐためにも、人間の食事を与えるのは避けてください。
腎臓病になってしまった場合は、腎臓病に適したフードが販売されているため、獣医師に相談の上、療法食を与えましょう。
ストレスを与えない
トイレをいつもきれいに保つ、隠れられる場所や部屋を見渡せる場所を作ってあげる、同居人や同居動物との相性によって生活エリアを分けるなど、猫がストレスを感じない暮らしを心掛けてください。
猫とのコミュニケーションの時間を取り、スキンシップしたり、おもちゃで遊んで運動させたりすることも大切です。普段からしっかり猫と関わって、不調があればすぐ気づけるようにしましょう。
定期的に健康診断を受けさせる
また、健康診断を受けることで、腎臓病になってしまった場合でもできるだけ早期発見して、治療を開始することができます。
特に、急性腎臓病を経験した猫は、ダメージによって慢性腎臓病に移行することもあるため、動物病院での経過観察が大切です。
猫の腎臓病は予防と早期発見に努めよう
ただし、飼い主がどんなに注意していても、猫が腎臓病になってしまうことはありますから、早期に発見し、進行を遅らせることも重要でしょう。普段から猫の様子をよく観察し、不調を見逃さないようにしてください。
どのような検査や治療が必要かは、実際に動物病院に行ってみないとわかりません。診療費が不安な場合は、ペット保険に加入しておくことをおすすめします。
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監修者 ガイア動物病院 院長 松田唯
埼玉県生まれ。北里大学獣医畜産学部卒業後、千葉県内と東京都内の動物病院で勤務。
2019年7月、ガイア動物病院(東京都杉並区)開設、院長となる。大学時代は医療の専門用語が苦手だったこともあり、治療法や薬について分かりやすく説明し、治療法のメリット・デメリットを理解して飼い主さまが選択できる診療を心掛けるようにしています。
●ガイア動物病院
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