猫の目やにの原因は?対処法と目薬をさす手順を解説

猫の目やにの原因は?対処法と目薬をさす手順を解説

 目やにがついていることはよくありますが、目やにが体の不調を示すサインである可能性もあります。愛猫の健康を守るためには、注意すべき目やにかどうかをきちんと見分けて、適切に対処することが重要です。

 本記事では、獣医師監修のもと、猫の異常な目やにの見分け方や、目やにができる主な原因目やにの対処法目薬をさすときの手順について解説します。
ガイア動物病院 院長 松田唯

監修者 ガイア動物病院 院長 松田唯

北里大学獣医畜産学部卒業後、千葉県内と東京都内の動物病院で勤務。2019年7月、ガイア動物病院開設、院長となる。

※監修は医療情報についてのみであり、ペット保険への加入を推奨するものではありません。

mokuji目次

  1. 猫の目やにとは?
    1. 異常な目やにの見分け方は?
  2. 猫の目やにが増える原因
    1. 猫風邪
    2. 眼病
    3. 鼻炎
    4. アレルギー症状
    5. 流涙症
    6. 目の傷
  3. 猫に目やにがあるときの対処法
    1. ふやかしてから拭き取る
    2. エリザベスカラーをつける
  4. 猫に目薬をさすときの手順
    1. 1. 目薬を人肌に温める
    2. 2. バスタオルなどで包んで猫を固定する
    3. 3. 背後に回り、目薬が見えない位置からさす
  5. 猫の目やにが多いときは、目やにの色や量、状態の確認を

猫の目やにとは?

 猫の目やには、目に入ったほこりやゴミ、古い細胞などの老廃物が、目を保護している粘液に混ざってできるものです。猫の目の表面は涙で潤されており、まばたきのたびに異物を洗い流しています。ところが、就寝中はまばたきをしないため、寝起きに少量の目やにができてしまうことがあるのです。

 ですから、猫に少量の目やにがついているだけなら、特に問題はありません。ただし、大量の目やにがついているときは、病気やケガの可能性もあります。

異常な目やにの見分け方は?

 正常な目やにと異常な目やにを見分けるには、目やにの量や状態を確認してください。正常な目やには、茶色から赤茶色、または白っぽい色をしています。また、目やにが少量だったり、乾燥していたりするようなら問題はありません。

 一方、目やにが黄色や緑色をしていたり、ネバついていたり、大量に出ているようであれば、目の炎症や病気などの問題がある可能性が高いでしょう。

 なお、異常な目やにがある場合には、目を頻繁にこする、まばたきが多くなる、目が充血する、瞳の色が変わるといった行動・症状が同時に現れることもあります。

猫の目やにが増える原因

猫の目やにが増える原因

 猫の目やには、病気や目の炎症などによって増えることがあります。目やにが多いときは、猫の行動や目の状態に、いつもと違う部分がないか観察してみてください。

 ここでは、猫の目やにが増える代表的な原因について解説します。

猫風邪

 猫風邪上部気道感染症)は、猫の目やにが増える原因として代表的なものです。猫風邪は、ヘルペスウイルスカリシウイルスといったウイルスのほか、細菌などに感染することで引き起こされます。

 主な症状として、目やにの増加以外に、くしゃみ、鼻水、発熱などが現れます。特に、子猫は免疫システムが未熟なため猫風邪にかかりやすく、重症化のリスクも高いので注意が必要です。

眼病

 猫のさまざまな眼病も、目やにの増加を引き起こします。猫の眼病の原因は、病原体の感染や目に入った異物、アレルギー症状、外傷的要因などさまざまで、それぞれ治療法は異なります。

 猫に眼病の症状が見られたときには、すぐに動物病院を受診しましょう。猫に起こりやすい眼病としては、下記のようなものがあります。
<猫に起こりやすい主な眼病>
結膜炎
結膜炎は、猫のまぶたの裏側から白目の表面までを覆う膜(結膜)が、炎症を起こしたものです。白目の部分が赤く充血したり、まぶたが腫れたりするほか、かゆみや痛みから猫が自分で目をこすったりします 。

角膜炎
角膜炎は、猫の目の表面を覆う角膜が炎症を起こしたものです。目を痛がるそぶりを見せたり、目をしょぼしょぼさせたりします。

ブドウ膜炎
ブドウ膜炎は、猫の目の内部にあるブドウ膜が炎症が起こしたものです。白目が充血したり、目の表面が白っぽく見えたり、目をしょぼしょぼさせる行動が見られたりするほか、重度の場合は失明のおそれもあります。

眼瞼内反
眼瞼内反(がんけんないはん)は、まぶたが内側に巻き込まれてしまうものです。まぶたの毛が目を刺激して涙目になったり、目を開けづらそうにしたりする様子が見られます。

鼻炎

 猫の鼻炎も、目やにが増える原因となることがあります。鼻と目は鼻涙管という管でつながっていますが、鼻炎により鼻涙管が炎症を起こすと、涙が正常に排出されにくくなり、涙があふれたり、目やにが増加したりすることがあるのです。

アレルギー症状

 猫の目やにの原因がアレルギー症状のケースもあります。花粉、ハウスダスト、食物などに対するアレルギー反応により、目がかゆくなったり、涙や目やにが増えたりするのです。また、アレルギー性結膜炎の場合、目やにに加えて白目の赤みやまぶたに腫れが生じることもあります。

流涙症

 流涙症は、涙が常に出ていたり、目からあふれてしまったりする症状です。目と鼻をつなぐ鼻涙管の閉塞や、涙の過剰な分泌などが原因で起こります。目やにのほか、涙で目の周りの被毛が変色(涙やけ)することも。特にペルシャ猫やヒマラヤンなどの短頭種(顔の短い猫種)は、流涙症になりやすい傾向があります。

目の傷

 猫の目がついた場合も、目やにが増加します。目の傷ついた箇所を保護するために涙の分泌が増え、結果として目やにが増加するのです。放置すると重症化するリスクが高いため、早急に対処してください

猫に目やにがあるときの対処法

 猫に目やにがあることを見つけたら、拭き取ってあげたくなるもの。しかし、無理して目やにを取ろうとして、かえって目を傷つけてしまうこともあります。ここでは、猫の目やにを発見したときの対処法について解説します。

ふやかしてから拭き取る

 目やにを除去する際は、まずふやかしてから拭き取ることが重要です。乾いた目やにを無理に取ろうとすると、猫の目を傷つける可能性があります。ガーゼやコットンをぬるま湯で湿らせて目やにの上にあて、10〜15秒程置いてふやかした後、毛の流れに沿って優しく拭き取ってください。また、ガーゼやコットンは、両目で使い回さないようにしましょう。

エリザベスカラーをつける

 猫の目やにが多いときは、エリザベスカラーをつけましょう。エリザベスカラーとは、傷口などをなめたり引っかいたりしないように、首の回りにつける保護具です。目やにの原因が感染症や傷である場合、猫が目をかくことで状態が悪化したり、治癒が遅れたりする可能性があります。

 エリザベスカラーはさまざまな場面で役立つので、猫に合ったサイズ・素材のものを用意しておくことをおすすめします。

猫に目薬をさすときの手順

猫に目薬をさすときの手順

 猫の目やにで動物病院を受診すると、目薬を処方されるケースがあります。ところが、猫に目薬をさしたことがないと、初めは苦労するかもしれません。ここでは、猫に目薬をさす手順について解説します。

1. 目薬を人肌に温める

 目の中に突然冷たい薬が入ってくると、猫はびっくりしてしまいます。そこで、点眼の前に目薬の容器を手で軽く握って温めましょう。人肌程度の目薬を使用することで、猫のストレスを軽減することができます。

2. バスタオルなどで包んで猫を固定する

 目薬を正確に投与するため、猫を大きめのバスタオルなどで包み、安全に固定します。猫の顔だけを出して、体をすっぽりと包み込むようにバスタオルを巻いてください。猫が落ち着いていることを確認してから、目薬の点眼に進みましょう。

3. 背後に回り、目薬が見えない位置からさす

 猫に目薬をさすときは、猫の視界に入らない位置から投与することが重要です。まず、バスタオルで包んだ猫を背後から抱きかかえ、片手で顎を優しく上に向けます。次に、もう片方の手で目薬を持ち、猫の目の上方から目薬をさします。目薬の先端が猫の目にふれないよう注意しながら、1〜2滴を目の内側に向けて落としてください。

 投与後は、猫の目を優しく閉じて薬液を広げ、褒めてなでるなどして落ち着かせましょう。また、猫が目をこすらないよう、しばらく様子を見守ることも大切です。

猫の目やにが多いときは、目やにの色や量、状態の確認を

 猫の目やには、少量であれば問題ないことが多いのですが、病気のサインである可能性もあります。目やにの色や量、状態をチェックし、いつもの目やにと違うところはないか確認してください。いつもと違うときや、目をしきりに気にしていたり、目をしょぼしょぼさせたりしているときは、すみやかに動物病院を受診しましょう。

 単なる目やにと思って放置していると、失明などにつながるケースもあるので注意が必要です。なお、万が一大きな病気が潜んでいた場合に備えて、ペット保険の加入を検討してみることもおすすめします。

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ガイア動物病院 院長 松田唯

監修者 ガイア動物病院 院長 松田唯

埼玉県生まれ。北里大学獣医畜産学部卒業後、千葉県内と東京都内の動物病院で勤務。
2019年7月、ガイア動物病院(東京都杉並区)開設、院長となる。大学時代は医療の専門用語が苦手だったこともあり、治療法や薬について分かりやすく説明し、治療法のメリット・デメリットを理解して飼い主さまが選択できる診療を心掛けるようにしています。
 ●ガイア動物病院(外部リンク)

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