公開日：2024-07-22

猫が痙攣を起こしたら？原因や飼い主の対処法を解説

　猫が痙攣（けいれん）を起こした場合、飼い主は何らかの病気を疑う必要があります。いつもとは違う様子にパニックになってしまうかもしれませんが、そういうときこそ冷静に猫の様子を観察し、対処しましょう。
　
　ここでは、猫が痙攣を起こす原因や、飼い主がとるべき対処法を解説します。

監修者ガイア動物病院院長松田唯

北里大学獣医畜産学部卒業後、千葉県内と東京都内の動物病院で勤務。2019年7月、ガイア動物病院開設、院長となる。

※監修は医療情報についてのみであり、ペット保険への加入を推奨するものではありません。

【監修者プロフィール】

猫の痙攣の特徴
猫の痙攣の原因
猫が痙攣を起こしたときの飼い主の対処法
猫の痙攣は、慌てず冷静に対処しよう

猫の痙攣の特徴

　猫の痙攣は、猫の意志とは関係なく、筋肉が収縮と弛緩を繰り返す状態です。人も猫も、体を動かすときは脳が指令を出し、神経から筋肉にそれが伝わって収縮するのが正常な状態ですが、この流れのどこかに異常が起きると、痙攣の発作を起こすことがあります。

　猫が寝ているときや、激しい運動の後などに「ピクッ」と痙攣を起こすこともありますが、それは生理的なもののため問題ありません。

　しかし、痙攣には何らかの病気や異常が隠れていることがあり、その場合は早急な対処が必要です。一度でも痙攣が見られれば、早めに動物病院を受診することをおすすめしますが、特に、下記のような症状があれば、夜間や休日であってもすぐに受診したほうがいいでしょう。

＜すぐに受診が必要な猫の痙攣＞
・痙攣しているあいだ意識がない
・痙攣が2分以上続く
・痙攣が連続して起こる
・痙攣が収まった後も普段と様子が違う

猫の痙攣の原因

　猫が痙攣する原因には、「脳の病気や異常」、「代謝異常」、「誤飲による中毒」などがあります。すぐに対処が必要な場合も多いため、知っておくといいでしょう。

脳の病気や異常

　脳炎や脳腫瘍など、脳に関連する病気や、外傷による脳の損傷などが原因となって、猫が痙攣を起こすことがあります。脳炎は感染症から発症することがあり、脳腫瘍は高齢の猫で多く見られます。

　また、これらの病気や異常を原因にてんかんを発症し、痙攣を起こすこともあります。てんかんは脳の神経細胞が過剰な興奮状態になり、異常な信号が発信されることで痙攣や意識障害が起こります。全身症状なことも、体の一部のみ症状が現れることもあります。

　猫の発症は少ないですが、水頭症も猫が痙攣を起こす原因の１つです。外傷性以外は遺伝が関係していると考えられ、子猫のときに確認できることが多いです。

　なお、猫伝染性腹膜炎（FIP）や猫白血病ウイルス感染症（FeLV）などの感染症によって脳に障害を起こし、痙攣を起こすこともあります。

代謝異常

　腎臓や肝臓の疾患による代謝異常も、猫が痙攣を起こす原因となります。肝臓や腎臓の疾患で機能が低下すると、代謝に異常が起き、体内の毒素が排出されずにとどまることで痙攣のような神経症状を起こすことがあります。

　また、糖尿病を患っていたり、子猫が長時間食事をとれなかったりすることで低血糖を起こし、痙攣につながる場合もあります。事故などで内臓を損傷するなどした場合も、痙攣を起こすことがあります。

誤飲による中毒

　アボカドやチョコレート、ネギ類、ブドウといった、猫にとって害となる食物を摂取することで中毒症状を起こし、痙攣することがあります。中毒は食物だけでなく、人間用の薬、消臭剤、殺虫剤、除草剤、観葉植物などの誤飲でも起こすことがありますから、猫がふれられる位置に置かないよう、注意してください。

　中毒は命に関わることもありますので、もし猫が誤飲した場合は、何を食べたか確認の上、動物病院を受診しましょう。

激しい運動

　激しい運動の後に猫の体の一部が「ピクッ」と痙攣を起こすこともありますが、その場合は心配ありません。筋肉の疲労が原因のため、ゆっくり休ませましょう。

　ただし、意識を失うような痙攣の場合は、すぐに動物病院を受診してください。

猫が痙攣を起こしたときの飼い主の対処法

　猫が痙攣を起こしたら、慌てずに対処することが必要です。痙攣は繰り返し起きることもあるため、対処法を知っておきましょう。

落ち着く

　猫が痙攣すると飼い主は慌ててしまいますが、まずは落ち着いてください。大声を出したりゆすったりすると、かえって悪化させる可能性もあります。

　痙攣を起こしているとき、猫は意識がないことも多いです。猫を落ち着かせようとなでたり抱きかかえたりしがちですが、猫が意識のない状態で噛んでしまい、飼い主がケガをすることもあります。できれば、体にはふれないほうがいいでしょう。

周囲の安全を確保する

　猫が痙攣を起こしたら、まずは安全確保が重要です。周囲に危険なものがあれば遠ざけましょう。

　猫がキャットタワーなど高い場所にいるときに痙攣を起こしたら、落ちてケガをするおそれがあるため、飼い主が注意しなければなりません。前述のように、猫にふれるとケガをする可能性もあるので、周辺にクッションやマットを敷くなどの対処をしてください。

痙攣の時間と猫の様子を確認する

　猫の痙攣は、続いた時間で緊急性を判断できる場合があります。痙攣が起きたら何分間続いたか計り、前後の猫の様子を確認しましょう。

　できれば、動画を撮影しておくと、痙攣が続いた時間がわかり、動物病院を受診した際に医師が診断をしやすくなります。

動物病院を受診する

　猫の痙攣は、深刻な病気が隠れている場合も多いです。特に、初めて痙攣が起きた後は、その後に猫が元気でもできるだけ動物病院を受診するといいでしょう。

　また2分以上続いた場合や、1日に複数回痙攣を起こした場合は、すぐに受診することが望ましいです。

猫の痙攣は、慌てず冷静に対処しよう

　猫が痙攣を起こすとパニックになってしまいますが、深刻な病気の可能性もあるだけに、冷静な対処が必要です。落ち着いて安全確保をした後に猫の様子を確認し、できれば動画撮影もしておきましょう。痙攣が落ち着かないときはもちろん、治まった後でも動物病院を受診しておくと安心です。

　どのような検査や治療が必要かは、実際に動物病院に行ってみないとわかりません。診療費が不安な場合は、ペット保険に加入しておくことをおすすめします。

　オリコンでは、日本最大級の規模で調査を行い、毎年「ペット保険オリコン顧客満足度ランキング」を発表しています。保険料はもちろん、ペットの種類別や精算方法別など、さまざまな視点でのランキングをご確認いただけますので、ぜひ保険会社選びの参考にしてください。

■ペット保険オリコン顧客満足度ランキング

監修者ガイア動物病院院長松田唯

埼玉県生まれ。北里大学獣医畜産学部卒業後、千葉県内と東京都内の動物病院で勤務。
2019年7月、ガイア動物病院（東京都杉並区）開設、院長となる。大学時代は医療の専門用語が苦手だったこともあり、治療法や薬について分かりやすく説明し、治療法のメリット・デメリットを理解して飼い主さまが選択できる診療を心掛けるようにしています。
　●ガイア動物病院

※監修は医療情報についてのみであり、ペット保険への加入を推奨するものではありません。