猫は嘔吐しても大丈夫?危険なサインと正常な吐き方を解説

猫は嘔吐しても大丈夫?危険なサインと正常な吐き方を解説

猫は健康なときでもよく嘔吐をする生き物です。そのため、猫が吐いても「またか」程度で、心配することは少ないかもしれません。

しかし、いつもどおりの嘔吐だと思っていたら、実は重大な病気が隠れていたという可能性もあります。

今回は、猫の嘔吐について解説しますので、動物病院を受診すべきもの、様子を見てもいいものを判断する際の参考にしてください。
※監修は医療情報についてのみであり、ペット保険への加入を推奨するものではありません。
安田賢

監修者 まさの森・動物病院 院長 安田賢

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日本獣医生命科学大学卒業。
幼少期より動物に興味を持ち、さまざまな動物の飼育経験を持つ。
2012年11月、石川県金沢市にまさの森・動物病院を開業。
・獣医がん学会
・日本エキゾチックペット学会
・鳥類臨床研究会(鳥類臨床研究会認定医)
・爬虫類・両生類の臨床と病理のための研究会

■所属先

まさの森・動物病院

https://masanomori.com/

mokuji目次

  1. 猫が嘔吐しやすい理由とは
    1. 嘔吐と吐出の違い
    2. 猫の体の構造と嘔吐しやすさの関係
    3. 猫が嘔吐しやすい主な原因
  2. 猫の嘔吐は吐いたもので判断する
    1. 嘔吐物が毛玉
    2. 嘔吐物が透明の液体
    3. 嘔吐物が黄色い液体や泡
    4. 嘔吐物が赤やピンクの液体
    5. 嘔吐物が茶色や黒
    6. 緑色の液体や泡
    7. 食べ物以外の異物
    8. 動くもの(寄生虫)
  3. 猫の嘔吐は様子で判断する
    1. 1日に1〜2回嘔吐したが元気
    2. 1日に4回以上吐いている
    3. 3日以上毎日嘔吐している
    4. 発熱や下痢なども併発している
  4. 嘔吐のほかに注意したい症状のサイン
    1. 嘔吐物に血が混じるとき
    2. 脱水症状が疑われるとき
  5. 猫が嘔吐したときの対処法
    1. 自宅で様子を見てよいケースの対処法
    2. 動物病院を受診するときの準備
  6. 猫の嘔吐で疑われる病気の種類
    1. 消化器系の疾患(胃腸炎・腸閉塞)
    2. 泌尿器・内分泌などの全身疾患
  7. 猫の嘔吐を予防するためにできること
    1. ブラッシングと毛玉ケア
    2. 食事管理で早食い・空腹を防ぐ
  8. 猫の嘔吐は嘔吐物と様子を見て、受診を検討しよう

猫が嘔吐しやすい理由とは

猫が嘔吐しやすい理由とは

猫は、健康なときでも嘔吐することがある動物です。毛づくろいで飲み込んだ毛を毛玉として吐き出したり、早食いや空腹、ストレスなどをきっかけに吐いたりすることがあります。

ただし、猫が吐きやすい動物だからといって、すべての嘔吐が問題ないものと判断することはできません

嘔吐の回数が多い、何日も続く、元気や食欲がないなどの様子が見られる場合は、病気が隠れている可能性もあります。猫が吐いたときは、吐いたものや吐き方前後の様子をあわせて確認することが大切です。

嘔吐と吐出の違い

猫が吐いたように見える場合でも、実は「嘔吐」と「吐出」という異なる状態に分けられます。

嘔吐は、胃や腸に入った内容物を口から吐き出すことです。吐く前には、おなか全体が大きく動く、よだれが出る、気持ち悪そうにするなどの前ぶれが見られることもあります。

一方、吐出は、食べ物や水が胃に入る前に、食道から逆流して出てくる状態です。食後すぐに起こることが多く、嘔吐のようにおなかを大きく動かさず、前ぶれなく急に吐き出すことが多いです。

吐き方の違いは原因を探る手がかりになるため、猫が吐いたときは、吐く前の様子や吐き方も観察しておきましょう。

猫の体の構造と嘔吐しやすさの関係

猫が嘔吐しやすい理由のひとつは、体のつくりにあります。四足歩行の猫は、人と比べて食道と胃が地面に対して水平に近い位置にあり、体の構造上、吐き戻しが起こりやすいとされています。

また、猫は食道の筋層の構造から、フードが食道にたまりやすく、吐き戻しにつながることがあるともいわれています。嘔吐のしやすさには、こうした体のつくりも関係しています。

猫が嘔吐しやすい主な原因

猫が嘔吐する原因には、病気ではない一時的なものと、病気が関係しているものがあります。

比較的よく見られる一時的な原因としては、次のようなものが挙げられます。
<猫が嘔吐する一時的な原因>
■グルーミングで飲み込んだ毛玉を吐き出す
■早食いや食べすぎで、未消化のフードを吐く
■空腹で胃液や胆汁が逆流する
■ストレスによって胃腸の働きが乱れる
■フードの変更が刺激になり、胃腸に負担がかかる
これらは、吐いたあとに元気や食欲があり、嘔吐を繰り返さない場合は、緊急性が低いこともあります。ただし、同じような吐き方でも、回数が多い、何日も続く、元気がない、体重が減っているといった様子がある場合は注意が必要です。

病気が関係する嘔吐の原因としては、胃腸炎や腸閉塞、異物誤飲、膵炎、腎臓病、肝臓病、甲状腺機能亢進症などが考えられます。
猫の嘔吐は「よくあること」と思われがちですが、原因を見た目だけで判断するのは難しいため、吐いたものや回数、食事との関係、猫の様子をあわせて確認し、いつもと違う場合は早めに動物病院へ相談しましょう。

猫の嘔吐は吐いたもので判断する

猫の嘔吐は吐いたもので判断する

猫の嘔吐が様子を見ていいものか、心配になることもあるでしょう。

ここでは、猫が吐いたもので様子を見てもいい嘔吐受診すべき嘔吐についてご紹介します。色だけではなく、嘔吐の回数や猫の状態などで総合的な判断が必要ではありますが、判断の一助にしてください。

嘔吐物が毛玉

猫が嘔吐したものが毛玉の場合、吐いたあとも元気で、頻度が高くないようなら大きな問題ではないこともあります。

猫はグルーミングの際に抜け毛を飲み込み、その多くは便と一緒に排泄されますが、一部が胃の中にたまって毛玉となり、吐き出されます。

健康な猫の場合、毛玉を吐くのは1ヵ月に1回から数ヵ月に1回程度です。抜け毛が増える換毛期や、長毛種の猫では、やや頻度が高くなる場合もあります。
ただし、頻繁に毛玉を吐く、食欲がない、何度も吐こうとするのに吐けないといった様子がある場合は注意が必要です。

毛玉が胃や腸にたまり、吐き出したり排泄したりできなくなる毛球症の可能性もあるため、動物病院に相談しましょう。予防には、定期的なブラッシングや毛玉ケア用フードの活用が役立ちます。

嘔吐物が透明の液体

猫が透明の液体白っぽい泡を吐いた場合、直前に飲んだ水や胃液などを吐き出している可能性があります。空腹の時間が長くなって胃が刺激を受けたときや、ストレスで胃に不快感があるときにも見られる吐き方です。

吐いたあとも元気や食欲があり、嘔吐を繰り返さないようであれば、食事の間隔や回数を見直してみましょう。ストレスの原因に思い当たることがあれば、生活環境を整えることも大切です。
ただし、透明な液体や泡でも、何度も吐く場合は脱水につながるおそれがあります。嘔吐が続く元気がない食欲が落ちているなどの様子が見られるときは、動物病院で相談しましょう。

嘔吐物が黄色い液体や泡

猫が黄色い液体や泡を吐いた場合は、胃が空になったことで胆汁が逆流し、その刺激によって嘔吐した可能性があります。

空腹の時間が長いと起こりやすいため、食事の総量は大きく変えずに、1回あたりの量や与える回数を見直すとよいでしょう。
また、ストレスによって胃腸の働きが乱れ、黄色い液体や泡を吐くこともあります。

引っ越し、来客、同居動物との関係、トイレ環境の変化など、猫にとって負担になっていることがないか確認してみてください。
ただし、黄色い液体や泡の嘔吐は、胃腸や肝臓、腎臓などの病気の初期症状として見られる場合もあります。何日も続く回数が増える元気や食欲がないといった場合は、早めに動物病院を受診しましょう。

嘔吐物が赤やピンクの液体

猫の嘔吐物が赤やピンク色の場合は、血が混じっている可能性があります。嘔吐の刺激で口の中や食道、胃などの粘膜が一時的に傷つくこともありますが、病気による出血が隠れている場合もあるため注意が必要です。

少量で、吐いたあともいつもどおり元気な場合は、嘔吐による一時的な刺激が原因とも考えられるため、半日程度フードを控え、水も控えめにして様子を見てもよいでしょう。
ただし、ピンク色の液体が口だけでなく鼻からも出ている場合は、肺水腫などの病気が関係している可能性があります。

赤やピンク色の液体を繰り返し吐く元気がない呼吸が苦しそうといった様子が見られる場合は、早めに動物病院を受診してください。子猫や基礎疾患のある猫の場合も、様子を見ずに獣医師へ相談することをおすすめします。

嘔吐物が茶色や黒

猫の嘔吐物が黒っぽい赤黒いコーヒーかすのように見える場合は、消化器官からの出血が疑われます。血液が胃酸などの影響で変化すると、赤ではなく暗い色に見えることがあるためです。胃や腸の潰瘍、腫瘍、異物による傷などが関係している可能性もあるため、できるだけ早く動物病院に相談しましょう。

一方で、嘔吐物が茶色でドロドロしており、普段食べているフードと同じにおいがする場合は、未消化のフードを吐いた可能性があります。吐いたあとも元気や食欲があり、嘔吐を繰り返さないようであれば、しばらく様子を見てもよいでしょう。

また、ドライフードは水分を含むと胃の中で膨らむことがあり、吐き戻しにつながる場合があります。

早食いや食べすぎが疑われる場合は、1回あたりの食事量を減らして回数を増やす、早食い防止食器を使う、ウェットフードを取り入れるなどの工夫をしてみましょう。

緑色の液体や泡

猫が緑色の液体や泡を吐いた場合は、注意が必要です。胆汁が多く混じっている膵臓に炎症が起きている、異物が腸に詰まっているなどの可能性があります。

嘔吐を繰り返している、元気がない、食欲がない、異物を飲み込んだ可能性があるなどの場合は、腸閉塞などの重い病気が関係していることもあります。腸閉塞は命に関わることもあるため、できるだけ早く動物病院を受診しましょう。

食べ物以外の異物

猫の嘔吐物に食べ物以外のものが混じっている場合は、誤飲や誤食のおそれがあります。ひも、ビニール、布、スポンジ、おもちゃの破片などは、遊んでいるうちに飲み込んでしまうことがあるため注意が必要です。

飲み込んだものが嘔吐物や便と一緒に排出されることもありますが、胃腸を傷つけたり、腸に詰まって腸閉塞を起こしたりする場合もあります。特に、ひものように長いものは消化管に絡まるおそれがあり、重篤な状態につながることもあります。

また、猫に有害な植物や食品人間用の薬薬品などを口にした場合は、中毒を起こす可能性があります。

異物を飲み込んだ疑いがあるときは、吐いたあとに元気そうに見えても自己判断せず、何を、いつ、どのくらい飲み込んだ可能性があるのかを確認し、できるだけ早く動物病院に相談しましょう。

動くもの(寄生虫)

猫の嘔吐物の中に動くものが見える場合は、寄生虫の可能性があります。特に、屋外に出る猫、保護したばかりの猫、駆虫歴がわからない猫は注意が必要です。

寄生虫は嘔吐物だけでなく、便の中に排出されることもあるため、便の状態も確認しておきましょう。
嘔吐物に虫のようなものが混じっている場合は、可能であれば密閉できる容器やラップ、アルミホイルなどで包んで動物病院に持参します。持参が難しい場合は、写真や動画を撮影しておくと、獣医師が判断する際の参考になります。
★監修・安田先生
吐いたもので判断というのは難しいですが、「5-10回以上とか、繰り返しの嘔吐」はかなり異常というか、そのまま様子を見て治ることはなく、病院でちゃんと診てもらった方がいいです。
「異物を飲み込んで腸閉塞」とかはこのパターンが多いと思います。
猫が透明の液体白っぽい泡を吐いた場合、直前に飲んだ水や胃液などを吐き出している可能性があります。空腹の時間が長くなって胃が刺激を受けたときや、ストレスで胃に不快感があるときにも見られる吐き方です。

吐いたあとも元気や食欲があり、嘔吐を繰り返さないようであれば、食事の間隔や回数を見直してみましょう。ストレスの原因に思い当たることがあれば、生活環境を整えることも大切です。

ただし、透明な液体や泡でも、何度も吐く場合は脱水につながるおそれがあります。嘔吐が続く元気がない食欲が落ちているなどの様子が見られるときは、動物病院で相談しましょう。

猫の嘔吐は様子で判断する

猫の嘔吐は様子で判断する

吐いたもの以外に嘔吐したときの猫の様子も、動物病院に連れて行くかどうかの判断基準となります。猫が嘔吐したら、その前後の様子をよく観察してみてください。

1日に1〜2回嘔吐したが元気

猫が1日に1〜2回嘔吐したものの、吐いたあとも元気があり、食欲や排泄の様子も普段と変わらない場合は、緊急性が低いこともあります。

ただし、再び吐く元気がなくなる食欲が落ちる下痢などの症状が出るといった変化がある場合は、様子見を続けず動物病院に相談しましょう。

1日に4回以上吐いている

猫が1日に4回以上吐いている場合は、たとえ元気に見えても注意が必要です。

嘔吐を繰り返すと、水分や電解質が失われ、脱水につながるおそれがあります。特に子猫や高齢猫、体力が落ちている猫は、短時間で状態が悪化することがあります。

何度も吐く場合は、胃腸炎異物誤飲腸閉塞内臓の病気などが関係している可能性も考えられます。吐いたあとに一時的に元気そうに見えても、原因が残っていれば再び嘔吐を繰り返すこともあるため、早めに動物病院を受診しましょう。

3日以上毎日嘔吐している

1日に1〜2回程度の嘔吐でも、3日以上毎日続いている場合は、消化器系の疾患が隠れている可能性があります。

また、誤飲や誤食をしたときにも、数日にわたって嘔吐が続くことがあります。ひもやビニール、おもちゃの破片などを飲み込んでいる場合、腸に詰まって重篤化するおそれもあるため、早めの受診が必要です。

実際に吐いていなくても、何度も吐きそうな仕草をする、えずくよだれが増えるといった様子が見られる場合も注意しましょう。嘔吐を引き起こす何らかの刺激や病気が関係している可能性があります。

発熱や下痢なども併発している

猫が嘔吐したときに、発熱、下痢、便秘、震え、ぐったりしている、呼吸が苦しそうといった症状を伴う場合は、すみやかに動物病院を受診しましょう。単なる吐き戻しではなく、感染症や胃腸炎、異物誤飲、中毒、腸閉塞などが関係している可能性があります。

特に嘔吐と下痢が同時に起きている場合は、体内の水分が失われやすく、脱水に注意が必要です。

水を飲めない、ぐったりしている、尿の量がいつもと違うなどの様子が見られる場合は、早めに獣医師へ相談してください。
猫は体調不良を隠しやすい動物です。嘔吐に加えてほかの症状があるときは、「少し様子を見る」よりも、早めの受診を優先したほうが安心です。

嘔吐のほかに注意したい症状のサイン

嘔吐のほかに注意したい症状のサイン

猫が嘔吐したときは、吐いたものの色や内容だけでなく、嘔吐と一緒に出ている症状にも注意が必要です。

血が混じっている、ぐったりしている、異物を飲み込んだ可能性がある、何度も吐き続けているといった場合は、早めの受診が必要な状態と考えられます。

嘔吐物に血が混じるとき

赤やピンク色の嘔吐物が少量で、吐いたあとも元気な場合は、嘔吐の刺激によって一時的に粘膜が傷ついた可能性もあります。ただし、血の量が多い、色が濃い、嘔吐を繰り返す、元気や食欲がないといった場合は、病気による出血が隠れていることもあるため、早めに動物病院を受診しましょう。

黒っぽい嘔吐物や赤黒い嘔吐物が見られる場合も、消化器内での出血の可能性があります。血液が胃酸などの影響で暗い色に変化し、赤ではなく黒っぽく見えることがあるためです。

血が混じる嘔吐の背景には、口の中や食道の傷、胃腸の炎症、潰瘍、異物による損傷、中毒や血液が固まりにくくなる病気などが関係していることがあります。少量で判断に迷う場合や、いつもと様子が違う場合は、自己判断せず動物病院に相談すると安心です。

脱水症状が疑われるとき

猫が嘔吐を繰り返すと、体内の水分だけでなく、電解質も失われることがあります。電解質は体の働きを保つために必要な成分で、不足するとぐったりする、動きが鈍くなる、食欲が落ちるなどの不調につながります。

下痢を伴う場合は、さらに脱水が進みやすくなるため注意しましょう。

脱水が疑われるサインとしては、口の中が乾いている、目が落ちくぼんで見える、皮膚を軽くつまんで離したときに戻りが遅い、尿の量がいつもと違うなどがあります。
ただし、これらの確認方法だけで脱水の程度を正確に判断することはできません。

水を飲んでも吐いてしまう、何度も嘔吐している、ぐったりしている場合は、自宅で水を飲ませるだけでは回復が難しいことがあります。状態によっては、皮下点滴や静脈点滴などの補液が必要になる場合もあるため、脱水が疑われるときは早めに動物病院を受診してください。

猫が嘔吐したときの対処法

猫が嘔吐したときの対処法

猫が嘔吐したときは、まずは落ち着いて猫の様子と嘔吐物を確認しましょう。

吐いた回数、吐いたものの色や内容、食事からどのくらい時間が経っているか、元気や食欲があるかを見て、緊急性が高い状態かどうか判断します。

毛玉や早食いによる一時的な嘔吐で、吐いたあとも元気があるなら自宅で様子を見られることもあります。

一方、嘔吐を繰り返す血が混じる異物誤飲が疑われるぐったりしている下痢や発熱を伴う場合は、早めに動物病院を受診してください。

自宅で様子を見てよいケースの対処法

猫が1回だけ吐いたものの、吐いたあとも元気や食欲があり、下痢や発熱などの症状がない場合は、胃腸を休ませながら様子を見てもよいでしょう。

成猫であれば、嘔吐直後はすぐにフードやおやつを与えず、6〜12時間ほど食事を控えることが目安です。

また水分補給は大切ですが、一気に飲ませると胃が刺激され、再び吐いてしまうことがあります。

嘔吐直後は少量ずつ水を与え、飲んだあとに吐かないか確認しましょう。無理に飲ませたり、一度に多量の水を与えたりするのは避けてください。
しばらく経っても吐かず、元気がある場合は、少量のフードから再開します。

最初から普段どおりの量を与えるのではなく、少しずつ与えて、吐き気が戻らないか確認しましょう。再び吐く、食欲が戻らない、元気がない場合は、様子見を続けず動物病院に相談してください。

なお、子猫や高齢猫、持病のある猫、肥満気味の猫は、食事を控えることが負担になる場合があります。特に猫は、食べない状態が長く続くと体調悪化につながるおそれがあるため、自己判断で長く食事を抜かず、不安がある場合は早めに獣医師へ相談しましょう。

動物病院を受診するときの準備

動物病院を受診するときは、嘔吐の状況をできるだけ具体的に伝えられるようにしておくと、診察の参考になります。

記録しておきたい内容は、吐いた時間、回数、吐いたものの色や内容、食事からの経過時間、吐く前後の様子、元気や食欲の有無、下痢や熱っぽさなどほかの症状の有無です。

誤飲や誤食が疑われる場合は、何を、いつ、どのくらい飲み込んだ可能性があるのかも確認しておきましょう。おもちゃやひも、ビニール、植物、人間用の薬など、原因になりそうなものが残っていれば、可能な範囲で受診時に持参すると診断の手がかりになります。
<記録しておきたい嘔吐の内容>
■吐いた時間
■吐いた回数
■吐いたものの色や内容
■食事からの経過時間
■吐く前後の様子
■元気や食欲の有無
■ほかの症状(下痢や熱っぽさなど)
■誤飲や誤食が疑われる場合:何を、いつ、どのくらい飲み込んだ可能性があるのか
嘔吐物は、可能であれば写真や動画で撮影しておくとよいでしょう。実物を持参できる場合は、ラップやアルミホイル、密閉できる容器などに入れて保管します。ティッシュに包むと水分が吸い取られ、色や状態が分かりにくくなることがあるため注意してください。
★監修・安田先生
受信される際に以下のものがあると助かります。

1. 吐いているときの「動画」を撮影する
吐いているという主訴で来ていただいたものの、実際に話を聞いていると嘔吐ではなさそう、ということもあります。ですので、吐いている最中の猫の様子(お腹の動き、えずき方、よだれの様子など)を数秒でも動画で撮影してお見せいただけると、「嘔吐」なのか「吐出(食道からの逆流)」、あるいは「咳」なのかを正確に判別する大きな手がかりになります。
そこを間違うと、誤診します。

2. 嘔吐物の写真または実物
写真を撮る際は、大きさが伝わるようにコインや指などを横に置いて撮影すると分かりやすいです。
実物を持参する場合は、ティッシュで拭き取ると水分や色が吸い取られてしまうため、ラップやアルミホイルに包むか、チャック付きビニール袋に入れてお持ちください。pHなどを診ることで、嘔吐物なのか、便なのか、わかったりすることもあります。

3. 直近で食べたフードのパッケージや誤飲した可能性のあるものの「現物」
新しく切り替えたフードの袋や、おもちゃの残骸、かじられた紐などの現物があれば一緒にお持ちください。
特になんらかの毒物を食べてしまった場合は、それがあるのとないのとでは、その後の治療方針に大きく関わることもあります。例えば、乾燥剤といっても危険なものとそうでないものもあります。

猫の嘔吐で疑われる病気の種類

猫の嘔吐で疑われる病気の種類

猫の嘔吐は、毛玉や早食いなどの一時的な原因で起こることもありますが、病気の症状として現れる場合もあります。

嘔吐の原因となる病気は、胃や腸などの消化器に関係するものだけでなく、腎臓や肝臓、膵臓、甲状腺など全身の臓器に関係するものまでさまざまです。

消化器系の疾患(胃腸炎・腸閉塞)

猫の嘔吐で考えられる病気のひとつが、胃腸炎です。

胃や腸の粘膜に炎症が起こると、胃腸の働きが乱れ、嘔吐や下痢、食欲不振などの症状が現れます。急性胃腸炎は、食べ慣れないものを食べた、傷んだ食べ物を口にした、ウイルスや細菌、寄生虫などの影響を受けたときに起こります。

また、腸閉塞にも注意が必要です。

腸閉塞は、腸の中が異物などでふさがれたり、腸の動きが悪くなったりして、食べ物や消化液が正常に流れなくなる状態です。腸の中に内容物がたまると、強い吐き気や嘔吐が起きやすくなります。

猫では、ひも、ビニール、おもちゃの破片、布などの誤飲・誤食が原因になることもあります。腸閉塞は放置すると命に関わることがあり、状態によっては手術が必要になるケースもありますので注意してください。

泌尿器・内分泌などの全身疾患

猫の嘔吐は、胃腸以外の病気が原因で起こることもあります。特に高齢猫は、慢性腎臓病甲状腺機能亢進症膵炎などが原因となり、嘔吐が続く場合があります。

慢性腎臓病では、腎臓の働きが低下し、本来は体の外へ排出される老廃物が体内にたまることで、吐き気や嘔吐を引き起こします。

甲状腺機能亢進症は、甲状腺ホルモンが過剰に分泌される病気で、食欲があるのに痩せる、落ち着きがなくなる、嘔吐するといった症状が見られます。

また、膵炎は膵臓に炎症が起こる病気で、嘔吐や食欲不振、下痢などを伴う場合があります。

これらの病気は初期症状がわかりにくい場合もあるため、嘔吐が続く、体重が減る、飲水量や尿量が変わる、食欲に変化があるなどの様子が見られたら要注意です。

なお、高齢猫は、定期的な健康診断や血液検査を受けることで、病気の早期発見につながる可能性が高まります。嘔吐を「年齢のせい」、「よくあること」と判断せず、普段と違う変化が見られる場合は獣医師に相談しましょう。

猫の嘔吐を予防するためにできること

猫の嘔吐を予防するためにできること

猫の嘔吐をすべて防ぐことはできませんが、日常のケアによって減らせる嘔吐もあります。毛玉による嘔吐にはブラッシング、早食いや空腹による嘔吐には食事管理が役立ちます。

ブラッシングと毛玉ケア

毛玉による嘔吐を減らすには、こまめなブラッシングが大切です。

猫はグルーミングの際に抜け毛を飲み込みますが、飲み込む毛の量が多いと胃や腸にたまり、毛玉として吐き出すことがあります。ブラッシングで抜け毛を取り除いておけば、猫が飲み込む毛の量を減らしやすくなります。

ブラッシングの頻度は、毛の長さや抜け毛の量によって異なりますが、短毛種は週に1回〜数回長毛種はできれば毎日を目安に行うとよいでしょう。また、特に抜け毛が増える換毛期は、普段よりこまめなケアを意識してください。

ブラッシングを嫌がる猫には、短時間から始め、あごの下や首まわりなど嫌がりにくい場所から慣らしていきます。無理に続けるとストレスになるため、猫の様子を見ながら行いましょう。
毛玉ケア用フードや食物繊維を含むフードを活用する方法もありますが、体質や健康状態に合うか不安な場合は、獣医師に相談してから取り入れると安心です。

食事管理で早食い・空腹を防ぐ

早食いや食べすぎは、猫の吐き戻しにつながりやすくなります。フードを十分に消化する前に吐き戻したり、ドライフードが胃の中で水分を吸って膨らみ、吐き戻しのきっかけになるため注意しましょう。

早食いを防ぐには、
・1回あたりの食事量を減らして回数を増やす
・早食い防止食器を使う
・フードを小分けにして与える
などの方法があります。ドライフードで吐き戻しやすい猫には、ウェットフードを取り入れるのも一つの方法です。
また、空腹時間が長いと、胃液や胆汁の刺激で透明な液体や黄色い液体を吐くことがあります。

朝方や食前に吐きやすい猫は、食事の間隔が空きすぎていないか見直してみましょう。1日の食事量は大きく変えず、与える回数や時間を調整すると、空腹による嘔吐を軽減できる場合があります。

ただし、食事を見直しても嘔吐が続く場合や、食欲不振体重減少下痢などを伴う場合は、食べ方だけの問題ではない可能性があるため、自己判断せずに動物病院で相談しましょう。
★監修・安田先生
ブラッシングや食事管理に加えて、日常の環境づくりでできる予防策を追加すると、予防法の幅が広がり実践しやすくなると思います。

1.部屋の整理整頓と誤飲予防(環境管理)
猫の嘔吐の原因で非常に多い「ひも・輪ゴム・ビニール・植物(ユリ科など)」を室内から排除すること。猫の誤飲による緊急手術や時間外診察はこのあたりが多いので、知っておくだけで違うかなと思います。
遊んでいて、別に美味しくもないものなのにそれでも飲み込んでしまいますので、何よりも予防が第一です。

2.ストレス軽減と飲水量アップ
トイレの清潔保持や、新鮮な水を飲める環境(給水器の増設など)で胃腸の動きを整えるなどするといいでしょう。

猫の嘔吐は嘔吐物と様子を見て、受診を検討しよう

猫は嘔吐しやすい生き物ですが、中には病気を原因とする嘔吐もあります。原因を断定するのは簡単ではありませんが、飼い主はまず受診すべきか判断しなければなりません。猫が吐いたものや吐いた前後の様子を確認して、動物病院に相談するか検討してみてください。

どのような検査や治療が必要かは、実際に動物病院に行ってみないとわかりません。診療費が不安な場合は、ペット保険に加入しておくことをおすすめします。

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