実話に基づく“投資&金融界”の裏世界描く「映画」3選 見どころ&教訓丸わかり

銀行の不正融資事件に迫る「金融腐蝕列島」など3作品を紹介!(「金融腐蝕列島 呪縛」/価格:4700円+税/発売元・販売元:株式会社KADOKAWA 角川書店/(c)1999「金融腐食列島呪縛」製作委員会) [拡大する]

銀行の不正融資事件に迫る「金融腐蝕列島」など3作品を紹介!(「金融腐蝕列島 呪縛」/価格:4700円+税/発売元・販売元:株式会社KADOKAWA 角川書店/(c)1999「金融腐食列島呪縛」製作委員会)

 新年度を迎え、投資などの財テクを考えているビジネスパーソンや新社会人も多いはず。今週は日経平均が1万9300円を超えるなど、投資を後押しするような追い風が吹いているが、過去には好調ムードから突如一転して、バブル崩壊やリーマン・ショックといった、国内外の投資家に大打撃を与える出来事も起きた。そこで今回は、実話をベースに制作された作品を3つピックアップ。初心者が心得ておきたい“投資リスク”をおさえていこう。

【その1】
うまい話には“裏がある”のか? 格差社会を生き抜く術を学ぶ

「インサイド・ジョブ 世界不況の知られざる真実」(米/2011年)
出演:ポール・ボルカー、ジョージ・ソロス/監督:チャールズ・ファーガソン

 2011年に行われた第83回アカデミー賞で長編ドキュメンタリー部門賞を受賞した作品。2008年に起きた「リーマン・ショック」によってもたらされた“5千万人の貧困層転落”“世界不況の実態”を追及したドキュメンタリー。

 「リーマン・ブラザース」の破たんを招いたのは、米国金融界が大々的に売り出したサブプライム・ローンが原因とされている。頭金がほとんどない人に住宅ローンで多額の借金を負わせ、払えなくなると家から追い出す。この悪質な金融商品が出てくるまでに、30年間規制緩和に努め、金融業界と政治が一体となって稼いできたアメリカの歴史がある。金融商品の適正さを判断する格付け会社「ムーディーズ」などは銀行や証券会社の言いなり、経済学の教授達は「金融緩和が素晴らしい」と唱え、政府要職や金融機関の顧問に迎えられた。一方、心あるジャーナリストや政治家の警告は何度も出されていたが、無視され続けた。映像にもこだわりつつ、元政治家や元CEOらを真摯なインタビューで追及していく。

【教訓】
 見終わって絶望的な気持ちになりそうだが、監督の最後のメッセージは「不正と戦っていこう」という前向きなもの。詐欺まがいのCEOたちは巨額のボーナスを得て会社を去り、その穴埋めに税金が投入されたときに、「これはおかしいよ」と言い続ける勇気や担保も貯金もないのに多額の借金ができてしまうことに対して、「ちょっと変だ」と思う感覚。大手銀行の定期預金が年率0.02%の時に「1年間で10%儲かる」と言われたら、ありえないと思う“常識”を身に着けよう。

 グローバル化が進み、世界が近くなっている今。リーマン・ショックを引き起こした当事者が、いまだにホワイトハウスで金融政策を担当しているとは、本当に恐ろしい。投資も、広い視野とバランス感覚を忘れないようにしよう。


【その2】
銀行よ、お前もか! 金融機関も民間企業だと認識を改めよう

「金融腐蝕列島 呪縛」(日/1999年)
出演:役所広司、仲代達也/監督:原田眞人

 高杉良の小説シリーズ「金融腐蝕列島」をベースに映画化された作品。みずほ銀行の前身、旧第一勧業銀行がモデルといわれている。

 証券会社の利益供与事件による総会屋の逮捕で、300億円という不正融資疑惑が持ち上がった朝日中央銀行本店。東京地検特捜部の強制捜査が入るが、上層部は責任を回避しようとする。その姿勢に腹を立てた中堅4人組が真相調査委員会を結成。内部調査にまい進する。

【教訓】
 「株主総会を円滑に行う」という条件で利益を得て、ときに「異議を唱えて混乱させるぞ」と脅すこともある“総会屋”は、2005年の法改正ですっかり影をひそめた。だが、いまだに反社会的勢力へ銀行から融資が行われていた、と新聞をにぎわすこともある。

 銀行であっても悪質な融資などで営業停止になり、株価急落を引き起こすケースもある。日々のニュースなどで情報を収集し、安全な投資先を選ぶようにすることが大事。メインバンクだからと何でも信用しすぎないようにしよう。


【その3】
破たん企業から学ぶ! 不祥事投資法

「エンロン 巨大企業はいかにして崩壊したのか?」(米/2007年)
主演:元エンロン社員ケン・レイ(元CEO)、ジェフ・スキリング (元CEO)、 アンディ・ファストウ(元CFO)/監督:アレックス・ギブニー

 全米でも7位、売上高13兆円の巨大企業「エンロン」が、わずか46日で倒産に陥った驚愕の実話。負債総額2兆円、失業者数2万人の倒産劇は、長年の粉飾決算、エネルギー市場のかく乱など、モラルハザードを何とも思わなくなってしまった幹部が引き起こしていた。

 日本でも、1997年に倒産した「山一証券」の粉飾決算で登場した“飛ばし”。これは、損失を別の子会社などに付け替える行為で、エンロンも飛ばし専用の子会社を設立していた。さらに、カリフォルニア州の電力会社を買い取り、計画的に停電を起こして電気料金を吊り上げ、売り上げを達成していた。普段40ドルの電力1単位が、1000ドルで決済。カリフォルニア市民の悲鳴は幹部たちには届かなかった。

【教訓】
 粉飾決算は、明るみに出る前、関わったメンバーの心をむしばむ。決算は、会社の“今”をそのまま表すもので、損失が出たら誠意をもって公表し、今後の対策を株主に説明してほしいものだ。だが、それができずに自殺してしまったエンロンの役員。損失を早期に開示し株主と共有していれば、彼もまだ元気にしていたはずだろう。

 また、個人投資家は、企業の姿勢を冷静に判断する目を養いたい。損失の発表があったら、これは一過性のものか、そうでないのか。経営陣のリカバリー策に信頼はおけるのかどうか、しっかりと見極める必要がある。不幸な一過性の損失であれば、投資タイミングとしてはチャンスに変わることもある。反対に、経営姿勢などに問題がある場合は、長期の業績低迷につながり、投資タイミングとしてはリスクがあると判断できる。


 実際のインタビューを軸にした作品が2本あり、“真実は小説より奇なり”を地で行くような展開を見せている。企業や金融市場のグローバル化で、日本市場にも大きな影響があったことも記憶に新しい。真実から目をそらさずに、身の丈にあった投資を始めよう。

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