投資は「失敗」から学べ! お金と人の怖さがわかる「映画」3選

世界中のマーケットを巻き込んだ攻防戦を描く「ハゲタカ」など3作品を紹介!(「映画 ハゲタカ(2枚組)」/DVD発売中/価格:4800円+税/発行:NHKエンタープライズ/販売元:東宝) [拡大する]

世界中のマーケットを巻き込んだ攻防戦を描く「ハゲタカ」など3作品を紹介!(「映画 ハゲタカ(2枚組)」/DVD発売中/価格:4800円+税/発行:NHKエンタープライズ/販売元:東宝)

 新年度を迎え、財テクの一環として、投資に興味を持つ新社会人も多いのではないだろうか。最近では、株主優待などの流行もありポジティブな話題も増えているが、一方で「難しそう」「怖そう」など少しネガティブなイメージも投資には付き物だ。そこで今回は、“投資のちょっと怖い一面”を体感できる「サスペンス系」の作品を3つピックアップ。フィクションながらも、個人投資家に役立つ情報が学べるはずだ。

【その1】
「企業買収」「投資ファンド」などがわかる経済ドラマ

「ハゲタカ」(日本/2009年)
出演:大森南朋玉山鉄二栗山千明柴田恭兵/監督:大友啓史

 日本の不良債権を買い叩き、「ハゲタカ」と恐れられた主人公・鷲津は日本社会自体に嫌気がさし、無為に日々を過ごしていた。そんなある日、日本の大手自動車メーカーへのバッシングに関する海外ニュースが入る。中国政府系ファンドの乗っ取り作戦の発端だった。メーカー側から救済を求められ、立ち上がった鷲津と、謎の日系中国人ファンドマネージャーのリュウ・イーファの攻防が火ぶたを切る。資金力で劣勢となった鷲津は、産油国王族のオイルマネーに救済を求め、世界中のマーケットを巻き込んだ攻防戦へと発展する。

【教訓】 
 ファンド対ファンドの戦いで、国家予算規模の金額が動く。中国政府からも支援を断たれ、リュウは敗北し破滅となる。プロ集団のファンドでも、失敗して全てを失うことがある。

 実際に起こったファンドの巨大破たん劇といえば、1998年にアメリカで起きた「ロングターム・キャピタル・マネジメント(LTCM)」の破たんがある。1000億ドル以上運用していたにもかかわらず、1998年のロシア財政危機のあおりを受けて破たんし、46億ドルの損失を出した。運用をノーベル経済学賞受賞者が行い、金融工学を使って投資するスタイルで人気を集め、当初4年間は資金を4倍に増やすなど順調な運用を行っていた。ところが、「ロシア政府が財政破たんする確立は1万年に3回、つまり起こらない」という前提条件のもとで運用していたため、実際にロシアが財政破たんすると、損失はあっという間に膨らみ、あえなく破たんした。

 個人投資家の場合、ファンド絡みの話題や企業買収などのニュースが入ったら、まずは様子見が賢明だろう。主人公のようなファンドマネージャーは、王族級の投資家から資金を集めたり、一方で出し抜かれたりしている。報道されない“ニュースの裏側で起こっていること”は計り知れないことを学んでおこう。

 また、予期せぬ出来事や大きなリスクに巻き込まれないように、いったん株を売却して現金化することを相場用語で「手仕舞いする」という。市場が閉まっている間に自然災害や海外市場の急暴落など、緊急事態による損失を防ぐため、週末や長期休暇前に手仕舞いする人もいる。投資手法の一つとしてぜひ覚えておこう。そのほか、敵対的買収(TOB)やM&A(企業買収)、投資ファンドなども作品を通して理解できるだろう。


【その2】
インサイダー情報の活用は犯罪! 内部情報の取り扱いは慎重に

「ウォール街」(米/1987年)
出演:マイケル・ダグラスチャーリー・シーン/監督:オリバー・ストーン

 主人公・バドは野心家の証券営業マン。やり手の投資銀行家に売り込みに行くが相手にされず、父親が労働組合の幹部を務める航空会社の内部情報を漏らす。興味を持った投資銀行家・ゴードンから注文を取ることに成功すると、主人公は新たな内部情報を求めて窃盗まがいのことを始めてしまい、どんどん取引を広げる。そんな時、投資銀行家が主人公の父の航空会社を乗っ取ろうとしていることを知り、反撃に出る。

【教訓】
 企業の内部情報を利用して、株などの取引を有利に進めて利益を得る“インサイダー取引”は、立派な犯罪。日本でも、2006年に起きた「村上ファンド事件」で、インサイダー取引がワイドショーをにぎわせた。当時の舞台は“ニッポン放送株の買い占め”で、逮捕された村上世彰氏は、実刑判決をのがれたものの有罪となった。インサイダー取引の量刑は、原則5年以下の懲役と500万円以下の罰金で、村上氏には罰金300万円と追徴金11億4900万円が課された。

 株式公開・増資・決算情報などに触れる機会のある人は、くれぐれも投資に利用しないようにしてほしいが、悪意がなく、思わぬ形でインサイダーに加担してしまうケースもあるので細心の注意が必要だ。

 ちなみに、この映画に登場するやり手の投資銀行家ゴードン・ゲッコーは、金融ビジネスを目指す若者のアイコンとなり、ストーン監督の意志とは逆に“悪い人気者”になっている。


【その3】
証券会社自体が犯罪の隠れみのに…口座を開く前には財務内容の確認を!

「マネーゲーム 株価大暴落」(米/2001年)
主演:ジョヴァンニ・リビシ、ベン・アフレック/監督:ベン・ヤンガー

 20歳の主人公・セスは、大学中退後、学生相手に24時間営業の違法カジノで儲けているが、連邦裁判官として働く父親との関係に悩んでいた。ある日、セスの友人が証券会社の先輩だというグレッグをカジノに連れてくる。グレッグはほかの客たちの10倍の掛け金で遊び、フェラーリを乗り回すという豪遊ぶり。驚くセスに対し、グレッグは自分の会社で働くことを勧め、チームの一員として迎え入れる。株の電話営業に就いたセスは、カジノディーリングで鍛えた話術を駆使して、新人とは思えないほどグングンと成績を伸ばしていく。そんな中、ふと垣間見る自社の怪しい点に気づいてしまう。

【教訓】
 主人公は、「(米国では)株取引手数料の上限は5%なのに、自分たちはその4倍ももらっている」こと、「新規公開株の企業が実はペーパーカンパニーで実態がない」こと、「社長が隣の空きビルのワンフロアを“逃走先”としてキープしている」ことなど、複数の疑問を持ち始め、考え併せていく中で、取扱株が違法取引に利用されていることに気づく。

 劇中、マンハッタンのバーで、JPモルガンなどの一流証券会社の社員に「聞いたことない証券会社だな」と言われ、主人公たちが喧嘩になるシーンがあるが、現実の世界でも証券会社の確認は大事。もちろん、「ビッグネームだから安心」とは限らないが、自分の大切なお金を預けるのだから、口座を開く前に証券会社の財務内容などが信頼に足るか確認したい。


 映画であれば何十億ドルも動かす投資家や証券会社の裏の顔もエンタメ作品としてじっくり知ることができる。投資の世界は、初心者もプロも同じフィールドで戦う厳しい一面があるが、ファンドマネージャーと違って、個人投資家は買うも休むも思いのまま。自己判断で取引できる利点を活かして、慎重に相場や世の中の動きを分析できる投資家を目指そう。

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