2017年02月28日 09時50分
【資産運用の基礎知識】分散投資と集中投資の違いは? 実例も紹介
分散投資と集中投資の特徴とは? 資産運用における基礎知識を紹介する
資産運用に関する記事や書籍を読んだことのある人は、「分散投資」という言葉を目にする人も多いはず。ただ、分散投資の方が集中投資よりも有利なのかというと、一概には言えない。そこで今回は、分散投資と集中投資の特徴を整理していく。
▼集中投資は“当たると大きい”
資産運用と聞くと「分散投資が重要だ」と言われるが、それは「集中投資の方が不利だから」という理由でもない。特定の商品や銘柄に絞って投資をする集中投資は、先行きの価格が予想どおりに動いた場合には大きな利益を手にすることができる。分散投資によって得られる利益よりも、集中投資によって得られる利益のほうが大きいのが通常である。
例えば、検索エンジン「Yahoo!」を運営するヤフーは、約20年前に国内の株式市場に上場した。上場時の公募価格は1株70万円だったが、その後、約7年で株式分割が行われ株数が増えたことも考慮すると、ピーク時にはなんと7億8000万円ほどまで上昇したことになる。
年数はかかっているが、コンビニの「セブン−イレブン」なども集中投資をしていたら“当たり銘柄”になっただろう。いまから約40年前に、最低単位の公募価格130万円で上場したセブン‐イレブン・ジャパン(現在はセブン&アイ・ホールディングスの子会社)を現在まで保有し、途中で株式分割が行われて株数が増えたことも考慮すると、現在では約2億円にまで上昇していることになる。
▼分散投資は「無難」
分散投資で資産を100〜1000倍にするのは、簡単なことではない。不可能ではないが、それだけの時間がかかると考えられる。大きく増やせる可能性は、分散投資よりも集中投資のほうに分があるといえそうだ。ただし、集中投資は必ずしもうまくいくとは限らない。筆者のこれまでの経験や、見聞きしている情報から総合すると、集中投資がうまくいっている人はめったにいない。皆無と言っても過言ではないだろう。やはり「狙って当てられるものではない」と考えておくべきなのだ。
5年後、10年後の日本経済や世界経済がどうなっているのかは、誰にも予測できない。将来がわからないからこそ、万が一の事態に備えて、さまざまな資産を保有しておく「リスク分散」が重要ではないかと考える。値動きが異なる複数の資産を、できる限り多く保有しておくのである。それが本当の意味での分散投資(資産分散)だろう。
そして、どの資産をどの程度の割合で保有し、どう資産を組み合わせていくか、その割合を考えていくのがアセット・アロケーション(資産配分)である。将来の経済情勢がどうなっているのかを正確に見通すことはできないという前提でいえば、この資産配分の割合にも正解はない。結局、正解は将来にならないとわからない。
ちなみに、過去のデータで見る限り、債券よりも株式のほうが値動きは大きくなる傾向があるので、さまざまな資産を組み合わせた全資産のポートフォリオは、株式の割合が多いほど全体の値動きが大きくなり、株式の割合が少ないほど全体の値動きが小さくなることが予想できる。
結果として、どの程度の収益が得られるかは、将来になってみないとわからないが、これから起こる世の中のさまざまな変化に対応できるようにしておくために、いろいろな種類の資産に分散しておいた方が、集中投資よりも無難であることは間違いないだろう。
<記事/菱田雅生(マイアドバイザー登録FP)>
早稲田大学法学部卒業後、大手証券会社を経て独立系FPに。資産運用や住宅ローンなどを中心テーマに、相談業務や原稿執筆、セミナー講師などに従事している(http://www.la-consul.com)。
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