猫は外耳炎になりやすい?原因や予防の方法を解説

猫は外耳炎になりやすい?原因や予防の方法を解説

 猫の耳から悪臭がしたり、耳や頭を地面にこすり付ける仕草が増えたりした場合は、外耳炎を発症しているかもしれません。

 外耳炎は、耳の穴から鼓膜までの「耳道」に炎症が起きるもの。猫は耳の内部の構造から、人間より外耳炎になりやすく、飼い主が注意しておきたい猫の病気のひとつです。今回は、猫の外耳炎の原因や予防法などについて解説します。
ガイア動物病院 院長 松田唯

監修者 ガイア動物病院 院長 松田唯

北里大学獣医畜産学部卒業後、千葉県内と東京都内の動物病院で勤務。2019年7月、ガイア動物病院開設、院長となる。

※監修は医療情報についてのみであり、ペット保険への加入を推奨するものではありません。

mokuji目次

  1. 猫の外耳炎とは?
  2. 猫の外耳炎の原因
    1. 細菌や真菌の増殖
    2. 寄生虫
    3. アレルギー
    4. 異物
    5. できもの
  3. 猫の外耳炎は予防できる?
  4. 猫の外耳炎の治療方法
  5. 猫の外耳炎は早期に対処してあげよう

猫の外耳炎とは?

 猫の耳の中はL字型になっており、湿気がこもりやすく異物が取れにくい構造です。そのため、犬ほどではないですが、人間よりは外耳炎になりやすいといえるでしょう。通常であれば、耳の中の分泌物は自然に外に排出されますが、何らかの原因でうまくいかないと炎症が起こりやすくなり、外耳炎になってしまいます。

 基本的に外耳炎は猫種や年齢に関係なく発症し、かゆみや違和感、痛みを感じて耳を掻く、耳垢の増加、悪臭、赤み、腫れ、膿などの症状があります。耳をかゆがって地面にこすり付ける、耳の脱毛、音の反応が鈍いなどの様子が見られることもあるため、思いあたることがあれば、早めに動物病院を受診しましょう。

猫の外耳炎の原因

 猫は耳の構造上、人間より外耳炎になりやすいですが、原因はそれだけではありません。ここでは、猫が外耳炎になる原因について解説します。

細菌や真菌の増殖

 細菌や真菌は、健康な状態でも猫の耳に存在していますが、何らかの原因で増殖することで、外耳炎が発症したり悪化させたりしてしまいます。

 また、耳の中に傷があったり湿気がこもりやすかったり、免疫力が落ちていたりする場合も、細菌や真菌は増殖しやすくなります。

寄生虫

 特に、ミミヒゼンダニという耳に感染するダニが原因となり、猫が外耳炎を起こすことがあります。耳疥癬(ミミカイセン)やミミヒゼンダニ症とも呼ばれ、非常に強いかゆみがあり、耳垢も増えることが特徴です。ミミヒゼンダニに寄生されている動物との接触によってうつります。

アレルギー

 基礎疾患としてアトピーアレルギーのある猫は、外耳炎になりやすいといわれています。アトピーや食物アレルギーがあることで炎症が起こりやすく、耳の中で炎症が起こった結果として外耳炎になってしまうのです。

 また、アトピーやアレルギーによるかゆみで耳をかき壊し、その炎症から外耳炎に発展することもあります。

異物

 猫の耳の中に異物が入って、外耳炎を発症することがあります。特に、植物の種や実などが耳に入るとなかなか取れず、刺激となって炎症を起こし、外耳炎になる例は多いです。

 完全室内飼いでない猫の場合、草むらなどで異物が耳に入るリスクが高いので、注意が必要です。

できもの

 耳の中にポリープなどできものがあると、耳道が狭くなって外耳炎のリスクが高まります。できものから液体が出ることで、そこに細菌感染して外耳炎が悪化、悪臭が出る場合も多いです。

 また耳の中だけでなく、鼻にポリープができたことで耳に影響し、外耳炎を引き起こすケースもあります。なかなか見えにくい部分のため、発見が難しく、診断までに時間がかかることが多いです。

 このほか、生まれつき耳道が狭い、体質として耳の中の分泌物が多いといった猫も、外耳炎を発症しやすい傾向があります。また、アメリカンカールやスコティッシュフォールドなど耳に特徴のある猫種も、外耳炎になりやすい傾向があるため、注意してください。

猫の外耳炎は予防できる?

猫の外耳炎は予防できる?

 猫の外耳炎を予防するには、耳を清潔に保つことが重要です。

 通常であれば、何もしなくても自浄作用で耳の中は清潔が保たれますが、これまで説明したようにさまざまな原因で外耳炎は発症してしまいます。耳掃除やブラッシングの際など定期的に猫の耳をチェックし、外耳炎が疑われれば早期に治療を受けさせることも大切です。

 ただし、耳掃除のしすぎや間違ったお手入れで猫が外耳炎を発症する例もあるため、頻度や方法などは動物病院などに相談してください。

 特に洗浄液を使う場合に注意したいのが、「斜頸(しゃけい)」です。斜頸は首が傾いてしまうことで、洗浄液を使って洗浄した後は、斜頸の症状が出やすい傾向があります。必要以上に洗浄を行わず、気になる症状があればすぐに動物病院に相談することが大切です。

 耳ダニはほかの動物との接触、異物は外飼いの猫でリスクが高まるため、完全室内飼いにすることなども予防法のひとつです。また外耳炎になりやすい基礎疾患をしっかり管理することでも予防はできますから、日頃の注意と観察も重要です。

猫の外耳炎の治療方法

 猫の外耳炎の治療は、耳を洗浄して耳垢を取り除いてから、点耳薬や内服薬で治療することが多いです。そのほか、アレルギーなら抑えるための投薬や食事管理、寄生虫なら駆虫薬の投与など、外耳炎の原因に対し、有効な薬の投与や処置を行うことになります。外耳炎が重度の場合は、外科的な処置を行うこともあります。

 軽度の外耳炎は1〜2週間程度で軽快することもありますが、慢性化している場合はずっと付き合っていくことになるかもしれません。また、治療が終了しても、猫の体質にかかわることが原因であれば、再発を繰り返すことも考えられます。

猫の外耳炎は早期に対処してあげよう

 犬ほどではないにしろ、猫の飼い主も外耳炎には注意が必要です。外耳炎になれば耳のかゆみや痛みなどが猫のストレスになりますし、放置すれば重症化したり慢性化したりすることも考えられます。定期的に猫の耳をチェックするとともに、気になる仕草があれば早めに動物病院を受診し、早期に対処してあげましょう。

 どのような検査や治療が必要かは、実際に動物病院に行ってみないとわかりません。診療費が不安な場合は、ペット保険に加入しておくことをおすすめします。

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ガイア動物病院 院長 松田唯

監修者 ガイア動物病院 院長 松田唯

埼玉県生まれ。北里大学獣医畜産学部卒業後、千葉県内と東京都内の動物病院で勤務。
2019年7月、ガイア動物病院(東京都杉並区)開設、院長となる。大学時代は医療の専門用語が苦手だったこともあり、治療法や薬について分かりやすく説明し、治療法のメリット・デメリットを理解して飼い主さまが選択できる診療を心掛けるようにしています。
 ●ガイア動物病院公式サイト(外部リンク)

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