猫のくしゃみは病気のせい?原因や考えられる病気を解説
この記事では、猫がくしゃみをする原因として、どのような病気の可能性があるのか解説します。病気が原因でくしゃみが起こっている場合には、動物病院での治療が必要です。その場合の具体的な診察内容と、大まかな診療費についても紹介します。
監修者 ガイア動物病院 院長 松田唯
北里大学獣医畜産学部卒業後、千葉県内と東京都内の動物病院で勤務。2019年7月、ガイア動物病院開設、院長となる。
※監修は医療情報についてのみであり、ペット保険への加入を推奨するものではありません。
目次
猫がくしゃみをする原因
生理現象としてのくしゃみ
また、急激な温度変化やたばこの煙も鼻への刺激になり、くしゃみが出ることがあります。この場合は1〜2回のくしゃみで落ち着くことが多く、特に心配する必要はありません。猫の嗅覚は人間の何倍も優れているので、些細な刺激にも反応することがあるのです。
病気によるくしゃみ
ほかにも、発熱や食欲不振などが見られる場合は、何らかの感染症やアレルギー、さらには重い疾患が隠れている可能性があります。このような症状が見られたときは、早めに獣医師の診断を受けることが大切です。
猫のくしゃみを引き起こす病気
猫風邪
すでに発症している猫の分泌物(鼻水や唾液など)を介して感染することがほとんどで、特に家で飼われていない地域猫との接触には注意が必要です。特に猫ヘルペスウイルスは非常に感染力が強く、子供の頃にどこかで感染があった場合、症状は抑えることができてもウイルスを完全に排除することは難しくなります。免疫力の低い子猫や高齢猫をはじめ、猫エイズなどほかの病気にかかっている猫の場合には、重症化のリスクもあります。
症状は人間の風邪とよく似ていますが、人間の風邪薬を飲ませると中毒を起こす危険があるため、絶対に与えてはいけません。きちんと動物病院で処方してもらった抗菌薬や抗ウイルス剤を飲ませて、十分に保温・保湿されたストレスのない環境を保ってあげましょう。
また、ワクチン接種である程度予防することが可能なので、子猫の時期からしっかり対策しておくことが重要です。治療費は1回の診察あたり数千円〜1万円程度ですが、重症化している場合はより高額になる可能性もあります。
クリプトコッカス症
発症すると、くしゃみや鼻水、鼻づまりといった症状のほか、皮膚に炎症やしこりが生じる場合もあり、重症化する前の早期発見・早期治療が重要です。鼻にしこりができると、顔の変形や重度の神経症状が出る場合もあります。発症後の治療が難しい病気のひとつでしたが、最近では抗真菌剤の開発が進み、効果的な治療が可能です。
1回の通院でかかる治療費は数千円程度ですが、通常、完治には複数回の通院が必要です。また、確定診断にはしこりを採取して検査を行う必要があり、数万円程度の費用がかかるケースもあります。
副鼻腔炎
副鼻腔炎がさらに悪化し、膿が溜まると蓄膿症と呼ばれます。この病気にかかると、猫は頻繁にくしゃみをし、黄色っぽい粘り気のある鼻水を出すようになります。また、鼻づまりによりにおいが嗅げず、食欲不振に陥ることも多いようです。
初期の治療には、原因となるウイルスや細菌に効果のある抗菌薬や消炎剤を用いることが一般的です。重症の場合は、カテーテルの挿入や外科的な手法によって副鼻腔内を洗浄しますが、それでも完治が難しいこともあります。治療費は、薬の投与に数千円〜1万円程度、手術が必要な場合は数万円が必要になるケースが多いようです。
アレルギー性鼻炎
アレルゲンの多くは日常に存在するため完全に取り除くことは難しく、点鼻薬などで症状を抑えることが治療の基本になります。1回あたりの治療費は数千円程度です。
腫瘍、ポリープ
腫瘍の性質によってとるべき治療法は異なり、抗がん剤を用いた化学療法が有効な場合もあれば、放射線療法や外科手術が必要となる場合もあります。また、治療費はどういった処置を行うかによりますが、数十万円〜百万円近くかかることも少なくありません。
歯周病
成猫の7割以上がかかるともいわれている歯周病ですが、予防のためには、人間と同じく毎日の歯磨きが重要となります。ただし、猫の性格によっては難しい場合もありますので、明確な症状が出る前から獣医師に相談してもいいでしょう。
歯周病になってしまったら、全身麻酔の上、歯石の除去を行い、細菌の繁殖を抑える薬剤を投与します。それでも症状が治まらない場合は、手術によって歯を抜くしかありませんが、その後の猫の生活に与える影響は甚大です。治療費は症状の進行度にもよりますが、数万円〜十万円程度を見込んでおく必要があります。
猫のくしゃみの予防法
完全室内飼いにする
ほかの猫だけでなく、ネズミやハトといった野生動物との接触によっても、感染症にかかるリスクは高まります。室内だけで飼うことは、猫の健康を脅かす多くの病原体や寄生虫から守るために、非常に有効な方法なのです。
室内を清潔に保ち、適切な湿度を維持する
特に、猫がよく過ごす場所や寝床は、こまめに掃除をしましょう。適切な湿度を保つことも大切で、乾燥しすぎると猫の呼吸器系が刺激され、くしゃみを引き起こす可能性があります。ただし、加湿器を使用する際には、猫にとって有害なアロマオイルを使わないよう注意が必要です。
定期的にブラッシングを行う
また、ブラッシングは猫の毛にアレルゲンが付着するのを防いでくれるため、皮膚や呼吸器の健康を保つ上でも重要です。
健康診断やワクチン接種を受ける
獣医師による定期的な健康診断は、潜在的な健康問題を初期の段階で発見し、適切な治療を早めに始めることができるため、猫の長期的な健康のためにも欠かさず受けるようにしましょう。
また、ワクチンは猫風邪などの一部の感染症から猫を保護してくれます。
猫のくしゃみで少しでも不安を感じたら動物病院へ
もし、大きな病気が発覚した場合には、入院や手術が必要になることもあります。経済的な負担を軽減し、より安心して愛猫と暮らすためには、ペット保険に加入するのもよいでしょう。
ただし、多くのペット保険では、病気の診断を受けた後の加入を制限しています。保険会社が提供するプランはさまざまものがありますので、愛猫が若くて健康的であっても、まだ早いと思わずに比較検討してみるといいかもしれません。
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監修者 ガイア動物病院 院長 松田唯
埼玉県生まれ。北里大学獣医畜産学部卒業後、千葉県内と東京都内の動物病院で勤務。
2019年7月、ガイア動物病院(東京都杉並区)開設、院長となる。大学時代は医療の専門用語が苦手だったこともあり、治療法や薬について分かりやすく説明し、治療法のメリット・デメリットを理解して飼い主さまが選択できる診療を心掛けるようにしています。
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※監修は医療情報についてのみであり、ペット保険への加入を推奨するものではありません。