2015年11月06日 08時00分

さわかみファンド会長が語る“理想の投資” 「長期投資でこそ結果が出る」

長期投資の魅力を熱く語る「さわかみ投信」取締役会長の澤上篤人氏 [拡大する]

長期投資の魅力を熱く語る「さわかみ投信」取締役会長の澤上篤人氏

 “長期投資家”として長年にわたり第一線で活躍している「さわかみ投信」の取締役会長・澤上篤人氏が先月、『日経マネー30周年記念 特別シンポジウム』に登壇した。当日は「相場が乱高下しても長期投資家は平気だよ」をテーマに、長期投資の魅力について熱く語った。

 澤上氏は開口一番、「個人投資家含めて、機関投資家がやっているのは投資ではなく単なるマネー転がし。我々がやっている長期投資とは全く別物」と持論を展開。一般的な投資は上がれば上がるほど買うが、長期投資は下がれば下がるほど買うとした。

 講演中には、“理想の投資”について何度も「投資は安く買って、高く売るだけ」と強調し、「誰もがこれができればいいのだが、多くの人は暴落したときには、もっと下がるのではないかという恐怖心で買えない。逆に、上がれば上がっているときほど強気になって買い続ける。そして、暴落すると真っ青になり売ってしまう」と失敗しがちな傾向を分析。さらに、「最近は安くなったときに買えずに、高くなってから買い、安くなったら売る。これの繰り返し。これは投資とは言えない」と一刀両断した。

 澤上氏はこういった動きの背景にあるのは「年金」だと主張。年金は本来、長期投資が当たり前だったが、70年代半ばから年金は大事な資産だから安全にしっかり運用しなければいけないという風潮になり、毎年、運用成績をチェックするようになったという。結果、短期の成績が重要視されてしまったと嘆いた。

 さらに、「これではうまくいくわけがない」といい、理由として、例えばある年金運用者が、年金資産に組み込んでいる株が高くなったから売ったとする。だが、その後も株価は上がり続けているとなると、売った人は年金のスポンサーから怒られてしまう。だから、上昇相場のときは最後まで買い続けなければならず、下りられない。そして結局は、暴落に遭ってしまうと説明し、「音楽が鳴り続けているときは踊り続けなければいけない。これが世界の運用の現場で起こっていることだ」との見解を示した。

 長期投資のメリットについては、すべての投資商品はその時々の金利によって左右されるが、「長期投資の基本となる株式投資は、個別の企業が長期的な利益成長を続けてくれることで投資価値を高めてくれるというプラスアルファが期待できる」といい、「長期投資という、投資本来の姿を当たり前に実践すれば、結果は出る」と力説。実際、同社のファンドは長期投資を実践して16年経つが、年5%の成績を出しているとした。

 澤上氏は「ほんの少しでも長期投資を試してほしい。1、2年も経てば、ハラハラドキドキの短期投資とじっくり落ち着いて応援したい企業を長期投資するのと、どっちの成績がいいかはわかるはず」と聴衆に呼びかけていた。

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