FIREするにはいくら必要?年代別の試算や達成するためのステップを解説
今回はFIREの概要について解説するとともに、FIREのメリットやデメリット、FIREを達成するためにいくらの資金が必要なのかについて年代別に紹介します。合わせてFIREを達成するためのステップも紹介しますので、参考にしてください。
目次
そもそもFIREとは?
FIREとは経済的に自立し早期退職すること
老後の生活費用をまかなうといった観点から70歳まで働ける環境が整備され、定年後も何らかの収入が必要といわれているなか、FIREでは資産運用によって早期に資産を形成し、働かなくても生活ができる状態であることを目標としています。
最近重視されはじめた働き方改革により、FIREを目指す人も増えています。しかしFIREを達成するにはしっかりとした計画に基づいた資産形成が求められます。
混同されがちな早期退職との違い
早期退職の場合、退職金をはじめ、貯蓄や相続した遺産などで退職後の生活資金を確保し、それを切り崩しながら生活する方法が一般的です。ただ、収入がない状態で資金を切り崩して生活するには不安が拭えません。
早期退職をして予想以上に早く資金が尽きた場合、再度就職するなど収入を得る方法を考えなければなりませんが、長く働いていない場合、働くこと自体に抵抗を感じてしまうケースも考えられます。その結果、必要な収入が得られず生活できないといった事態に陥ってしまいます。
しかし、FIREは若いうちに投資や副業、節約などで資産形成を行い、退職した後は投資によって得られる不労所得(運用益や配当金など)で生活します。
達成しやすい「サイドFIRE」という選択肢
サイドFIREとはセミリタイアと呼ばれることもあり、投資などによって資産形成を行いながら経済的な自立を目指しつつ、完全に退職するのではなく、必要に応じて副業やアルバイトなどで収入を得る方法です。
常に働かなくても良い点や、仕事の内容や仕事にかける時間を調整しやすいといった点が魅力のため、より自分らしい生活が送れる点がFIREと異なっています。
また、FIREや早期退職だと社会とのつながりが薄れていきがちですが、サイドFIREなら副業やアルバイトを通して人との繋がりを維持できます。ただ、FIREの場合でも、自分の趣味の友人など新たな繋がりが見つかる可能性はあります。
サイドFIREでは労働収入が得られるため、FIREよりも資産形成の目標額が少なく設定できる点がメリットです。
しかし、FIREそしてサイドFIREも資産形成を行い、ある程度の資産を築かなければならない点は同じです。FIREする場合、退職するまでの期間によっては、より綿密な計画に基づいた資産形成が必要だということを忘れないようにしましょう。
FIREのメリット・デメリットは?
しかし、FIREのメリットとデメリットをしっかりと理解しておけば、失敗する確率も少なくなりますし、自分の目標とする退職時期や、それに伴う必要な資金額も明確化できます。
ここではFIREのメリットとデメリットについて解説します。
FIREのメリット
・自由な時間が手に入る
・投資などの金融知識が広く身につく
・経済的な安心感を得られる
・生活する場所に縛りがなくなる
・自分がやってみたかったことにチャレンジできる
また、FIREすることによってお金に関する知識がより深く身につく点もメリットです。
不労所得があるため、経済的な不安もありません。そのため自分がやってみたかったことにチャレンジできますし、場合によっては生活する場所を変えることも可能です。
FIREのデメリット
・急な出費に対応できない可能性がある
・希望している職種への再就職が難しくなる
・受け取れる年金額が少なくなる
また、現金で確保している以上の急な出費が発生した場合、対応できなくなってしまいますし、その際には運用計画の見直しが必要です。
仮に再就職の必要に迫られても、希望どおりの職種へ就職できる保証もありません。
さらに忘れてはならないのが、「受け取れる年金額が減ること」です。退職後は第1号被保険者になるため、国民年金(老齢基礎年金)だけになってしまい、定年までずっと働いていた場合と比べると受け取れる年金額が減ってしまいます。
FIREを実現するためにはいくら必要?
「4%ルール」を念頭に置く
ちなみにこの「4%ルール」の4%とは、アメリカ株式(S&P500)の年平均成長率である7%から、平均物価上昇率3%を引いた数字です。
つまり、資金を年利4%で運用し、運用益だけで生活できるようになれば、FIRE達成と言えるでしょう。
ただし、アメリカ株式(S&P500)の年平均成長率(7%)が常に続くとは限りません。市場の様子や平均物価上昇率の動きを見ながら、投資元本や毎月の生活費を決めるようにしましょう。
年間支出の25倍の資産を目安にする
仮に毎月の生活費が25万円、年間支出は300万円とします。それだと6,000万円の資産が必要です。ただ、一時的な支出があることも予想し、余裕を持って考えておくことも大切です。
一時的な支出は、独身の場合や夫婦2人の場合、また子どもがいる場合などで異なります。特に子どもがいる場合は教育費も考慮しておかなければなりません。
【年代別】FIREするために必要な資金
30代前半の単身世帯
そして上で述べた内容に沿って計算すると、約219万円×25=約5,500万円がFIRE達成のために必要な金額です。
ただ、30代前半で退職するとなると、受け取る年金がほぼ国民年金(老齢基礎年金)になってしまい、老後は年金収入に期待できない点に注意が必要です。
30代の2人以上世帯
すると、約330万円×25=約8,250万円がFIRE達成に必要な金額です。
ただ、夫婦2人だけなのか、子どももいるのかで必要な額は変わります。特に子どもがまだ小さい場合はこれからかかる養育費(生活するために必要な費用)や教育費なども考慮して最終的に必要な金額を求めるようにしましょう。
40代の2人以上世帯
40代だと、すでに子どもに教育費がかかっている世帯もあるでしょう。その場合は進学先(専門学校、大学、そして公立か私立か)によってかかる費用が異なります。また、卒業すれば教育費の負担はなくなります。
従って、あくまでも「4%ルール」に固執するのではなく、今後必要になる生活費がいくらになるかを計算し、自分なりの達成金額を考えることが大切です。
50代の2人以上世帯
そして、この約1億750万円があれば30年以上は資金が尽きることもないため、平均寿命(男性:81.09歳、女性:87.14歳)まで安心して暮らせるでしょう。
また、50代でFIREするなら、年金収入も期待できます。退職するまでの平均年収によっては、多くの老齢厚生年金が受け取れますし、老齢基礎年金と合わせても生活費の足しになります。
FIREするためのステップ
1.具体的な目標を決める
2.受け取れる年金額や退職金額を確認する
3.支出を見直し、節約する
4.スキルアップや副業で収入を増やす
5.資産運用にチャレンジする
それぞれの内容について、以下で詳しく説明します。
1.具体的な目標を決める
そのためには、まず自分の生活費を把握することが大切です。退職後も同じ生活レベルを維持していくためにも、現在の支出額を確認してみましょう。
毎月いくら、どのような費用に使っているかを確認するともに、年払いの支出をカウントすることも忘れないでください。
また、今後予定しているライフイベントも考慮する必要があります。特に子どもがいる場合は教育費がかかりますし、公的年金の第1号被保険者になることにより、社会保険料の負担が今より増えることも想定しておかなければなりません。
年間支出額が把握できたらその金額に25を乗じて目標金額を設定します。また、目標金額の設定には、いつ退職するかも考慮しなければなりません。なぜなら退職までに資金を準備しておかなければならないからです。
2.年金や退職金を確認する
勤続年数が短ければ受け取れる退職金額も少なくなります。また、退職後は国民年金のみに加入することになるため、受け取れる年金額が少なくなることも視野に入れておきましょう。
国民年金である老齢基礎年金は、保険料を480ヶ月きちんと払っていれば満額受給できます。勤務している間の厚生年金に関しては、勤務期間中の平均年収を元に計算しなければならず、計算も複雑です。
日本年金機構のサイトでは年金見込み受給額がシミュレーションできるツールが用意されていますので、活用してみましょう。
3.支出を見直し節約する
特に固定費は1度見直すとその効果が継続するため、1番最初に取り組むべきです。固定費には、家賃や光熱費、通信費などが該当します。通信費が高いなと感じた場合は、キャリアやプランを見直してみましょう。
また、利用していないサブスクリプションサービスは解約するなどで年間の支出を減らせます。保険も1度見直し、重複している保障を解約するなどで、その後の保険料を減らせる効果が期待できます。
4.スキルアップや副業で収入を増やす
本業だけではなく、自分の得意とする分野で副業を行うほか、資格を取得するなどスキルアップを行うことで昇進につながる可能性もあります。
場合によっては転職を考えてみても良いでしょう。ただ、転職したからといって必ずしも収入が上がる保証はありません。転職を考えるなら、転職先の条件や自分のスキルを最大限活かせるかどうかを確認したうえで行動するようにしましょう。
5.資産運用にチャレンジする
具体的には、株式投資や投資信託などです。株式投資には高配当株を狙ったものもありますので、分散投資の1つとして取り入れてみましょう。
FIREにいくら必要か確認して資産運用にチャレンジ!
ただ、FIREするためにはまとまった資金が必要で、その金額やいつまでに準備しなければならないかは人によって異なります。FIREを達成するためにも、必要となる金額を把握し、いち早く資産運用に取り組みましょう。
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