FIREするにはいくら必要?年代別の試算や達成するためのステップを解説

FIREするにはいくら必要?年代別の試算や達成するためのステップを解説

資産運用を行っている人の中には、FIREという言葉を耳にする人も多いのではないでしょうか。実際にFIRE達成に向けて運用を行っている人もおられるかもしれません。

今回はFIREの概要について解説するとともに、FIREのメリットやデメリット、FIREを達成するためにいくらの資金が必要なのかについて年代別に紹介します。合わせてFIREを達成するためのステップも紹介しますので、参考にしてください。

mokuji目次

  1. そもそもFIREとは?
    1. FIREとは経済的に自立し早期退職すること
    2. 混同されがちな早期退職との違い
    3. 達成しやすい「サイドFIRE」という選択肢
  2. FIREのメリット・デメリットは?
    1. FIREのメリット
    2. FIREのデメリット
  3. FIREを実現するためにはいくら必要?
    1. 「4%ルール」を念頭に置く
    2. 年間支出の25倍の資産を目安にする
  4. 【年代別】FIREするために必要な資金
    1. 30代前半の単身世帯
    2. 30代の2人以上世帯
    3. 40代の2人以上世帯
    4. 50代の2人以上世帯
  5. FIREするためのステップ
    1. 1.具体的な目標を決める
    2. 2.年金や退職金を確認する
    3. 3.支出を見直し節約する
    4. 4.スキルアップや副業で収入を増やす
    5. 5.資産運用にチャレンジする
  6. FIREにいくら必要か確認して資産運用にチャレンジ!

そもそもFIREとは?

そもそもFIREとは?

FIREを達成するためには、まずFIREの概要をしっかりと理解しておく必要があります。特にFIREと早期退職は誤解されやすいため、それぞれの違いをしっかりと認識しておきましょう。

FIREとは経済的に自立し早期退職すること

FIREとは「Financial Independence, Retire Early」の頭文字を用いた略称で、投資や貯蓄などで資産形成を行い、経済的に自立したうえで早期に退職できる状態を指します。

老後の生活費用をまかなうといった観点から70歳まで働ける環境が整備され、定年後も何らかの収入が必要といわれているなか、FIREでは資産運用によって早期に資産を形成し、働かなくても生活ができる状態であることを目標としています。

最近重視されはじめた働き方改革により、FIREを目指す人も増えています。しかしFIREを達成するにはしっかりとした計画に基づいた資産形成が求められます

混同されがちな早期退職との違い

FIREはしばしば早期退職と混同されがちですが、FIREと早期退職では退職後の生活資金の確保手段が異なります

早期退職の場合、退職金をはじめ、貯蓄や相続した遺産などで退職後の生活資金を確保し、それを切り崩しながら生活する方法が一般的です。ただ、収入がない状態で資金を切り崩して生活するには不安が拭えません。

早期退職をして予想以上に早く資金が尽きた場合、再度就職するなど収入を得る方法を考えなければなりませんが、長く働いていない場合、働くこと自体に抵抗を感じてしまうケースも考えられます。その結果、必要な収入が得られず生活できないといった事態に陥ってしまいます。

しかし、FIREは若いうちに投資や副業、節約などで資産形成を行い、退職した後は投資によって得られる不労所得(運用益や配当金など)で生活します。

一定の不労所得があるため、資産を切り崩すといった不安が少ない点が早期退職との大きな違いです。

達成しやすい「サイドFIRE」という選択肢

また、「サイドFIRE」という選択肢もあります。

サイドFIREとはセミリタイアと呼ばれることもあり、投資などによって資産形成を行いながら経済的な自立を目指しつつ、完全に退職するのではなく、必要に応じて副業やアルバイトなどで収入を得る方法です。

常に働かなくても良い点や、仕事の内容や仕事にかける時間を調整しやすいといった点が魅力のため、より自分らしい生活が送れる点がFIREと異なっています

また、FIREや早期退職だと社会とのつながりが薄れていきがちですが、サイドFIREなら副業やアルバイトを通して人との繋がりを維持できます。ただ、FIREの場合でも、自分の趣味の友人など新たな繋がりが見つかる可能性はあります。

サイドFIREでは労働収入が得られるため、FIREよりも資産形成の目標額が少なく設定できる点がメリットです。

しかし、FIREそしてサイドFIREも資産形成を行い、ある程度の資産を築かなければならない点は同じです。FIREする場合、退職するまでの期間によっては、より綿密な計画に基づいた資産形成が必要だということを忘れないようにしましょう。

FIREのメリット・デメリットは?

FIREのメリット・デメリットは?

FIREしようと考えた時に、失敗するからやめとけと言われることも多いでしょう。

しかし、FIREのメリットとデメリットをしっかりと理解しておけば、失敗する確率も少なくなりますし、自分の目標とする退職時期や、それに伴う必要な資金額も明確化できます。

ここではFIREのメリットとデメリットについて解説します。

FIREのメリット

FIREによって得られるメリットは以下のとおりです。
・仕事のストレスから解放される
・自由な時間が手に入る
・投資などの金融知識が広く身につく
・経済的な安心感を得られる
・生活する場所に縛りがなくなる
・自分がやってみたかったことにチャレンジできる
FIREで退職することにより、仕事のストレスから解放される点はFIREの大きなメリットです。それによって自由な時間が得られるため、これまで確保できなかった家族との時間や趣味の時間が作れるでしょう。

また、FIREすることによってお金に関する知識がより深く身につく点もメリットです。

不労所得があるため、経済的な不安もありません。そのため自分がやってみたかったことにチャレンジできますし、場合によっては生活する場所を変えることも可能です。

FIREのデメリット

しかし、FIREにはデメリットもあります。デメリットとしては、以下の点が挙げられます。
・計画通りに資産運用ができなくなる可能性がある
・急な出費に対応できない可能性がある
・希望している職種への再就職が難しくなる
・受け取れる年金額が少なくなる
資産運用は、世界経済などさまざまな要因による影響を受けます。そのため計画通りの資産形成ができなくなる可能性は否定できません

また、現金で確保している以上の急な出費が発生した場合、対応できなくなってしまいますし、その際には運用計画の見直しが必要です。

仮に再就職の必要に迫られても、希望どおりの職種へ就職できる保証もありません

さらに忘れてはならないのが、「受け取れる年金額が減ること」です。退職後は第1号被保険者になるため、国民年金(老齢基礎年金)だけになってしまい、定年までずっと働いていた場合と比べると受け取れる年金額が減ってしまいます。

FIREを実現するためにはいくら必要?

FIREを実現するためにはいくら必要?

FIREするには、その後の生活費を投資などの資産運用を行って築いておかなければなりません。実際にFIREを実現するためにはいくらの資金が必要なのでしょうか。

「4%ルール」を念頭に置く

FIREを達成するにあたり、欠かせないものに「4%ルール」があります。「4%ルール」とは、毎年の生活費を投資元本の4%未満にとどめることができれば、30年以上経過しても資金が尽きる恐れがないといわれているものです。

ちなみにこの「4%ルール」の4%とは、アメリカ株式(S&P500)の年平均成長率である7%から、平均物価上昇率3%を引いた数字です。

つまり、資金を年利4%で運用し、運用益だけで生活できるようになれば、FIRE達成と言えるでしょう。

ただし、アメリカ株式(S&P500)の年平均成長率(7%)が常に続くとは限りません。市場の様子や平均物価上昇率の動きを見ながら、投資元本や毎月の生活費を決めるようにしましょう。

年間支出の25倍の資産を目安にする

上の「4%ルール」に基づいて計算すると、年間支出の25倍の資産があれば、年利4%の運用益で生活ができることになります。

仮に毎月の生活費が25万円、年間支出は300万円とします。それだと6,000万円の資産が必要です。ただ、一時的な支出があることも予想し、余裕を持って考えておくことも大切です。

一時的な支出は、独身の場合や夫婦2人の場合、また子どもがいる場合などで異なります。特に子どもがいる場合は教育費も考慮しておかなければなりません。

自分たちが老後になったときにかかる医療費や介護費用も視野に入れながら、自分にあった資産の目安を設定しましょう。

【年代別】FIREするために必要な資金

【年代別】FIREするために必要な資金

ここでは、FIREするために必要な資金について、総務省が発表している家計調査(2023年度)の支出データを参考にしながら年代別(30代単身、30代2人以上、40代2人以上、50代2人以上)に紹介します。

30代前半の単身世帯

30代の単身世帯における年間の消費支出は2,188,310円、月額に換算すると約18万円です。

そして上で述べた内容に沿って計算すると、約219万円×25=約5,500万円がFIRE達成のために必要な金額です。

ただ、30代前半で退職するとなると、受け取る年金がほぼ国民年金(老齢基礎年金)になってしまい、老後は年金収入に期待できない点に注意が必要です。

30代の2人以上世帯

30代の2人以上の毎月の消費支出は約27万円、年間に換算すると約330万円です。

すると、約330万円×25=約8,250万円がFIRE達成に必要な金額です。

ただ、夫婦2人だけなのか、子どももいるのかで必要な額は変わります。特に子どもがまだ小さい場合はこれからかかる養育費(生活するために必要な費用)や教育費なども考慮して最終的に必要な金額を求めるようにしましょう。

40代の2人以上世帯

40代2人以上の世帯における毎月の消費支出額は約33万円です。年間で考えると約400万円ですので、FIRE達成のために必要な額は、約400万円×25=約1億円です。

40代だと、すでに子どもに教育費がかかっている世帯もあるでしょう。その場合は進学先(専門学校、大学、そして公立か私立か)によってかかる費用が異なります。また、卒業すれば教育費の負担はなくなります。

従って、あくまでも「4%ルール」に固執するのではなく、今後必要になる生活費がいくらになるかを計算し、自分なりの達成金額を考えることが大切です。

50代の2人以上世帯

50代の2人以上世帯における消費支出は月額で約35万円、年間では約430万円です。そうなると、50代でFIREするにあたり達成するための金額は約430万円×25=約1億750万円です。

そして、この約1億750万円があれば30年以上は資金が尽きることもないため、平均寿命(男性:81.09歳、女性:87.14歳)まで安心して暮らせるでしょう。

また、50代でFIREするなら、年金収入も期待できます。退職するまでの平均年収によっては、多くの老齢厚生年金が受け取れますし、老齢基礎年金と合わせても生活費の足しになります。

さらに、不労収入が得られるなら、かなりゆとりのある生活が送れるのではないでしょうか。

FIREするためのステップ

FIREするためのステップ

ここからは、FIREを達成するためのステップについて解説します。FIREを達成するためのステップは以下のとおりです。

1.具体的な目標を決める
2.受け取れる年金額や退職金額を確認する
3.支出を見直し、節約する
4.スキルアップや副業で収入を増やす
5.資産運用にチャレンジする

それぞれの内容について、以下で詳しく説明します。

1.具体的な目標を決める

FIREを達成するためには、まず具体的な目標を決めなければなりません。目標がなければモチベーションも上がらないでしょう。

そのためには、まず自分の生活費を把握することが大切です。退職後も同じ生活レベルを維持していくためにも、現在の支出額を確認してみましょう

毎月いくら、どのような費用に使っているかを確認するともに、年払いの支出をカウントすることも忘れないでください。

また、今後予定しているライフイベントも考慮する必要があります。特に子どもがいる場合は教育費がかかりますし、公的年金の第1号被保険者になることにより、社会保険料の負担が今より増えることも想定しておかなければなりません。

年間支出額が把握できたらその金額に25を乗じて目標金額を設定します。また、目標金額の設定には、いつ退職するかも考慮しなければなりません。なぜなら退職までに資金を準備しておかなければならないからです。

これを踏まえたうえで、最終的に「いつまでに」「いくら」資金を準備しなければならないといった目標を立てましょう。

2.年金や退職金を確認する

目標金額を決める際には、退職金や受け取れる年金も踏まえて計算することが大切です。

勤続年数が短ければ受け取れる退職金額も少なくなります。また、退職後は国民年金のみに加入することになるため、受け取れる年金額が少なくなることも視野に入れておきましょう。

国民年金である老齢基礎年金は、保険料を480ヶ月きちんと払っていれば満額受給できます。勤務している間の厚生年金に関しては、勤務期間中の平均年収を元に計算しなければならず、計算も複雑です。

日本年金機構のサイトでは年金見込み受給額がシミュレーションできるツールが用意されていますので、活用してみましょう。

3.支出を見直し節約する

貯蓄を増やすためには、家計の見直しが必須です。無駄な支出はないか、また固定費について見直せる部分はないかを確認してみましょう。

特に固定費は1度見直すとその効果が継続するため、1番最初に取り組むべきです。固定費には、家賃や光熱費、通信費などが該当します。通信費が高いなと感じた場合は、キャリアやプランを見直してみましょう。

また、利用していないサブスクリプションサービスは解約するなどで年間の支出を減らせます。保険も1度見直し、重複している保障を解約するなどで、その後の保険料を減らせる効果が期待できます。

4.スキルアップや副業で収入を増やす

FIREをできるだけ早く達成するためにも収入を増やすことを考えましょう。

本業だけではなく、自分の得意とする分野で副業を行うほか、資格を取得するなどスキルアップを行うことで昇進につながる可能性もあります。

場合によっては転職を考えてみても良いでしょう。ただ、転職したからといって必ずしも収入が上がる保証はありません。転職を考えるなら、転職先の条件や自分のスキルを最大限活かせるかどうかを確認したうえで行動するようにしましょう。

5.資産運用にチャレンジする

FIREを目指して資産形成を行うなら、支出と収入の差額で資産運用を始めましょう。FIREの達成を目指す資産運用なら、リスクとリターンのバランスが取れた「ミドルリスク・ミドルリターン」の投資方法がおすすめです。

具体的には、株式投資や投資信託などです。株式投資には高配当株を狙ったものもありますので、分散投資の1つとして取り入れてみましょう。

FIREにいくら必要か確認して資産運用にチャレンジ!

FIREとは投資や貯蓄などで資産形成を行い、経済的に自立したうえで早期に退職することです。退職後は運用益で生活するため、働かなくても収入が得られる人生を手に入れられます。

ただ、FIREするためにはまとまった資金が必要で、その金額やいつまでに準備しなければならないかは人によって異なります。FIREを達成するためにも、必要となる金額を把握し、いち早く資産運用に取り組みましょう。

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