“株は5月に売れ”は迷信か真実か? 経済用語「アノマリー」を分析

【画像】各指数における月別および5月の平均収益率から、「株は5月に売れ」という“アノマリー”の真相を検証。 [拡大する]

【画像】各指数における月別および5月の平均収益率から、「株は5月に売れ」という“アノマリー”の真相を検証。

 投資家たちの間では広く知られている「アノマリー」。証券市場において、経済合理性だけでは説明ができない現象を指す言葉で、5月には「セル・イン・メイ=株は5月に売れ」というアノマリーがある。日本では鯉のぼりを上げる季節に株価が上がり、その後、下落を続ける傾向があるとか。そこで、オリコンDサイエンスでは、この5月のアノマリ―が迷信か真実か? 収益率のデータから真偽を分析。“ただの迷信”とやり過ごせない、意外な結果を得た。

 まず、東証1部(+大型株・中型株・小型株)、東証2部、マザーズの6つの指数を対象に調査を実施。2000年4月から2014年3月までのデータより、各指数の月次、週次、日次の収益率を求めた上で、5月が株の売りどきであるか否かを検証した。

 5月の月次データは、6指数ともこの14年間の月次平均収益率がマイナス。特にマザーズ指数(画像参照)に関しては、平均収益率が−6.46%と、他の指数に比べて突出して下げていることが判明。統計上、偶然性の高さを示す値(「P値※1」)が10%を下回り、確率的に“ただの偶然”とは判じがたい。

 さらに5月の第3週にしぼって精査すると、東証2部指数とマザーズ指数の週次収益率はそれぞれ平均−1.4%、−4.35%と平均値はマイナスで、こちらも統計的には有意と判断できる結果が出た。

 次に、5月上旬までに株価が上がっている可能性について検証を続行。5月第1週の平均週次収益率を分析してみると、統計的に有意だったのはマザーズ指数のみ(+2.89%)だったものの、6指数すべてがプラスの値を示していた。

 分析結果を総合的に捉えると、マザーズ指数や東証2部指数といった「小型株」については、株価が下がる傾向にあることが示唆された5月。第2週〜第4週にかけては、株価全体として、平均的に下がっているという事実が導きだされた。これは、5月第3週の東証2部指数とマザーズ指数を除いて統計的には有意な結果を得られていないものの、中央値で見てもほぼ同様の傾向である。

 一方、必ずしも合理的な判断や根拠を伴わない人々の行動が経済を左右しているとする「行動経済学」という考え方からみると、投資家が大連休を前に株を整理しがちなことからくる「連休要因」や、期末決算の発表の影響などもあり、人間心理から「5月は株価が下がる傾向がある」と判断することもできる。

 どちらの観点から考察しても、株式取引を行う上で5月のアノマリ―「セル・イン・メイ(株は5月に売れ)」を、ただの迷信や都市伝説だと受け流すには、いったん“待った”を掛けてみることが賢明かもしれない。

【調査概要】
調査対象:東証1部(TOPIX)、東証1部大型株(TOPIX 100)、東証1部中型株(TOPIX Mid400)、東証1部小型株(TOPIX Small)、東証2部指数、マザーズ指数(※いずれも配当無し/カッコ内は指数名)
調査対象期間:2000年4月1日〜2014年3月31日

【分析方法】
各指数の月次、週次、日次の収益率を求め、それぞれについて年別、月別、週番号別の分析を行い、その分布特性を調べた上で平均値についての検定を行った。得られたサンプル数については、日次…266〜312サンプル、週次…56〜67サンプル、月次…14サンプル。
※週番号の定義は、1.その月の第N日曜日〜その週の最終営業日を週番号Nとする。2.ただし、最終営業日が翌月にずれる場合は、その週の週番号については、翌月の週番号1とする。

 ※1 P値は仮説が成立する確率を表す。P値が10%を下回っている場合は統計的には弱いものの「仮説は起こりえない」とされる。P値が1%を下回る場合は、「仮説は強く起こりえない」とされる。今回の仮説は、「収益率の平均値は0%」である。

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