2015年02月19日 06時00分
迷信か真実か!? 14年分のデータで検証する「節分天井、彼岸底」
グラフ1/年度別の年間平均株価推移 (C)oricon ME inc.
投資の世界には、経済合理性だけでは説明ができない現象を指す「アノマリー」という言葉がある。理論立てた根拠はないが、経験則として語られている「法則」ともいえる。今回、オリコンDサイエンスでは、節分の時期に株価が上がり、彼岸に底値になるといわれている「節分天井、彼岸底」についてデータ分析を実施。2000年1月から2014年12月までの全上場銘柄の週次株価データ296万7241データを用いた検証から、これまでの認識が覆るような事実が明らかになった。
■年度別でみる「年間平均株価の推移」で検証
まず「彼岸」は春と秋(3月末と8月末)の年2回あり、どちらの彼岸がアノマリーに該当しているかは諸説あるため、今回は両方を比較した。次に、今回利用する14年分の全上場銘柄の週次株価データを個別銘柄ごとに標準化し、それぞれ“平均0、標準偏差1”になるようにデータ変換を行い、もともとバラバラだった株価が同じ平均値と標準偏差を持つデータとして比較できるようにした。その結果、全銘柄平均の年間を通じたおおよその株価変動の推移を求めることができた(グラフ1)。
グラフ1からは【年間を通して前半は株価上昇、後半は株価下落の年が多い傾向にある】と推測できる。さらに検証を続け、14年分の年間推移から平均株価を算出した。
■“節分底、彼岸高”!? 迷信と言い切れる検証結果
14年分の年間平均株価はグラフ2のように推移した。グラフ2からは【2月の節分時期は年間を通じても平均より株価が低めの傾向にあり、春秋の彼岸の方が高い傾向にある】ことがわかる。つまり、これまで投資家たちの間で長く言い伝えられてきた「節分天井、彼岸底」は迷信である可能性が高いと言えるのだ。
統計的にみても、株価の標準化標準偏差は1のところ、最大でも標準偏差の10分の1程度しか動きがないことから、「年間を通じてほとんど変化しない」と判断できる。また年間の中で後半に大きく下降しており、こちらに関しては“リーマンショックが起こった年の影響を強く受けているのでは”との仮説のもとで検証を行ったが、該当年を除外してもグラフはほぼ同じ形になった。
また今回の検証では、年間を通しての傾向として【株価の天井は第18週目(5月初旬)または第26週目(6月下旬)で、底は第46週目(11月下旬)】との結果も得られた。信じる、信じないは投資家自身の判断になるが、投資指標のデータの一つとして頭に入れておいてみてはいかがだろうか。
【データ定義・検証手法】
1.2000年1月から2014年12月までの全上場銘柄の週次株価296万7241データで検証する。
2.検証にあたり、各銘柄に対して標準化(平均0、標準偏差1にする変換)を行う。
3.標準化した株価の平均をグラフ化し、比較・検証する。
4.節分を年始から数えて5週目、彼岸を13週目と35週目として比較・検証する。
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