知識ゼロでもわかる「経済用語」 “特別損失”を“家計簿”に例えて解説!

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“企業の決算”を題材に3つの「経済用語」を紹介

 日々、新聞やニュースで目にする経済用語。社会人として当然知っているべきものだが、ちゃんと理解している人は意外に少ないもの。そんな「いまさら聞けない」経済用語を時事ネタに絡めて3つ解説する。

 今回のテーマは企業の決算。免震ゴム製品の性能偽装問題を起こした東洋ゴム工業の中間決算(2015年1〜6月)を題材に、「特別損失」、「営業利益」、「最終利益」という決算に出てくる3つの重要項目について解説しよう。

 「一生懸命働いて給料はアップ、同時に節約にも努めたことから、家計簿は大幅な黒字に…と思ったら、交通事故を起こして赤字に転落」。極端にいえば、東洋ゴム工業の決算をサラリーマンの家計簿に置き換えるとこうなるだろう。

 「企業の家計簿」である“決算”を見ると、東洋ゴム工業の苦境がよく分かる。東洋ゴム工業は、ビルやマンションなどに使われる免震ゴムの性能を偽装していたことが発覚、交換や補償にかかる費用は304億円という巨額に達する見込みだ。

 この費用は「特別損失」(略して「特損」)という項目に計上される。「特別損失」は、一時的な要因で発生した損失で、天災による被害、店舗の閉鎖や従業員の解雇といったリストラ費用、そして不祥事や不良品の発生などによって生じる支出などが含まれる。

 サラリーマンの家計簿に置き換えれば、「テレビが壊れたので買い直した」、「家族で海外旅行に行った」、「部下の結婚式でご祝儀を包んだ」といった臨時の出費が「特別損失」となるわけだ。

 東洋ゴム工業の免震ゴム性能の偽装問題は、信号無視をして相手の車を壊してしまったようなもので、304億円という巨額の「特別損失」を計上する事態となったのだ。

 この問題がなければ、東洋ゴム工業の決算は素晴らしいものになるはずだった。売上高は前年同期比プラス3.8%の1944億円で、「営業利益」は前年同期比プラス35.5%の291億円となった。「営業利益」は売上高から原材料費や人件費といった生産に必要な費用を差し引いたもの。製品を製造して販売するという企業の根幹事業の業績を示すものであることから、「本業の儲け」などと呼ばれることもある。東洋ゴム工業の場合、売上高を増やすと同時に、大幅なコスト削減にも成功したことから、「営業利益」を3割も増やす絶好調の決算だったのだ。
 
 株式投資や不動産事業といった「副業」の収支や借金をしていた場合の利息支払い、外国為替相場の変動に伴う差損・差益といった、本業以外の収支(営業外利益)を加えた「経常利益」も267億円(前年同期比プラス36.6%)と好調だった東洋ゴム工業。

 だが、巨額の「特別損失」が全てを吹き飛ばしてしまい、「最終利益」は41億円余りの赤字へ転落する。「最終利益」は、「営業利益」や「営業外利益」、そして「特別損失」などを全て合算したうえで、税金などを差し引いた「手取りの利益」。東洋ゴム工業の半年間の収入が1944億円、生活費を差し引いた黒字が291億円もあったのに、交通事故で304億円もの支払が生じたため、41億円を超える赤字となったのだ。

 東洋ゴム工業の今後はどうなるのか? 304億円もの「特別損失」は痛いが、半年間で291億円もの「営業利益」があることから、1年間を通した決算の見込みは「最終利益」が120億円の黒字になると予測している。

 交通事故の補償費用は、豊富な本業の儲けを使えば十分に賄えるというわけだ。とはいえ、今回の問題で信頼が失われたことから、売上高が減少する恐れがあり、補償費用がさらに膨らむ可能性もある。収入が減る一方で、賠償が増えるような事態になれば、経営が危機的状況に陥ることも十分にあり得るのだ。高水準の「営業利益」は維持されるのか? 「特別損失」がさらに増えることはないのか? 東洋ゴム工業の決算からまだまだ目が離せないといえるだろう。

記事/玉手 義朗
1958年生まれ。外資系金融機関での外為ディーラーを経て、現在はテレビ局勤務。著書に『円相場の内幕』(集英社)、『経済入門』(ダイヤモンド社)がある。

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