知識ゼロでもわかる【経済用語】 中国経済の“フェイク”はこう見破れ!!

中国経済は“主催者発表”でフェイクされている…? [拡大する]

中国経済は“主催者発表”でフェイクされている…?

 日々、新聞やニュースで目にする経済用語。社会人として当然知っているべきものだが、ちゃんと理解している人は意外に少ないのではないだろうか。そんな「いまさら聞けない」という経済用語を時事ネタに絡めて3つ解説する。

 今回は「中国の経済成長率」、「李克強指数」、「爆買い」を取り上げる。

 2016年の日本、そして全世界の経済動向を左右する最大の要因が中国の経済成長率の動向だ。2015年7〜9月期には+6.9%だった中国の経済成長率が大きく低下する可能性があるとして、株式市場や外国為替市場、原油をはじめとした商品市場にも大きな不安材料となっている。

 中国の中央銀行である中国人民銀行は、2016年の中国の経済成長率が+6.9%になるとの予測を発表した。政府目標の+7.0%こそわずかに下回るものの、これが達成されるなら、世界経済に大きなダメージを与えることもないだろう。

 だが、この予測はあくまで「主催者発表」に過ぎないと考えられている。昨年8月30日、国会前で開かれた安全保障関連法案に反対する集会では、12万人が集まったとする「主催者発表」に対して、「警察発表」は3万3000人だった。広範囲に集まった人を数えるのは困難であり、どちらがより正確な数字なのかはわからないが、あまりの大きな差に「どちらが本当か?」という議論を呼んだ。中国の経済成長率についても同様の議論が展開されているのは言うまでもない。

 経済成長率の算出は、経済活動全体を把握することから膨大な作業となる。日本の規模でも、昨年10〜12月期の経済成長率(第1速報値)が発表されるのは、今年2月15日と2ヶ月以上経過してからのことで、3月にはさらに精度を上げた「第2次速報値」が発表される。

 ところが、中国の経済成長率はわずか1ヶ月ほどで公表され、その後の改訂もされず、発表内容も概要だけで、各項目に及ぶ詳細なデータも示されていない。広大な国土と13億人もの人々による経済活動を日本よりも1ヶ月も早く把握することは物理的に不可能だ。

 中国の経済成長率は集会参加者を数えもせず、目標に合わせて作られた「主催者発表」に過ぎないというのが、多くの専門家の見解なのだ。

 こうした中、より実態に近い「警察発表」として注目されているのが「李克強指数」だ。中国の首相である李克強氏が提唱したもので、(1)鉄道貨物輸送量(2)電力消費量(3)銀行の融資残高という3つのデータから、経済の現状を探ろうとするもの。経済活動が活発になれば、鉄道貨物の輸送量も電力消費量も増加、銀行融資が増加すれば、設備投資などの企業活動が活発になっていることが推察できる。中国経済という大規模な集会の参加者を数えるのは困難なので、近くの駅の利用者数などから全体像を推測しようというわけだ。

 李克強指数は、李克強氏が遼寧省の党書記だった時代に、政府発表の中国の経済成長率は信用できないとの考えから導入したもの。「主催者発表」は信用できないため、自ら考え出した方法による「警察発表」をしようとしたわけだ。李克強指数から想定される中国の経済成長率は+2〜3%程度との試算もあり、本当の状況はかなり悪いとする専門家も多いのだ。

 とはいえ、李克強指数も中国で集計されたものであることから、その信用度は低いとする専門家もいる。こうした中で注目されているのが爆買いの動向だ。日本で家電製品や化粧品などを大量に買い付けて行く爆買いは、中国人労働者の懐具合を直接的に反映するため、その増減から経済の全体像を探ろうというわけだ。

 中国人旅行者の支出は、財務省が発表している国際収支状況(地域別国際収支)の中の「旅行収支」に記されている。また、観光庁の「訪日外国人消費動向調査」からも、その動向を探ることが可能だ。

 もし、これらのデータで爆買いの減少が顕著になったら、中国の経済成長率が高水準にあったとしても、経済の実態は悪化していると考えざるを得なくなる。中国全土ではなく、日本と言う特定の場所に焦点を絞って参加人数を数えるのが爆買いから中国の経済状況を探る方法であり、より正確な「警察発表」だというわけだ。

 世界第2位の経済大国となった中国だが、いまだに「主催者発表」がまかり通っているのが現実。これに騙されることなく、「警察発表」から中国の経済状況を的確に把握し、経済の変調や株式市場の暴落などの危機を回避する必要がある。

記事/玉手 義朗
1958年生まれ。外資系金融機関での外為ディーラーを経て、現在はテレビ局勤務。著書に『円相場の内幕』(集英社)、『経済入門』(ダイヤモンド社)がある。

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