原油安、背景は何? たった5分で理由が丸わかり!!

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【図表】世界原油需給(期間:2013年1Q〜2015年4Q)

 2015年の暮れより、原油安が株安を招く展開となっている。国際指標であるNY原油が史上最高値147.27ドル/バレル(注)をつけたのは、2008年7月11日のこと。

 2016年1月下旬、NY原油は一時30ドルを割り込み、およそ12年ぶりの安値圏にある。なぜ、原油はここまで下落したのだろうか?
注:1バレル=約159リットル

▼需要と供給のバランス
 原油価格下落の背景には、需給の緩みが挙げられる。原油は、需要・供給ともに右肩上がりで推移しているものの、2014年以降、供給過剰状態が続いている。【図表1】を見てもわかるように、中国・新興国の景気減速に伴い需要が減速する一方、供給は大幅増加を続けているからだ。供給増加の背景には、米国発「シェール革命」がある。

▼世界一の産油国となった米国
 シェールとは、従来の油田より深い地層のことを指す。2000年以降の原油価格上昇に加え新技術発明により、米国では、技術・コスト的に難しかったシェールガス開発が進んだ。

 英石油大手のBP統計(BP Statistical Review of World Energy June 2015)によれば、シェール層より採れるシェールオイルの産出により、2014年末における世界最大の原油生産国は、米国になったとのこと。米国では、「シェール革命」で原油生産量・在庫が急増し、輸入が減少。およそ85年ぶりの高水準となった原油在庫の売り先を求め、2015年12月18日、米国は1975年以来40年ぶりに原油輸出を解禁した。

 世界一の原油消費国である米国が、世界一の産油国となり、原油輸出が解禁されたことから、国際エネルギー情勢を巡るパワーバランスが大きく変化する時を迎えているといえる。

 これに対し、これまで世界最大の産油国であったサウジアラビアは、シェア維持のため、OPEC総会で減産見送りを主導するなど、原油価格引き下げを図り「シェール革命」を倒そうとしている。同国の産油コストは、1バレル4ドル程度。一方、シェールオイルの損益分岐点は40〜80ドルにあるとされる。

▼イランの経済制裁解除
 サウジアラビアがシェア維持に躍起になっているのは、「シェール革命」だけが理由ではない。宿敵イランの存在がある。

 今年1月16日、EU3(英仏独)+3(米中露)によるイランの経済制裁解除を受け、イランが原油輸出を再開した。イランは、ベネズエラ、サウジアラビア、カナダに次ぐ世界第4位の原油埋蔵量を誇る(BP統計、前述)。イランによる原油供給量増加見通しも、原油価格下落に拍車をかけているのだ。

 ちなみに、歴史上、日本にとってイランは重要な原油輸入先だったことをご存知だろうか。日本の原油輸入先トップはサウジアラビアという印象が強いかもしれない。だが、1973年における、日本の原油輸入先の第1位はイランであり、輸入量の3割超を占めていたのだ。その後、イランの比率は減少していったものの、2000年頃まで、1位サウジアラビア、2位アラブ首長国連邦に次ぐ第3位の地位にあった。そのイランの復帰は、日本にとっても大きな意味があるといえる。

 国際エネルギー機関(International Energy Agency:IEA)は、1月19日付「月例石油市場レポート」で、2016年は日量100万バレル超の供給過剰となり、原油価格はさらに下げ余地があるとの見通しを示している。

 ネット証券で、手軽に原油に投資することができる金融商品の代表として、原油ETFがある。原油ETFには、1900円〜8000円程度で投資が可能だ。とはいえ、投資する際には、上述のような原油安の背景を把握した上で投資することをお勧めする。

<記事/三次理加(マイアドバイザー登録FP)>
(株)りか代表取締役。ラジオNIKKEI第一「ファイナンシャルBOX」等に出演後、独立。2012年、経産省・産業構造審議会商品先物取引分科会委員。著書「商品先物市場のしくみ」(PHPビジネス新書)他。

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