高齢ドライバーの自動車保険 補償内容確認の重要性と保険料を抑えるコツ
加害者および被害者となる両方のケースを想定
対物補償は無制限、特約もプラス
また、事故相手の車に時価額を超える修理費用が発生した場合に補償が受けられる「対物超過修理費用特約(名称は保険会社によって異なる)」も付けるとよいだろう。対物補償を無制限にしても、時価の範囲までの補償であるため、損害を与えた相手の車の修理代等の全てを補償してもらえない可能性がある。対物超過修理費用特約を付けておけば、修理費用全額を保険金で支払うことができる。自分に過失がある場合などで、相手方の修理代を全額支払ってあげたいと思った際に役立つ特約だ。
「人身傷害補償」と「弁護士費用特約」が必要な理由
高齢者は老化により判断力が低下するため、歩行中の交通事故にも遭いやすい。横断歩道を渡っている途中で信号が赤に変わってしまう、あるいは左右から来る自動車への注意が不十分になり、道路を横断するタイミングが合わないなどのケースがある。
自動車保険には示談交渉サービスが付いているが、損害賠償が関係する過失があった場合のみに適用され、被害者となった事故は適用外だ。そのため、自動車事故の被害者になりやすい高齢者は、弁護士が無料で交渉してくれる「弁護士費用特約」も付けておくと安心だろう。
少しでも抑える3つのコツ 高齢者の自動車保険料
【コツ1】走行距離を見直す
想定年間走行距離区分による保険料の割引は、多くの保険各社が取り入れている。高齢になれば、長距離を走る機会も減り、申告した年間走行距離が減っている可能性も。契約内容と1年間で走る距離を見直し、割引率の高い保険会社・プランを選ぶのも一手だ。
【コツ2】年齢条件を見直す
家族が乗るからと、補償範囲を全年齢対象にしている高齢ドライバーもいるかもしれない。もし、実際は自分しか運転していないのであれば、自分の年齢に合った条件に設定すると、保険料は抑えられるだろう。
子どもしか運転していないという場合は、記名被保険者を子どもにしてしまうのもおすすめだ。自分と子ども、双方が運転するのであれば、子どもの年齢に合った年齢条件で契約しているか確認を。契約時は21歳だった子どもが、すでに26歳になっていれば「26歳未満不担保」に変更できるため、保険料は抑えられる。
【コツ3】車両保険の免責金額を見直す
車両保険に加入している高齢ドライバーにおすすめなのが、自身が負担する「免責金額」の見直し。設定されていれば、事故が起こっても保険会社は支払金額を少なくすることができるため、保険料は割安に設定される。
2012年4月より等級制度が見直され、事故を起こして保険を使っても等級がダウンしない「等級据え置き事故」がなくなり、車両保険を使うと1等級または3等級下がることになった。また、同じ等級でも、事故を起こして保険を使った人とそうでない人で保険料に差が出るようにもなっている。車両に付いたちょっとしたキズなど、修理代が安く済むような場合には、保険を使わず自腹で直したほうがトクという面もあるようだ。
車両保険に加入している場合は、免責金額をゼロにするより、軽い修理では保険を使わず自腹をきる前提で10万円に設定し、保険料を安くしたほうが、断然お得だ。今一度、保険会社や補償内容、プランなどをじっくり再検討して、保険料を抑える工夫を実践してみよう。