車両保険なしで事故を起こしたら?どのような問題があるのかを解説

車両保険なしで事故を起こしたら?どのような問題があるのかを解説

自動車保険で補償される範囲は、事故の相手への対人賠償や対物賠償、自身のケガに対する補償が基本となっています。自分の自動車の修理費等の補償は自動的には付帯しないため、補償を受けたい場合は車両保険を追加する必要があります。車両保険の有無によって、実際に事故を起こしたときにどのような違いがあるのでしょうか。

この記事では、車両保険の概要や車両保険なしで事故を起こした場合の修理費等、事故の相手が車両保険なしだった場合について解説します。車両保険の加入を検討している人は参考にしてください。

車両保険は自動車の破損や盗難について補償してくれる保険

車両保険は、自分の自動車が壊れたり盗まれたりした場合の修理費や再購入費などを補償してくれる保険です。自動車同士の事故で契約車両が破損した場合の修理費のほか、台風や豪雨、高潮などの自然災害によって契約車両が損害を受けた場合や契約車両が盗難に遭った場合、いたずら被害に遭った場合も、車両保険で補償されます。

自然災害の中でも地震や噴火、津波といった災害については、一度に大規模な損害が生じやすく、保険会社の負担が大きいことから車両保険の補償対象になっていません。

ただし、保険会社によっては、特約をつけることで地震や噴火、津波による損害も補償されるものもあります。また、契約者や記名被保険者などの故意または重大な過失によって損害が生じた場合も、補償の対象外となります。

なお、車両保険をつけると、その分自動車保険の保険料は上がります。そのため、必要性は感じつつも、保険料が上がってもつけるべきか迷っている人は少なくないようです。

車両保険なしで事故を起こしたらどうなる?

車両保険をつけるかどうかを考えるために、まず、車両保険なしで事故を起こした場合にどのような事態になるのかをご紹介しましょう。

自動車保険に加入していても車両保険をつけていない場合は、自分の自動車が受けた損害に対する補償を受けることはできません。そのため、事故等で破損した自分の自動車の修理費用は全額が自己負担となります。

任意の自動車保険は、基本的な補償として対物賠償がセットされていますが、これは事故の相手の自動車やガードレール、電柱などの「他人のもの」を壊して損害賠償責任を負った場合に保険金が支払われます。
そのため、自分の自動車は補償対象外です。また、自動車保険には強制加入の自賠責保険もありますが、こちらの補償は対人賠償に限られ、やはり自分の自動車への損害は補償対象外となります。

なお、事故の相手に対する損害は、まず自賠責保険の対人賠償で補償され、不足分が任意の自動車保険の基本補償である対人賠償で補償されます。

事故の相手の自動車など、他人のものに対する損害の補償を受けることができるのは、任意の自動車保険の基礎補償である対物賠償です。

事故の相手が車両保険なしだった場合はどうなる?

車両保険は、自分の自動車が受けた損害を補償するものなので、事故の相手が車両保険をつけているかどうかは特に影響はありません。

車両保険の有無にかかわらず、事故の相手が任意の自動車保険に入っている場合、相手の責任となる部分については、自賠責保険の対人賠償および任意の自動車保険の対人賠償・対物賠償によって補償を受けることができます

しかし、事故の相手が任意の自動車保険に加入していない場合、損害に対する補償が受けられるのは、自賠責保険の対人賠償のみです。また、自賠責保険の補償には限度額があり、傷害による損害は最大120万円、後遺障害による損害は最大4,000万円、死亡による損害は最大3,000万円となっているため、損害が限度額を上回った場合は、超過分については事故の相手に直接請求することになります。

その際、事故の相手に支払い能力がないと判断された場合、自賠責保険でカバーしきれなかった分を支払ってもらうことは簡単ではありません。なお、損壊した自分の自動車の修理費などは、自賠責保険の対象外なので最初から事故の相手に直接請求しなくてはいけません。

車両保険が必要かどうかの判断基準

車両保険が必要かどうかの判断基準

車両保険はつけておくと安心ですが、その分保険料が上がってしまうのが悩ましいところです。車両保険をつけるかどうかは、状況に応じて車両保険の必要性を見極めることが重要になります。車両保険が必要かどうかの一般的な判断基準は下記のとおりです。

自動車の市場価格が低い

自動車保険の契約車両の市場価格が低い場合は、車両保険をつける必要がないことがあります。車両保険では契約時に、事故等の際に支払われる保険金額の上限となる支払限度額が設定されます。

例えば、実際の修理費が100万円だったとしても、支払限度額が80万円なら保険金は最大80万円しか受け取ることができません。

支払限度額は、契約者が自由に設定できるものではなく、車両保険の契約または継続手続きを行った時点での契約車両の市場価格を目安にして決定されます。自動車の市場価格は新車登録から年数が経つほど低くなるため、契約車両が中古車だったり10年を超えて乗り続けている自動車だったりした場合、車両保険の支払限度額もかなり低くなってしまいます。

その場合、車両保険の保険金を受け取っても、修理費や再購入費として十分でないこともあり、車両保険をつける意味があまりなくなってしまうのです。

自動車の市場価格や支払限度額が低い場合は、補償と保険料のバランスがとれているかをチェックすることが大切です。補償に対して保険料の負担が大きいと感じる場合は、無理に車両保険をつける必要はないといえるでしょう。

自動車のローンが残っている

自動車をローンで購入しており、まだローンが残っている場合は、新車・中古車を問わず車両保険に入っておくことがおすすめです。車両保険なしで自動車が損害を受けた場合、ローンの支払いに加えて修理費を支払うことになると、家計への負担が大きくなります。

また、自動車が全損で廃棄処分になってしまった場合は、自動車が手元にないのにもかかわらずローンを支払い続けなければなりません。一方で、新しい自動車も購入しなくてはいけないため、こちらも家計にはかなりの負担です。
そのため、車両保険をつけておけば、保険金を修理費やローンの返済にあてることができ、家計への負担を軽減できます。

自動車の使用頻度が高い

自動車を日常的に使ったり公共交通機関などの代替交通手段が使いにくかったりする場合は、車両保険をつけておいたほうが安心です。交通事故による自動車の破損は、いくら自分が注意をしていても防ぎきれないものもあります。

また、自動車の使用頻度が高いと、それだけ事故に遭うリスクも上がるため、車両保険をつけておくことをおすすめします。

貯蓄が十分にない

車両保険が必要になるのは、自動車の修理や再購入が必要になったとき、貯蓄が十分になくすぐに支払えそうにないという場合です。事故などで自動車が破損し、修理や再購入が必要になったとき、資金不足ですぐに対応ができないと、修理が完了するまでは自動車が使えず、不便な思いをすることになってしまいます。

しかし、車両保険をつけておけば、保険金で修理や再購入をすることができるので、急な出費に耐えられるほどの貯蓄が十分にない場合は、車両保険をつけておきましょう。

運転歴が浅い

運転歴の浅い人やたまにしか運転しない人は、運転に慣れている人に比べて事故を起こす危険が高まる傾向があるため、車両保険をつけて不慮の事故等に備えておくことをおすすめします。車両保険をつけておけば、接触事故などで自動車の修理が必要になったときに修理費が補償されるので安心です。

なお、車両保険には、補償範囲の広い一般型と補償範囲が限られる代わりに保険料が安いエコノミー型の2つのタイプがあります。

それぞれの補償範囲は保険会社によって異なりますが、一般的にはエコノミー型の場合、一般型では補償の対象となる電柱や壁への衝突といった単独事故(自損事故)や転覆・墜落による損害が補償対象になりません。そのため、車庫入れなどに自信がなく、単独事故(自損事故)による損害までカバーしたい場合は、一般型の車両保険を選びましょう。

車両保険の必要性については、下記の記事をご覧ください。
車両保険は必要?加入を検討するポイントについて解説

万一の事故に備えて、自動車保険へ加入する際は車両保険も検討しよう

車両保険は、任意の自動車保険につけることが可能で、事故や自然災害、盗難などで自分の自動車が損害を受けたときに修理費や再購入費を補償してくれるものです。自賠責保険や任意の自動車保険の基本補償には、自分の自動車に対する損害の補償は含まれていないので、車両保険なしで事故を起こした場合、自分の自動車の修理費等は全額自己負担になってしまいます。

なお、車両保険をつけておけば、修理費等が補償されるので安心ですが、その分保険料は上がるため、車両保険の必要性は修理費等が補償されるメリットと支払う保険料のバランスを考えて判断することが大切です。

自分の自動車の市場価格や修理費を自己負担できるかといった貯蓄状況、自動車を使用する頻度、運転歴などから車両保険が必要かどうかを考えてみましょう。車両保険の補償内容は保険会社によって異なるので、車両保険をつける際はいくつかの保険会社を比較・検討してみることも大切です。

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