自賠責保険とは?補償内容・任意保険との違いをわかりやすく解説
![]()
今回は、自賠責保険の補償範囲や保険料、保険金額についてわかりやすく解説します。自動車保険(任意保険)との違いにもふれていますので、ぜひ参考にしてください。
監修者トータルマネーコンサルタント 新井智美
マネーコンサルタントとしての個人向け相談、NISA・iDeCoをはじめとした運用にまつわるセミナー講師のほか、金融メディアへの執筆および監修に携わっている。
目次
加入が義務付けられている自賠責保険
![]()
自賠責保険の正式名称と「強制保険」と呼ばれる理由
この保険は、交通事故の被害者を最低限救済することを目的としており、「自動車損害賠償保障法(自賠法)」によって加入が義務付けられています。そのため、「強制保険」や「強制賠償保険」と呼ばれることもあります。
対象となるのは、普通自動車・軽自動車だけではありません。原付バイクや250cc以下のバイク、250cc超のバイクも対象です。さらに近年では、一定の条件を満たす電動キックボード(特定小型原動機付自転車)も加入義務の対象となっています。
国土交通省「自賠責保険・共済ポータルサイト」
未加入・期限切れで運転した場合の罰則
![]()
・違反点数6点
・免許停止処分
さらに、自賠責保険に加入していなければ車検を受けることもできません。そのため、通常は車検更新時に自賠責保険も更新される仕組みになっています。
自賠責保険の加入方法
![]()
自賠責保険の保険料は、一括払いが基本です。車やバイクを販売店で購入する場合、購入時に自賠責保険への加入も手続きの一環として行われ、保険料に関しては車体の購入費用と合わせて支払うケースが一般的です。
加入できる場所と手続きの流れ
・カーディーラー
・中古車販売店
・バイク販売店
・一部の郵便局
・コンビニ(原付・軽二輪など)
・インターネット申込
一方、125cc以下の原付や250cc以下の軽二輪では、コンビニやインターネットで加入できる商品も増えています。
保険料の支払いは、一括払いが基本で、加入後は、「自賠責保険証明書」と「保険標章(ステッカー)」が交付されます。店頭加入では即日受け取れることが多い一方、インターネット契約では後日郵送となる場合があります。
そのため、インターネットで契約するなら、更新期限ぎりぎりではなく、余裕をもって手続きすることが大切です。
自賠責保険の保険期間と更新のタイミング
普通自動車や軽自動車では、車検期間をカバーする形で契約する必要があります。たとえば、新車購入時は初回車検まで3年間あるため、「37ヵ月契約」にするケースが一般的です。
37ヵ月となる理由は、車検満了日まで確実に保険が切れないよう、1ヵ月余裕を持たせるためです。
一方、250cc未満のバイクや原付には車検制度がありません。そのため、自賠責保険の更新忘れが起こりやすく、自分で期限管理を行う必要があります。
自賠責保険の補償範囲と限度額
![]()
ここでは、補償される内容と補償されない内容、限度額について整理します。
自賠責保険の補償範囲
補償される主な費用には、以下のものがあります。
・通院交通費
・休業損害
・慰謝料
・葬儀費用
・後遺障害慰謝料
自賠責保険で補償されないもの(対物・自損事故・搭乗者)
・自分自身のケガ
・自分の車の修理費
・単独事故(自損事故)
そのため、不足部分を補う目的で任意保険への加入が重要になるのです。
自賠責保険の限度額
損害の範囲 | 支払限度額(被害者1人あたり) | |
傷害による損害 | 治療費・休業損害・慰謝料など | 最高120万円 |
後遺障害による損害 | 逸失利益、慰謝料など | 75万〜4,000万円 |
死亡による損害 | 葬儀費、遺失利益、慰謝料(本人および遺族) | 最高3,000万円 |
自賠責保険と自動車保険(任意保険)の違い
![]()
ここでは、自賠責保険と自動車保険の補償内容の違いについて解説します。
自賠責保険:対人事故の相手方に対しての死傷のみ補償
一方で、以下は補償対象外です。
・ガードレールなどの物損
・自分自身のケガ
・自分の車の修理費
自動車保険(任意保険):自賠責保険で不足する幅広いリスクをカバー
![]()
そのため、自賠責保険だけでなく、任意保険もセットで加入することが運転する車を保有するうえで重要だと考えましょう。
自賠責保険と任意保険の保険料の違い
一方、任意保険は「年齢」「等級」「車種」「使用目的」「補償内容」「運転者範囲」などによって保険料が変わります。そのため、同じ車でも保険料が大きく異なることがあります。
自賠責保険の保険料
![]()
| 所有する車種 | 保険料(24ヵ月の場合) | 保険料(36ヵ月の場合) | 保険料(37ヵ月の場合) |
|---|---|---|---|
| 自家用自動車 | 1万7,650円 (735.4円) |
2万3,690円 (658.1円) |
24,190円 (653.8円) |
| 軽自動車 | 1万7,540円 (730.8円) |
2万3,520円 (653.3円) |
24,010円 (648.9円) |
| 原動機付自転車 | 8,560円 (356.7円) |
1万170円 (282.5円) |
|
| バイク (軽二輪:125cc超250cc以下) |
8,920円 (371.7円) |
1万710円 (297.5円) |
|
| バイク (小型二輪自動車:250cc超) |
8,760円 (365円) |
1万490円 (291.4円) |
10,630円 (287.3円) |
※損害保険料率算出機構「自賠責保険基準料率表」
※( )内は1ヵ月あたりに換算した場合の保険料を表しています。保険の契約期間は、1ヵ月から最長60ヵ月(車種による)まであり、契約期間が長ければ長くなるほど月あたりの保険料が割安になります。保険料を抑えたい場合には、契約期間をできるだけ長く設定するのがおすすめです。
自賠責保険の基本料率は、損害保険料率算出機構で算出されています。保険基準料率に応じて保険料が改定される場合があるため、最新の保険基準料率をWebサイトで確認しておくといいでしょう。
自賠責保険の請求方法
![]()
以下でそれぞれの違いを見ていきましょう。
加害者請求
具体的には、加害者が被害者の治療費や慰謝料などをいったん立て替えて支払い、その後に自賠責保険へ請求を行います。自賠責保険は、実際に発生した対人賠償損害を補償する仕組みのため、被害者への支払い前に保険金だけを先に受け取ることはできません。
なお、実務上は、加害者が加入している任意保険会社が自賠責保険分も含めて対応する「一括払い制度」が利用されるケースが一般的です。そのため、加害者本人が直接加害者請求を行う場面は、任意保険未加入時などに限られる傾向があります。
被害者請求
通常、事故後の賠償は加害者側を通じて行われます。
しかし、加害者が任意保険に加入していない場合や、示談交渉が進まない場合、十分な補償を受けられないケースも考えられます。そのようなときでも、被害者は加害者が加入している自賠責保険へ直接請求できる仕組みになっています。
被害者請求では、治療費や休業損害、慰謝料などについて、自賠責保険の支払基準に基づいて保険金が支払われます。被害者救済を目的とした制度であるため、加害者からの支払いを待たずに請求できる点が特徴です。
なお、損害の一部について加害者請求、別の部分について被害者請求を行うことは可能ですが、同じ損害を重複して請求することはできません。また、加害者請求と被害者請求が重なる場合は、支払済み金額などを踏まえて調整が行われます。
請求時の注意点:時効・仮渡金・一括払い制度
・後遺障害:症状固定日から3年
・死亡事故:死亡日から3年
自賠責保険の解約方法
![]()
ただし、廃車や譲渡によって車両を使用しなくなった場合や、誤って重複契約してしまった場合などは、例外的に解約が認められています。
解約手続きは、契約している保険会社や共済窓口で行います。一般的には、保険証明書、廃車証明書(登録事項等証明書や返納証明書など)、本人確認書類、振込先口座情報などの提出が必要です。
なお、車やバイクの販売店・代理店では解約手続きに対応していないケースもあるため、事前に契約先へ確認しておきましょう。
![]()
ただし、返戻金は「解約手続きが完了した日」を基準に計算されることが一般的です。廃車後に長期間放置すると、その分だけ返戻金が少なくなる可能性があります。
特に、バイクや原付を廃車したあとに自賠責保険だけ残ったままになっているケースも少なくありません。車両を手放した際は、廃車手続きだけでなく、自賠責保険の解約まで忘れずに行うことが大切です。
自賠責保険に関するよくある質問
![]()
自賠責保険は車ごとにかかる?それとも人ごと?
自賠責保険が切れたまま事故にあったらどうなる?
自賠責保険証明書を紛失した場合の再交付方法は?
なお、証明書を携行せずに運転すると、30万円以下の罰金対象となるため注意が必要です。
自賠責保険の加入は義務のため、補償範囲や保険料を正しく知っておこう
未加入や期限切れのまま運転すると、罰則や行政処分の対象となるため、補償内容だけでなく契約期間や更新時期も含めて正しく把握しておくことが大切です。
ただし、自賠責保険で補償されるのは、相手方のケガや死亡といった「対人事故」の一部に限られます。相手の車の修理費、自分自身のケガ、自車の損傷などは補償対象外であり、高額な賠償事故では補償額が不足するケースもあります。
そのため、実際には自賠責保険に加えて、対物賠償や車両保険、人身傷害保険などを備えた任意保険へ加入する人が一般的です。
万が一の事故に備えるためにも、自賠責保険を「最低限の補償」、任意保険を「不足分を補う保険」として整理し、自分に必要な補償内容を検討するとよいでしょう。
オリコンでは、日本最大級の規模で調査を行い、毎年自動車保険ランキングを発表しています。保険料や事故対応、加入者の年代などさまざまな視点のランキングを確認できますから、保険会社選びの参考にしてください。
監修者トータルマネーコンサルタント 新井智美
マネーコンサルタントとしての個人向け相談、NISA・iDeCoをはじめとした運用にまつわるセミナー講師のほか、金融メディアへの執筆および監修に携わっている。
現在年間200本以上の執筆・監修をこなしており、これまでの執筆・監修実績は3,000本を超える。
(保有資格)
・1級ファイナンシャル・プランニング技能士
・CFP®
・DC(確定拠出年金)プランナー
・住宅ローンアドバイザー
・証券外務員