1日から加入できる! 自動車保険における短期契約の方法と特徴
このサービスは、文字通り「短期間」車を運転したい場合に加入できる保険です。パソコンやスマートフォンで申し込み、コンビニで支払うといった簡単な手続きで利用できます。
本記事では、自動車保険を短期で利用する方法からケース別の上手な活用方法、「1日自動車保険」と「ドライバー保険」のメリット・デメリットまで詳しく解説します。
短期で自動車保険に加入するにはどのような方法がある?
(1)1日自動車保険を使う
(2)ドライバー保険へ加入する
(3)他人の自動車保険を使わせてもらう
(4)1ヶ月単位で通常の自動車保険へ加入する
短期間運転する場合、期間にもよりますが、基本的には(1)(2)のいずれかの方法を利用するのが一般的です。(3)の方法は自身だけでなく、所有者にとってもリスクのある方法であるため、あまり推奨できない方法といえるでしょう。
また、(4)は通常の自動車保険を分割払いで契約し、運転しなくなったときに解約する方法です。この方法は、車の名義を自分名義にしなければならず、車を借りている場合、運転しなくなった後に名義を戻すことになるため、手続きの手間が発生します。
そのため、短期間だけ運転する場合は、1日自動車保険やドライバー保険などの保険を活用しましょう。
「1日自動車保険」「ドライバー保険」のメリットとデメリット
「1日自動車保険」とは
ただし、本人や配偶者、法人が所有する車を運転する場合は、契約することができません。
1日自動車保険には、主に以下のようなメリットがあります。
(1)スマートフォンやコンビニなどで24時間いつでも簡単に加入手続きができる
(2)必要最小限の無駄のない保険料で済む
(3)一定の日数無事故だった場合、自動車保険新規加入時に割引が適用される
(4)等級制度がない
保険料の支払いは、クレジットカード払い、毎月の電話代金と一緒に決済されるキャリア決済や、コンビニ支払いなどのため、手間もかからず簡単です。加えて、1日単位で加入できるため、支払う保険料に無駄が発生しません。
また、等級が設けられている通常の自動車保険は、事故を起こすと等級が下がり、支払う保険料が上がってしまいます。1日自動車保険には等級がないため、旅行などで不慣れな道を運転する際は、等級を守るために加入するのも活用方法の一つです。
1日自動車保険への加入には多くのメリットがある一方で、以下のようなデメリットもあります。
(1)ガラケーなどから契約できない場合がある
(2)一定期間しか契約できない。もしくは一定期間以上契約をすると、割高になる
(3)人身傷害補償が付いていない
(4)適用対象の車種が限定されている
基本的に1日自動車保険は、保険会社によって異なりますが、スマホやパソコンからでないと加入できません。パソコンも対応していない保険会社もあるため、加入手続きを行う際は必ず事前確認しましょう。
また、1日あたり500円の保険料でも、1月(30日)間加入すれば1万5,000円になります。加えて、事前に定められた規定の保険金しか支払われないため、事故の規模によっては自己負担額が発生するリスクがあります。
なお、1日自動車保険の補償対象となるのは自家用乗用車のみで、貨物車やバイクは基本的に補償されませ ん。一部の輸入車やスポーツカーも補償対象外としている保険会社もあり ます。レンタカーなどは対象外なことも注意が必要です。
「ドライバー保険」とは
ドライバー保険には、主に以下のようなメリットがあります。
(1)搭乗者傷害保険が付いている
(2)補償される車種の範囲が広い
(3)運転期間によっては1日自動車保険よりも保険料がお得になる
ドライバー保険は対人賠償保険、対物賠償保険に加えて、1日自動車保険ではカバーしていない人身傷害保険が 付いています。けがの状態に応じて治療の実費が支給されるため、自己負担額が発生する可能性がほとんどありません。
また、一般的な普通車から軽自動車、2トントラック、バイク、原付までほぼカバーされています。さらに、補償期間が長期になるほど、保険料は割安になる傾向があります。基本補償だけでなく、必要に応じてオプションを選べるのも魅力の一つです。
ドライバー保険には搭乗者傷害保険が付いている、補償される車種の範囲が広いなどのメリットがある一方で、以下のようなデメリットがあります。
(1)基本的に他人の車しか補償されない
(2)等級がある
(3)車両補償がついていないことが多い
基本的にドライバー保険は、家族の車や会社名義の車が補償対象ではありません。これらは一般的な自動車保険で対応するため、無保険で運転することのないようにしましょう。
また、一般的な自動車保険と同じように、ドライバー保険には等級があります。事故を起こすと保険料が上がってしまうので注意しましょう。無事故で等級が上がり、保険料が安くなったとしても、一般的な自動車保険に等級を引き継げない点もデメリットです。
期間やケースで変わるおすすめの自動車保険のタイプ
自分の車を運転する場合
自動車保険は1年単位で契約ができるほか、多くの場合、保険料の月払いも可能です。自動車を使う機会が減ったタイミングで解約することもできます。
ただし、保険料を無駄に感じるからといって自動車保険に入らないのはおすすめできません。万が一事故を起こしてしまった場合には、多額の賠償責任を負う可能性もあります。保険料を抑えたい場合には、補償内容・補償範囲を限定して加入するのも一つの方法です。
他人(家族や同居の親族以外)の車を運転する場合
1日自動車保険を選びましょう。1日500円から加入でき、事故があっても補償が受けられる頼もしい保険です。
1カ月間他人の車を運転する場合は、1日自動車保険を更新しながら利用するとドライバー保険加入よりもお得になります。ただし、7日間で更新という点だけ忘れないようにしましょう。
1日あたり500円で加入できる1日自動車保険ですが、2カ月では約3万円かかり、ドライバー保険に加入した場合と変わらない金額になります。2カ月以上、他人の車を運転する状況があらかじめ想定される場合は、初めからドライバー保険に加入しておく方がお得です。
なお、自身で車を所有しており、一般的な自動車保険に加入している場合は、基本的に1日自動車保険に加入する必要はありません。というのも、多くの場合「他社運転特約」がついているからです。他社運転特約があれば万が一事故が発生しても、借りている車を契約中の自動車とみなして保険金が支払われ ます。
家族や同居の親族の車を運転する場合
レンタカーを運転する場合
自動車保険を途中解約する際に覚えておくべき2つのこと
1.途中解約時は中断証明書を発行
中断証明書を発行するには、以下のいずれかの条件を満たさなければなりません。
● 廃車や譲渡、リースの返還手続きが完了している
● 海外渡航することが決まっている
● 病気などの理由で運転が不可能な状態と診断されている
車検期間が残っている車が手元にある状態で自動車保険だけを解約する場合、中断証明書の発行は受けられないので注意しましょう。また、中断証明書を使用して自動車保険を再契約する際は、中断証明書と車検証のコピーが必要です。
2.年払いと月払いの解約返戻金について
解約返戻金額の計算には「短期率」と呼ばれる係数が用いられることを覚えておきましょう。短期率は既経過期間に応じて決まっており、解約返戻金額は、「年間保険料×{1-既経過期間に対応する短期料率」」で求められます。例えば年間保険料が5万円で短期料率が25%(期経過期間1ヶ月まで)の場合の解約返戻金は3万7,500円です。
解約する前に、どのくらいの金額が手元に戻ってくるのかを確認しておきましょう。短期間で解約すると、思ったよりも少ない金額しか受け取れないケースもあります。
短期でも自動車保険の加入は必要
また、事故で家族や友人の保険を使用すると、保険料が上がり迷惑を掛けることにもなります。自身で1日自動車保険やドライバー保険に加入し、万が一の事故に備えましょう。
この記事の監修者:酒井富士子
日経ホーム出版社(現日経BP社)にて「日経ウーマン」「日経マネー」副編集長を歴任。リクルートの「赤すぐ」副編集長を経て、2003年から現職。「お金のことを誰よりもわかりやすく発信」をモットーに、暮らしに役立つ最新情報を解説する。