被害者救済費用特約とは?仕組みや支払われる条件を事例付きで解説
被害者救済費用特約とは
・自動走行システムの普及
・心神喪失や認知症などの責任無能力者による事故の増加
それぞれについて詳しく解説します。
【自動走行システムの普及】
自動走行システムは、ドライバーに代わって機械が認知、判断、予測、操作などを行う技術体系です。自動走行システムが普及することで、交通事故の責任関係が分かりづらくなると予想されています。事故の関係者に、自動走行システムを開発した自動車メーカーなどが加わるためです。
新たな技術が普及し、交通事故の責任関係が複雑化することで、事故の原因や責任の所在、責任の割合が確定するまでに時間がかかるようになると考えられています。しかし、被害者救済費用特約が登場したことにより、このような状況下でも迅速かつ確実に被害者を救済できるようになりました。
【心神喪失や認知症などの責任無能力者による事故の増加】
責任無能力者とは、心神喪失などで不法行為による損害賠償責任を負わない人のことです。運転者の高齢化などに伴い、責任無能力者による事故の増加が懸念されています。
心神喪失や認知症などの責任無能力者が事故を起こした場合、監督義務者がいなければ自動車保険の補償の対象外となります。対人賠償保険や対物賠償保険は、法律上の損害賠償責任を負ったときに保険金が支払われるからです。被害者救済費用特約は、そのような責任無能力者が起こした事故の被害者を救済することができます。
被害者救済費用特約のみで保険金が支払われた場合、等級がダウンしないノーカウント事故として扱われます。翌年以降の保険料に影響を与えないため、万が一のときにも安心して使える特約といえるでしょう。
■被害者救済費用特約は自動付帯される
被害者救済費用特約は、対人賠償保険、対物賠償保険に自動付帯される特約です。これらの保険を契約すると自動的に付帯されるので、保険料見直しなどの目的で外すことはできません。
保険金が支払われる条件と補償金額
■車両の想定外の動作による事故の場合
車両の想定外の動作による事故では、以下の条件を満たす場合、保険金が支払われます。
・想定外の動作の原因が、リコールや警察の捜査などで明らかになっている場合
・被保険者に法律上の損害賠償責任がないことが確定している場合
責任無能力者による事故では、以下の条件を満たす場合、保険金が支払われます。
・運転者の監督義務者が不在、あるいは監督義務者の責任が認められない場合
※運転者の監督義務者がいる場合も補償の対象となる
被害者救済費用特約で支払われる保険金の限度額は、以下の通りです。
・人身事故の場合:対人賠償保険の保険金額
・物損事故の場合:対物賠償保険の保険金額
以上を限度として、保険金が支払われます。対人賠償保険、対物賠償保険を無制限で契約している場合は、被害者救済費用特約で支払われる保険金の限度額も無制限となります。
被害者救済費用特約の特徴と必要性を理解しよう
※本記事は2020年6月30日時点での内容です。
>>自動車保険を見直すなら「満足度の高さ」で選ばれた自動車保険をチェック