自動車保険の20代の相場は?保険料が高い理由や抑える方法を解説

自動車保険の20代の相場は?保険料が高い理由や抑える方法を解説

自動車保険の保険料は、加入する人の年齢によって変わります。20代の場合、ほかの年代より保険料が高めな傾向があり、節約する方法はないか悩んでいる人もいるでしょう。

今回は、20代の自動車保険料の相場(平均)や、ほかの年代と比べて保険料が高い理由のほか、保険料を節約するためのポイントなどについて紹介します。

20代はほかの年代より保険料が高い?

20代の自動車保険料は高いと言われることが多いですが、実際のところはどうなのでしょうか。ある自動車保険会社のシミュレーションで、同じ条件で年齢別に保険料を算出したところ、下記のような結果になりました。
<年齢別年間自動車保険料>
21歳未満6万6,990円
21〜25歳4万430円
26〜29歳2万8,720円
30代2万4,900円
※普通乗用車、ブルー免許、6等級を条件に年齢別にシミュレーション
21歳未満は6万6,990円、30代では2万4,900円と、同じ条件でも年齢だけで年間の保険料で4万円以上もの差があります。

20代の自動車保険料の相場

オリコン顧客満足度の自動車保険の調査によると、20代の自動車保険の年間支払額は「3万〜4万円」が14.4%と最も多く、次いで「2万〜3万円」が10.5%でした。多くの世代では4〜6万円程度がボリュームゾーンとなっています。
■年代別で見た自動車保険料(年間)の分布

年間保険料

20代

30代

40代

50代

60代

全体

2万円未満

8.7%

5.3%

4.5%

4.2%

1.8%

3.7%

2万円以上3万円未満

10.5%

5.3%

8.5%

6.1%

6.2%

6.8%

3万円以上4万円未満

14.4%

8.0%

11.9%

11.6%

11.8%

11.6%

4万円以上5万円未満

9.6%

10.4%

9.5%

10.7%

10.3%

10.2%

5万円以上6万円未満

4.8%

14.8%

11.8%

10.8%

11.4%

11.2%

6万円以上7万円未満

7.4%

8.6%

11.9%

9.3%

9.6%

9.8%

7万円以上8万円未満

4.8%

8.3%

6.5%

7.3%

6.8%

6.9%

8万円以上9万円未満

3.9%

5.3%

6.2%

5.7%

5.9%

5.7%

9万円以上10万円未満

5.2%

6.5%

3.9%

4.0%

4.4%

4.4%

10万円以上15万円未満

9.2%

8.9%

9.5%

10.3%

13.7%

11.2%

15万円以上

2.2%

2.1%

3.0%

4.0%

4.1%

3.6%

※過去4年以内に自分が運転していて自動車保険の補償を受けたことがあり、かつ自動車保険へ加入する際に選定に関与した18〜79歳のサービス利用者が対象。ここでは、年間保険料の設問に対して回答のあった計4,050人(「答えたくない」「わからない」と回答した人は除く)のデータを掲載(調査期間:2022年8月16日〜8月29日)。
20代は他の年代に比べて保険料が高めとされていますが、調査ではほかの年代より保険料が抑えられているという結果が出ました。

ただし、オリコン顧客満足度の調査対象者は、「過去4年以内に保険適用をしたことがあるユーザー」であり、車種・等級・走行距離・使用目的などの条件は一人ひとり異なります。あくまで参考値として見てください。

20代の自動車保険料が高い理由は?

20代の自動車保険料が高い理由は?

なぜ20代の自動車保険の保険料は高いのでしょうか。その理由には、下記のようなものが考えられます。

事故件数の多さ

20代は運転免許を取得したばかりで経験が少なく、事故率が高い傾向があります。下記のグラフを見ると、30歳以降の事故件数は300件前後で推移しています(70歳以降は増加に転じる)。それに対して、25〜29歳は414.8件、20〜24歳は597.2件、16〜19歳は1039.2件と、明らかに事故の件数が多いことがわかるでしょう。

【表】免許保有者10万人あたりの交通事故件数

※警察庁交通局「令和4年中の交通事故の発生状況」

保険会社は、損害保険料率算出機構が算出した「参考純率」を基礎として保険料を決めています。参考純率とは、保険の契約や支払いといった膨大なデータから、リスクの大きさを算出して区分したものです。参考純率にはいくつか項目があり、年齢による事故のリスクもそのひとつです。

公平性の観点から、事故のリスク、つまり保険金支払いの可能性が高いほど、自動車保険料は高くなります。そのため、事故率が高い20代以下や70代以降の保険料は、高く設定されています。

等級による割引率の低さ

自動車保険には、等級(ノンフリート等級)という制度があります。等級は1〜20等級まで設定されており、数が大きくなるほど保険料の割引が受けられます。初めて自動車保険に加入したときは原則として6等級で、保険を使用しなければ毎年1等級ずつ上がります。

自動車保険の加入年月が浅い傾向にある20代の場合、等級は低めと考えられます。あまり割引されないため、保険料は高くなるでしょう。

年齢条件の割引率の低さ

年齢条件での割引率が低いことも、20代の自動車保険の保険料が高めである理由でしょう。年齢条件は、自動車保険の契約の際に、あらかじめ契約車を運転する人の年齢を限定することで、保険料を安くできる制度です。

事故件数の多さとも関係しますが、自動車保険の年齢条件は、年齢を高く設定するほど、割引率は高くなります。年齢の若い20代の場合は、年齢条件での割引をあまり受けられず、保険料は高くなりがちです。

ただし、年齢条件の割引率は保険会社によって違いがあり、同じ年齢でも保険料に差が出ることがあります。

自動車保険料が決まる仕組み

20代の自動車保険料が、ほかの年代よりも高めなのは、事故リスクの高さや、等級・年齢条件といった割引制度の恩恵の受けにくさが理由にありました。では、そもそも自動車保険料は、どのように決まるのでしょうか。

前述のように、保険会社は参考純率を参考にして、独自に保険料を決めています。参考純率には以下のような項目があり、リスクの差異に応じて区分されています。それぞれの項目に契約者の状況をあてはめて、個々の保険料が決まるという仕組みです。
<保険料を決める参考純率の項目>
・使用目的・車種
・型式別料率クラス
・新車・新車以外
・走行距離
・等級
・年齢
・保険金額と免責金額
項目の中でもあまり聞きなれない「型式別料率クラス」とは、車種や型式ごとに事故実績から保険料の割引率を算出したものです。自家用車にのみ適用され、車の型式ごとに1〜17の数字で区分され(自家用軽四輪自動車は1〜3)、数が小さいほど割引率は高くなります。そのため、同じ年齢でも乗る車で自動車保険料が異なる場合があるでしょう。

ただし、保険会社は参考純率のほか、記名被保険者の年齢区分や住んでいる地域、事故歴といった独自の項目を定めています。そのため、同じ条件でも保険会社によって保険料は異なります。

20代が自動車保険料を安く抑える方法

20代が自動車保険料を安く抑える方法

車を運転するなら、まさかのときのために万全の備えをしておきたいものです。とはいえ、20代はまだ学生だったり、就職したばかりであまり給与が多くなかったりと、自動車保険にあまりお金は出せない人も多いでしょう。ここでは、20代が自動車保険料を抑えるためにできることをご紹介します。

等級を引き継ぐ

前述した自動車保険の等級は、家族に引き継ぐことが可能です。もし、親が20等級の自動車保険に加入している場合、割引率は最大で63%です。この等級を引き継げば、20代でも保険料を節約できる可能性があります。

例えば、20代の子供が新しく車を購入し、20等級の親の等級を引き継ぐケースだと、親の自動車保険の対象車両を車両入替し、子供の車に変更します。記名被保険者や契約車、車両所有者も変更してください。これで等級の引き継ぎは完了し、子供は20等級の保険を利用できることになります。

等級を引き継がせると親は無保険になるため、新規で保険契約しなければなりません。原則として6等級からのスタートですが、年齢のために20代が新規に契約するより、親と子の合計の保険料は安くなることが多くなります。年齢条件の設定や各種の割引制度を組み合わせれば、さらに保険料を抑えられることもあるでしょう。

ただし、等級を引き継ぐには条件があり、記名被保険者の配偶者か同居の親族、記名被保険者の配偶者の同居親族に限られます。たとえ子供でも、別居の場合は等級の引き継ぎはできませんので注意してください。

運転者限定特約を利用する

運転者限定特約とは、契約車を運転する人を限定すると、保険料が割引になるというものです。運転者の範囲は、保険会社で多少異なりますが、「本人限定」「本人と配偶者限定」「家族限定」「限定なし」があり、範囲が狭いほど割引率は高くなります。

契約車を運転する人が限られる場合は、運転者限定特約を利用すると、20代でも自動車保険料を節約できるでしょう。しかし、運転者を限定すると、それ以外の運転者による事故は補償されませんから、慎重に検討してください。

年払いにする

自動車保険料の支払い方法には、大きく「年払い(一括払い)」「月払い(分割払い)」の2つがあります。年払いにすると、保険料総額が安くなり、支払いの手間も少ないです。月払いに比べて、支払い方法の選択肢も増える傾向があります。

ただし、年払いは一度の出費額が多かったり、途中解約すると月払いより保険料総額が高くなったりするというデメリットもあるため、経済状況や今後の予定も含めて考えてみましょう。

車両保険の補償範囲と免責金額を考える

車両保険は、事故による自分の車の損害を補償するための自動車保険です。車両保険の保険料は、ほかと比べて高めとされますが、事故リスクが高めの20代は、できれば加入しておきたいところです。

車両保険には、保険会社によって名称が異なる場合がありますが、補償範囲の広い一般型と、範囲の狭いエコノミー型があります。エコノミー型では単独事故や当て逃げ、自転車との事故などが補償されませんが、その分保険料は安くなります。

また、免責金額の設定でも車両保険を安くできるでしょう。事故で自分の車が故障して車両保険を使うとき、免責金額として設定した金額は自己負担で支払うことになります。例えば、免責金額が5万円で修理費が20万円だとしたら、5万円は自己負担で保険金支払いは残りの15万円です。

免責金額を高くするほど保険料は安くなります。しかし、あまりに高く設定すると、いざ車両保険を使うときに自己負担が多くて困ることになりかねませんので、一度に支払える金額と保険料を踏まえて検討しましょう。

補償内容を絞る

自動車保険は、補償内容が手厚いほど保険料は高くなります。最低限の補償のみにする、設定できる場合は保険金を低くする、車両保険や特約を見直すなどすることで、保険料を抑えることができるでしょう。ほかの契約と重なっている補償はないかどうかも見直してみてください。

ただし、保険料を抑えるために、必要な補償まで削ってしまっては本末転倒です。自分に必要な補償が何かを考えた上で検討しましょう。保険会社ごとに用意しているインターネット割引や早割、新車割といった割引やキャンペーンが使えないかなども含めて、比較検討してください。

20代の自動車保険料は高めだからこそしっかり検討を

20代の自動車保険料の相場は、事故リスクの高さや年齢条件・等級といった制度の割引が適用されにくいことから、ほかの年代よりも高めになっています。しかし、事故リスクが高いからこそ、20代は自動車保険に加入する必要性が高いです。自分に必要な補償内容が何かをしっかり検討し、保険料を抑える方法も使いつつ、自動車保険を検討してください。

なお、自動車保険は保険会社で補償の内容や保険料が異なりますから、特徴をよく理解して比較検討することが重要となります。

オリコンでは、日本最大級の規模で毎年調査を実施し、毎年「自動車保険満足度ランキング」を発表しています。保険料や事故対応、加入者の年代など、さまざまな視点のランキングを確認できますので、保険会社選びの参考にしてください。
オリコン日本顧客満足度ランキングの調査方法について

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