2018年04月17日 08時20分
フィンテック(金融IT)企業の相次ぐ参入 スマホに特化した証券取引
スマホに特化した証券取引の動向とは(写真はイメージ)
通話やインターネットなどの機能以外にも、アプリでゲームをしたりSNSに投稿したりと暇つぶしにも役立つスマートフォン(以下スマホ)。証券取引に関しても、手軽に利用できるということで、フィンテック企業(「Finance(金融)」と「Technology(技術)」をかけ合わせた造語で、ITをかけ合わせた金融サービスを取り扱う企業)が今、注目している。情報収集・銘柄選びから購入までがひとつのスマホアプリ内で完結するというものだ。投資初心者にも始めやすいと話題のスマホに特化した証券取引の動向をチェックしてみよう。
■手軽さが魅力で相次ぐフィンテック企業の参入
スマホに特化した証券取引の最大の魅力は何と言ってもその手軽さだろう。スマホのみで購入でき、少ない手順での取引や少額取引が可能。また、初心者でも選びやすいように、フェイスブック、アマゾン・ドット・コム、スターバックス、任天堂、トヨタ自動車、楽天など、誰もが知っている有名企業の株式銘柄を揃えているところもある。
この魅力によりフィンテック企業が相次いで参入。スマホアプリを利用することで株式委託手数料を無料としたり、資産運用したり、さまざまなサービスを打ち出している。
■対面型大手証券会社の戦略は
これに対し、対面型の大手証券会社もスマホを利用した投資サービスへの参入の動きを強めている。スマホアプリで個人型確定拠出年金(愛称「iDeCo」)などの資産運用サービスを提供したり、LINEアプリ上で株式売買や人工知能(AI)を使った相談サービスの提供などを想定しているという。
対面型の大手証券会社が業種の垣根を越えてスマホ経由のサービスを提供するのには、若年層の取り込みという目的もある。主要顧客の高齢化により、これから資産運用が必要な現役世代である若年層を、いかにして顧客につけるかが課題であった。そのため、若い世代の顧客を持つ異業種やベンチャー企業などと組んで、スマホ経由のサービスを提供するメリットは大きい。
このように、証券取引においてパソコンさえ必要とせずスマホアプリ経由での売買が選択肢の一つとして確立されつつある。新興企業も老舗企業も、スマホ戦略に生き残りをかけてしのぎを削っており、スマホアプリを利用したサービスは今後ますます存在感を強めていくことだろう。
(マネーライター・永井志樹子)
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