【交通事故・慰謝料の計算方法】3.弁護士基準の場合

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 交通事故に遭い、加害者に損害賠償として慰謝料を請求するにあたっては、状況によっては弁護士に交渉を依頼することがあります。その際の慰謝料の相場とは、いくらなのでしょうか? 役立つ任意自動車保険の弁護士費用補償特約と合わせてチェックしていきましょう。
 弁護士に交渉を依頼するケースとして挙げられるのは、加害側に100%過失がある場合。交通事故に遭った際、任意保険に加入していれば示談を代行してもらうことができますが、任意保険は「賠償」を目的としたものであるため、加入者に過失がなく賠償する必要がない場合は代行することができません。

 つまり、自身に過失がない事故では自分で相手側と交渉をしなければならないということ。そこで頼りになるのが、交渉のプロともいえる弁護士。もちろん依頼にかかわる費用は必要となりますが、交渉のわずらわしさから解放され、何より知識不足が招くトラブルを回避することができます。
 弁護士が慰謝料交渉の基準としているのは、裁判所の考え方や過去の判例などをもとに東京三弁護士会の交通事故処理委員会が公表している「弁護士会算定基準」。今回は、そのうち「民事交通事故訴訟・損害賠償額算定基準」(通称「赤い本」)をもとに見ていきましょう。たとえば骨折などのケガを負った場合、基準となる内容は以下の通りです。

※別表1。単位:万円。他覚症状のないむちうちや打撲、捻挫といった軽傷の場合は、別表2が使われます

 上の表を見てわかる通り、弁護士基準の慰謝料は入院期間と通院期間から算出されます。入院期間を横軸で、通院期間を縦軸で見ていき、交わる箇所が基準となる慰謝料金額です。

 たとえば、(1)青信号で横断歩道を渡っているときに車と接触し、転倒してケガをして2ヶ月間通院した場合は、横軸「入院」の列と、縦軸「通院」の「2月」が交わる52万円。(2)赤信号で停車中に追突され、骨折などの重傷を負い、入院3ヶ月・通院6ヶ月を要したとしたら、横軸の「3月」と、縦軸の「6月」の列が交わる211万円となります。

 ただし、この表はあくまで“基準”。長期間通院が必要となっても、実際の通院日数が少ない場合は、通院日数の3〜3.5倍を目安に計算するなど、入院・通院の状況やケガの程度によって増減されることもあります。

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 任意保険会社が示談交渉を行えない事故で、弁護士に交渉を依頼する際、役立つのが「弁護士費用補償特約」。同特約を使う場合は、まず保険会社の同意を得ることが必要となり、弁護士の選択は、自分で選ぶ、もしくは保険会社に紹介してもらいます。支払いは年間1000円前後が一般的ですが、最初から組み込んだプランを用意している保険会社もあります。

 基本的な内容は、弁護士・司法書士・行政書士への報酬や訴訟費用を1事故1名につき最大300万円、法律相談費用を1事故1名につき最大10万円補償。使用しても等級の上下には関係しないため、等級が下がる心配はありません。

 弁護士というと、なかなか普段、接する機会も少なく、ましてや仕事を依頼するということにためらいを覚える人もいるかもしれません。ただし、事故の円満な解決のためにプロの手を借りるのは、とても理にかなっていること。思いがけない不利益を被ることのないよう、弁護士への依頼は選択肢として持っておきましょう。
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