対人対物無制限とは?保険金額を無制限にすべき理由や保険料について解説
対人賠償は無制限でも対物賠償についてはこのくらいで大丈夫だろうと上限を定めて設定する人もいるかもしれません。
しかし、対物賠償でも高額な賠償額になるケースもあるため、対物賠償の保険金額も無制限にしておくことをおすすめします。
今回は、対人対物無制限の概要を説明するとともに、なぜ無制限にする必要があるのかについても解説します。
併せて、対人対物無制限にした場合の保険料や、対人対物無制限に関する注意点についても紹介しますので、これから自動車保険に加入しようとしている人や、更新が近づいている人はぜひ参考にしてください。
目次
対人対物無制限とは
対人賠償保険および対物賠償保険の保険金額を無制限にすることで、万が一事故を起こして損害賠償責任を負ったとしても、支払われる保険金額の上限がなくなります。
事故によっては、対物賠償の補償額が高額になるケースもあり得ます。その際に無制限にしておくことで安心できるでしょう。
対人賠償保険とは
対人賠償保険の補償対象になるのは、以下に該当する人です。
●記名被保険者(契約する車を主に利用する人)
●契約している車を管理もしくは使用している人で、次のいずれかに該当する人
・記名被保険者の配偶者
・記名被保険者またはその配偶者の同居親族および別居の未婚の子ども
●記名被保険者の同意を得て契約する車を管理もしくは使用している人
●記名被保険者の使用者(業務利用に限る)
また、上に挙げた人が被害者になった場合は補償されません。
ただし、事故を起こした際に車に同乗していた他人は補償の対象です。
対物賠償保険とは
対物賠償保険の補償対象は以下のとおりです。
● 自動車保険のの被保険者(記名被保険者)
●契約している車を管理もしくは使用している人で、次のいずれかに該当する人
・記名被保険者の配偶者
・記名被保険者またはその配偶者の同居親族および別居の未婚の子ども
●記名被保険者の同意を得て契約する車を管理もしくは使用している人
●記名被保険者の使用者(業務利用に限る)
また、以下の場合は補償の対象外です。
●自動車保保険の契約者、被保険者などの故意によって発生した損害
●地震や噴火、津波のほか、台風や洪水、高潮によって発生した損害
●以下に挙げる人が所有もしくは使用管理している物
・記名被保険者
・保険の対象となる車を運転している人、配偶者、父母、子ども
●記名被保険者の配偶者、父母、子ども
対人対物無制限の必要性
対人賠償で保険金額を無制限にすべき理由
●死亡:3,000万円
●後遺障害:4,000万円
●障害:120万円
(いずれも被害者1名あたり)
具体的な補償額の例として、損害保険料率算出機構のデータから、人身事故における高額賠償判決例を3つ紹介します。
■人身事故における高額賠償判決例
判決年月日 | 態様(被害者) | 認定総損害額 |
2011年11月1日 | 死亡(41歳男性・開業医) | 5億2,853万円 |
2016年3月30日 | 後遺障害(30歳男性・公務員) | 4億5,381万円 |
2017年7月18日 | 後遺障害(50歳男性・コンサルタント) | 4億5,375万円 |
このように過去には1億円を超える高額賠償判決例があることからも、対人賠償保険では保険金額を無制限に設定しておいた方が安心です。
対物賠償で保険金額を無制限にすべき理由
そのため、任意保険で対物賠償に備えておく必要があります。もし対物賠償の備えが少なかった場合、余剰分は全て自己負担となってしまいます。
また対物賠償では被害を受けた物件の修理費用に加え、修理の間営業できなかった場合の営業補償も支払う必要があり、賠償金額が高額になる可能性は否定できません。
実際に過去にあった対物事故における高額賠償判決例を3つ紹介します。
■交通事故における高額賠償判決例
判決年月日 | 認定総損害額 | 被害物件 |
1994年7月19日 | 2億6,135万円 | 積荷の呉服や洋服、毛皮 |
1996年7月17日 | 1億3,450円 | パチンコ店舗 |
1980年7月18日 | 1億2,036円 | 電車、線路、家屋 |
対物事故でも1億を超える損害が出る可能性は十分にあります。そのためにも対物賠償保険でも保険金額は無制限にしておいた方が安心です。
保健金額を無制限にした場合の保険料について
しかし基本的には対人賠償保険および対物賠償保険の保険金額を無制限に設定したとしても、保険料は大きく変わりません。
一般的に1億円の保険金額を無制限にした場合の保険料の上乗せは年間1,000円程度です。この程度なら、少し保険料が上がったとしても、保険金額を無制限にしておくことで得られる安心感の方が大きいのではないでしょうか。
保険料を抑えることばかり考えて、結局自分で負担する金額が多くなってしまったら、自動車保険に加入している意味がありません。
もし事故が起きた際に自分で負担する金額を抑えるためにも、高額な賠償金額を請求された時に備え、対人賠償保険および対物賠償保険の保険金額を無制限に設定しておくことをおすすめします。
対人対物無制限に関する注意点
あくまでも損害賠償責任の範囲での無制限だということに注意しておきましょう。
例えば、車同士での事故において対物賠償責任が発生するのは、車の時価額までです。そのため、対物賠償保険で支払われるのも最高額は車の時価額分までとなり、それ以上の修理費用がかかっても支払われません。
この場合の過失割合は10:0です。
この追突した車の時価額が50万円であるにもかかわらず修理費に70万円かかった場合、差額の20万円は自分で負担しなければなりません。過失割合が9:1だった場合は自己負担が18万円になります。
また、免責金額にも注意が必要です。
対物賠償保険では契約者が自己負担する免責金額を設定できるケースがあり、免責金額を高く設定するほど保険料は安くなります。ただし、その分事故を起こした際の自己負担額が増えてしまいますので、免責金額を設定する際は妥当な金額がどうかを考えてから決めるようにしましょう。
対物賠償保険で補償されるのは時価額まで
対人対物賠償は無制限の検討を!
そんなときに頼りになるのが対人賠償保険や対物賠償保険です。
車を購入すると、自賠責保険に強制加入させられるため、自賠責保険で十分と思う人もいるかもしれません。実際に最近では任意の自動車保険に加入していない人も見られます。
しかし、自賠責保険の保険金額は低く、補償として十分とはいえません。また。自賠責保険で補償されるのは対人賠償のみで、対物賠償は含まれていません。そのため、車を保有しているなら任意の自動車保険にも加入しておきましょう。
また、任意の自動車保険に加入する際には、賠償額が大きくなる可能性があることも考え、対人賠償保険および対物保険の保険金額を無制限に設定しておくことをおすすめします。
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