対人対物無制限とは?保険金額を無制限にすべき理由や保険料について解説

対人対物無制限とは?保険金額を無制限にすべき理由や保険料について解説

車の任意保険に加入する際、対人賠償対物賠償の保険金額をどのくらいにするか悩む人もいるのではないでしょうか?

対人賠償は無制限でも対物賠償についてはこのくらいで大丈夫だろうと上限を定めて設定する人もいるかもしれません。

しかし、対物賠償でも高額な賠償額になるケースもあるため、対物賠償の保険金額も無制限にしておくことをおすすめします。

今回は、対人対物無制限の概要を説明するとともに、なぜ無制限にする必要があるのかについても解説します。

併せて、対人対物無制限にした場合の保険料や対人対物無制限に関する注意点についても紹介しますので、これから自動車保険に加入しようとしている人や、更新が近づいている人はぜひ参考にしてください。

mokuji目次

  1. 対人対物無制限とは
    1. 対人賠償保険とは
    2. 対物賠償保険とは
  2. 対人対物無制限の必要性
    1. 対人賠償で保険金額を無制限にすべき理由
    2. 対物賠償で保険金額を無制限にすべき理由
  3. 保健金額を無制限にした場合の保険料について
  4. 対人対物無制限に関する注意点
  5. 対人対物賠償は無制限の検討を!

対人対物無制限とは

対人対物無制限とは

対人対物無制限とは、対人賠償保険および対物賠償保険の保険金額を無制限として設定し、契約することです。

対人賠償保険および対物賠償保険の保険金額を無制限にすることで、万が一事故を起こして損害賠償責任を負ったとしても、支払われる保険金額の上限がなくなります。

事故によっては、対物賠償の補償額が高額になるケースもあり得ます。その際に無制限にしておくことで安心できるでしょう。

対人賠償保険とは

対人賠償保険とは、自動車での事故によって他人を死亡させたりケガを負わせたりした結果、法律的な損害賠償責任を負った際に自賠責保険では賄えない部分の補償額を保障してくれる保険です。

対人賠償保険の補償対象になるのは、以下に該当する人です。
対人賠償保険の補償対象者
●記名被保険者(契約する車を主に利用する人)
●契約している車を管理もしくは使用している人で、次のいずれかに該当する人
・記名被保険者の配偶者
・記名被保険者またはその配偶者の同居親族および別居の未婚の子ども
●記名被保険者の同意を得て契約する車を管理もしくは使用している人
●記名被保険者の使用者(業務利用に限る)
上述のとおり、記名被保険者の親族や子どもは、要件を満たさない限り対象となりません

また、上に挙げた人が被害者になった場合は補償されません

ただし、事故を起こした際に車に同乗していた他人は補償の対象です。

対物賠償保険とは

対物賠償保険とは、対人賠償保険とは異なり、自動車の事故によって他人の物に与えてしまった損害について、賠償責任を負った際に保険金が支払われる仕組みの保険になります。

対物賠償保険の補償対象は以下のとおりです。
対物賠償保険の補償対象者 
● 自動車保険のの被保険者(記名被保険者)
●契約している車を管理もしくは使用している人で、次のいずれかに該当する人
・記名被保険者の配偶者
・記名被保険者またはその配偶者の同居親族および別居の未婚の子ども
●記名被保険者の同意を得て契約する車を管理もしくは使用している人
●記名被保険者の使用者(業務利用に限る)
対人賠償保険と同様に記名被保険者の親族、子どもは要件を満たさない限り対象となりません。

また、以下の場合は補償の対象外です。
<対物賠償保険の補償対象外>
●自動車保保険の契約者、被保険者などの故意によって発生した損害
●地震や噴火、津波のほか、台風や洪水、高潮によって発生した損害
●以下に挙げる人が所有もしくは使用管理している物
・記名被保険者
・保険の対象となる車を運転している人、配偶者、父母、子ども
●記名被保険者の配偶者、父母、子ども
例えば車をバックしている際に、自宅の塀にぶつかり、塀が壊れてしまった場合は補償の対象外です。

対人対物無制限の必要性

対人対物無制限の必要性

ここでは、なぜ対人対物無制限が必要なのか、その理由について説明します。

対人賠償で保険金額を無制限にすべき理由

対人事故を起こした場合、車を購入したら必ず加入しなければいけない自賠責保険で支払われる補償もあります。しかし、自賠責保険には以下のように限度額が設けられています

自賠責保険限度額
●死亡:3,000万円
●後遺障害:4,000万円
●障害:120万円
(いずれも被害者1名あたり)
しかし、相手が死亡、もしくは後遺症を負わせてしまった場合には、法律上の賠償額が高額となり、最終的には自賠責保険の補償限度額を超えてしまうことも考えられます。その際には不足分を自分で支払わなければなりません。

具体的な補償額の例として、損害保険料率算出機構のデータから、人身事故における高額賠償判決例を3つ紹介します。

■人身事故における高額賠償判決例

判決年月日

態様(被害者)

認定総損害額

2011年11月1日

死亡(41歳男性・開業医)

5億2,853万円

2016年3月30日

後遺障害(30歳男性・公務員)

4億5,381万円

2017年7月18日

後遺障害(50歳男性・コンサルタント)

4億5,375万円

参考:損害保険料算出機構「2023年度版 自動車保険の概況(外部リンク)

このように過去には1億円を超える高額賠償判決例があることからも、対人賠償保険では保険金額を無制限に設定しておいた方が安心です。

対物賠償で保険金額を無制限にすべき理由

自賠責保険で補償されるのは対人賠償です。対物賠償は補償されません

そのため、任意保険で対物賠償に備えておく必要があります。もし対物賠償の備えが少なかった場合、余剰分は全て自己負担となってしまいます。

また対物賠償では被害を受けた物件の修理費用に加え、修理の間営業できなかった場合の営業補償も支払う必要があり、賠償金額が高額になる可能性は否定できません。

実際に過去にあった対物事故における高額賠償判決例を3つ紹介します。

■交通事故における高額賠償判決例

判決年月日

認定総損害額

被害物件

1994年7月19日

2億6,135万円

積荷の呉服や洋服、毛皮

1996年7月17日

1億3,450円

パチンコ店舗

1980年7月18日

1億2,036円

電車、線路、家屋

参考:損害保険料算出機構「2023年度版 自動車保険の概況(外部リンク)

対物事故でも1億を超える損害が出る可能性は十分にあります。そのためにも対物賠償保険でも保険金額は無制限にしておいた方が安心です。

保健金額を無制限にした場合の保険料について

保健金額を無制限にした場合の保険料について

対人対物無制限にした場合、保険料が高額になってしまうと不安を感じる人もいるかもしれません。

しかし基本的には対人賠償保険および対物賠償保険の保険金額を無制限に設定したとしても、保険料は大きく変わりません

一般的に1億円の保険金額を無制限にした場合の保険料の上乗せは年間1,000円程度です。この程度なら、少し保険料が上がったとしても、保険金額を無制限にしておくことで得られる安心感の方が大きいのではないでしょうか。

保険料を抑えることばかり考えて、結局自分で負担する金額が多くなってしまったら、自動車保険に加入している意味がありません。

もし事故が起きた際に自分で負担する金額を抑えるためにも、高額な賠償金額を請求された時に備え、対人賠償保険および対物賠償保険の保険金額を無制限に設定しておくことをおすすめします

対人対物無制限に関する注意点

対人対物無制限に関する注意点

対人対物無制限は、被害者側から請求された損害賠償額の全額が無制限で支払われるというわけではありません

あくまでも損害賠償責任の範囲での無制限だということに注意しておきましょう。

例えば、車同士での事故において対物賠償責任が発生するのは、車の時価額までです。そのため、対物賠償保険で支払われるのも最高額は車の時価額分までとなり、それ以上の修理費用がかかっても支払われません。

仮に自分が車を運転していて、前の車に追突したとします。

この場合の過失割合は10:0です。

この追突した車の時価額が50万円であるにもかかわらず修理費に70万円かかった場合差額の20万円は自分で負担しなければなりません。過失割合が9:1だった場合は自己負担が18万円になります。
無制限と聞くと、自分が負担する賠償額が全て保険金額でまかなわれると思われがちですが、そうではないことを意識しておく必要があります。

また、免責金額にも注意が必要です。

対物賠償保険では契約者が自己負担する免責金額を設定できるケースがあり、免責金額を高く設定するほど保険料は安くなります。ただし、その分事故を起こした際の自己負担額が増えてしまいますので、免責金額を設定する際は妥当な金額がどうかを考えてから決めるようにしましょう。

対人対物賠償は無制限の検討を!

いくら安全運転に気をつけていても、全く事故に遭わないとは言い切れません。ふとしたことが原因で、大きな事故につながる可能性は十分あります。

そんなときに頼りになるのが対人賠償保険対物賠償保険です。

車を購入すると、自賠責保険に強制加入させられるため、自賠責保険で十分と思う人もいるかもしれません。実際に最近では任意の自動車保険に加入していない人も見られます。

しかし、自賠責保険の保険金額は低く、補償として十分とはいえません。また。自賠責保険で補償されるのは対人賠償のみで、対物賠償は含まれていません。そのため、車を保有しているなら任意の自動車保険にも加入しておきましょう。

また、任意の自動車保険に加入する際には、賠償額が大きくなる可能性があることも考え、対人賠償保険および対物保険の保険金額を無制限に設定しておくことをおすすめします。

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