交通事故の示談書の書き方は?作成時の注意点も解説

交通事故の示談書の書き方は?作成時の注意点も解説

相手のある交通事故を起こしてしまったときは、まず、双方が話し合って和解を目指します。

このときの和解条件を明記した書類が示談書です。裁判に発展すると多くの労力と費用がかかるため、お互いの責任割合や損害額をもとに示談交渉を行うことをおすすめします。

本記事では、示談書の記載項目や具体的な記載例、作成時の注意点について解説します。
監修者
・森川 弘太郎 弁護士(第二東京弁護士会)
・坂本 玲央 弁護士(第二東京弁護士会)
※詳細ページ下部に記載

mokuji目次

  1. 示談書は、当事者間の合意内容を記載した書類
  2. 交通事故の示談書の記載項目
    1. 事故発生日時
    2. 事故発生場所
    3. 事故内容
    4. 当事者氏名
    5. 車両登録番号
    6. 損害額
    7. 責任割合
    8. 示談条件
    9. 署名・捺印
    10. 日付
  3. 交通事故における示談書作成時の注意点
    1. 合意後は示談内容を変更できない
    2. 清算条項は十分検討する
    3. 作成には適切なタイミングがある
    4. 当事者と代理人以外は示談交渉できない
    5. 自動車保険に加入すれば示談交渉のサポートを受けられる
  4. 交通事故の示談を適切に行うため、自動車保険に加入しよう

示談書は、当事者間の合意内容を記載した書類

示談とは、複数の人が関わる争いが起こった際に、当事者間の合意をもって問題を解決することです。

示談を行う際、和解の事実や和解条件などを明確にするために作成する書類を示談書と呼びます。

示談書は、交通事故のほか、刑事事件、契約違反、債務不履行、近隣トラブルといったさまざまなケースで作成されます。
示談書には、契約書としての法的効力はありますが、強制執行力はありません。

とはいえ、示談の交渉相手が自動車保険に加入していれば、示談金が支払われないといった問題は起こらないでしょう。

なお、トラブルが起きた際、公証人による「公正証書」を作成することもあります。
公正証書の作成には手間とコストがかかりますが、記載された支払いなどが行われない場合は強制執行を行うことが可能です。

交通事故の示談書の記載項目

交通事故の示談書の記載項目

交通事故の示談書について、具体的な記載項目と記載例を紹介します。
任意保険に加入している場合は、保険会社を通して示談交渉を行うことができます。

保険会社から示談書の用紙が送られてくるため、自分で書式を考える必要はありません。
自分で作成する場合は、ネット上のテンプレートなどを参考にするのがおすすめです。

事故発生日時

発生日時は、事故が起きた年月日とおおよその時間を記入します。
事故が起こったら、時間を記録しておくことをおすすめします。

事故発生場所

発生場所は、交通事故が発生した場所の住所です。
間違いのないよう正確に記入してください。

事故内容

内容は、事故の内容を具体的に記入しましょう。
示談書では、当事者を「甲」「乙」と記載し、甲と乙がそれぞれどのような状況で事故が発生したのかを具体的に書くことがポイントです。

当事者氏名

当事者氏名は、事故を起こした人物の氏名です。
「甲」「乙」として、それぞれに氏名を記入します。

車両登録番号

自動車登録番号は、ナンバープレートに記載された車両の登録番号です。
甲、乙それぞれが乗っていた自動車の車両登録番号を記入してください。

損害額

損害額は、事故で生じた修理費をはじめとする損害の額です。
甲、乙それぞれの金額を記入してください。

責任割合

責任割合は、事故におけるお互いの責任の度合いを割合で表したものです。
当事者や当事者の加入している自動車保険の保険会社が状況を調査して決定します。

示談条件

示談条件は、「甲が乙に◯◯円を支払う」といった条件のことです。
損害額と責任割合にもとづいて、示談条件の根拠を明確にしておいてください。

署名・捺印

署名・捺印は、甲、乙それぞれ必要です。
漏れがないか、必ず確認するようにしてください。

日付

日付は、示談書を作成した年月日です。事故発生日ではないため注意しましょう。

■交通事故の示談書の記載例
示談書

事故発生日時:◯◯◯◯年◯月◯日 午前◯時◯分頃
事故発生場所:東京都◯◯区◯◯1-2-3
事故内容:甲が◯◯をし、その後乙が××を行い、結果、◯◯となった。

当事者氏名・車両登録番号:
甲:氏名 自動車 一郎
  車両登録番号 品川333 お◯◯◯◯
乙:氏名 保険 次郎
  車両登録番号 前橋310 こ◯◯◯◯

損害額:甲 300,000円  乙 200,000円
責任割合:甲 70  乙 30
示談条件:甲は乙の損害額のうち14万円を負担する。乙は甲の損害額のうち9万円を負担する。双方の負担割合を相殺し、甲は乙に5万円を支払う。

署名・捺印:
日付:◯◯◯◯年◯月◯日
甲:住所 東京都◯◯区◯◯2-3-4
  氏名 自動車 一郎 (印)
乙:住所 群馬県◯◯市◯◯345-1
  氏名 保険 次郎 (印)

交通事故における示談書作成時の注意点

示談書についての認識が曖昧なまま手続きを進めてしまうと、不利な和解をしてしまう可能性があります。
交通事故の示談書に関する注意点を知っておきましょう。

合意後は示談内容を変更できない

示談書を取り交わし、双方が和解条件に合意した後は、基本的に内容を変更できません。

示談書を作成して双方が署名と捺印をすると、記載されている内容について合意したことになります。
後から「責任割合がおかしい」と気づいたとしても、主張が認められることはまずありません。

和解条件に疑問がある場合や、わだかまりが残る場合は、安易に示談書を取り交わさず、交渉を続けてください。

内容に問題がないかどうか不安なときは、保険会社の担当者や家族などに、問題がないか相談してみることをおすすめします。

清算条項は十分検討する

「清算条項」とは、示談が成立した後、被害者と加害者がお互いに示談書に記載されているもの以外、何か追加で請求することはしないという取り決めです。

示談書にこの条項を織り込んだ場合、後から別の損害が発覚したとしても、損害額などの請求ができなくなってしまいます。

車の故障などに関する修理費はすぐに算出できても、体の不調などは後から出てくる可能性があります。

しかし、事故の後遺症によるトラブルが生じたとしても、清算条項があると、原則として治療費などの請求ができません。

清算条項を加えるかどうかは、当事者間で十分話し合って検討してください。

作成には適切なタイミングがある

示談書は、当事者双方の損害の程度が明確になってから作成することをおすすめします。

交通事故の示談は損害額と責任割合に応じて決まる場合が多いため、正確な損害額がわからないままでは、公平な示談交渉をすることができません。

例えば、事故による通院が続いている状態で示談書を作成してしまうと、完治までに要した正確な治療費がわからず、本来よりも低い損害額で和解交渉を進められてしまう可能性があります。

そのため示談書は、治療などが終わり、双方の損害額が確定してから作成しましょう。

ただし、生命または身体に対する損害の請求については、5年の時効が定められており、物的な損害の請求については、3年の時効が定められているため、これを過ぎてしまわないよう、注意してください。

当事者と代理人以外は示談交渉できない

交通事故の示談交渉ができるのは、基本的に事故の当事者と、当事者から依頼された代理人のみです。

また、示談交渉を有償で代理または代行できるのは弁護士または保険会社だけです。
それ以外の第三者が金銭を受け取って示談交渉に参加するのは、違法となります。

交渉の場に当事者や保険会社以外の第三者が介入してきた場合は、どういう立場の人なのか確認が必要です。

報酬目的で保険会社でも弁護士でもない人物が示談に参加している場合は、退席してもらう必要があります。

自動車保険に加入すれば示談交渉のサポートを受けられる

自動車保険に加入すれば示談交渉のサポートを受けられる

示談交渉では、相手と過失割合や示談額について細かいやりとりが行われます。

個人で対応するのは負担が大きいと感じる人もいるでしょう。

自動車保険に加入している場合は、示談交渉のサポートを受けられますから、積極的に相談してください。

双方の保険会社を含めてやりとりすれば、客観的な視点が入り、冷静に過失割合などの話し合いを進めることができます。

示談書の雛形も用意してもらえますし、書き方なども質問できるので安心です。

交通事故や示談交渉は滅多に起こるものではありませんが、万が一起きた場合には大きな負担となります。

いざというときのために、サポートを受けられる体制を整えておくことをおすすめします。

交通事故の示談を適切に行うため、自動車保険に加入しよう

交通事故は、ただでさえショックの大きいものです。

混乱しているあいだに、不利な条件で示談書を取り交わしてしまわないように注意してください。示談を適切に行うためには、自動車保険に加入するのがおすすめです。

自動車保険に加入している場合、事故で相手を負傷させてしまったときの相手への補償は、保険会社が行います。

示談交渉も、保険会社のサポートを受けながら進められるので安心です。事故の相手も保険会社を利用していれば、よりスムーズに示談を進められるでしょう。

任意保険への加入は、金銭面のリスクに備えるだけでなく、示談交渉による心理負担の軽減にもつながるのです。

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森川 弘太郎 弁護士(第二東京弁護士会)

監修者 森川 弘太郎 弁護士(第二東京弁護士会)

東京弁護士法人 代表弁護士
IT法務、エンターテインメント法務、フランチャイズに特化した企業法務専門の法律事務所にて勤務した後、東京都内3拠点の法律事務所(新宿東口法律事務所、立川法律事務所、八王子法律事務所)を構える東京弁護士法人を設立。東京弁護士法人は弱点のない総合型法律事務所を目指し、各弁護士が個人向け業務・法人向け業務、民事事件・刑事事件問わず横断的に案件を扱いながら総合力を高めつつ、弁護士によって異なる得意分野を持つことで専門性もあわせ持つ法律事務所となっている。

坂本 玲央 弁護士(第二東京弁護士会)

監修者 坂本 玲央 弁護士(第二東京弁護士会)

東京都立川市に拠点を構える立川法律事務所(東京弁護士法人本部)にて、刑事事件・離婚・相続・交通事故等の個人向け業務から企業法務等の法人向け業務まで幅広い業務を取り扱っている。学生時代に長く野球に携わってきた経験から、その持ち前の体力を武器に、決して諦めず、お客様に誠心誠意真正面から向き合う姿勢を持ち続けることをモットーとしている。

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