判定!過失割合(2)自動車×自動車・バイク・歩行者…高速道路上や巻き込み事故時の過失割合

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 交通事故の当事者がとるべき責任の割合を示す「過失割合」。治療費や修理代など、発生した損害についてどう負担するのかを決める重要なもので、過去の交通事故の裁判例をもとに基準が決められ、さらに個々の事故状況を加味して最終的な割合が判定されます。
 今回は、自動車と自動車、自動車とバイク、自動車と歩行者といった当事者ごとに、高速道路上で落下物に衝突したケースや巻き込み事故といったシチュエーションの過失割合の例を見てみましょう。
基本となる過失割合/トラック60:後続車40
 高速道路で、大型トラックの荷台からこぼれた道路上の落下物は、重大事故につながりかねない危険なものです。普通に考えれば、物を落とした側が全面的に責任を負い、運悪く衝突してしまった後続車は、完全な被害者のようにも思えるもの。しかし、意外にも過失割合は「トラック(先行車)60:後続車40」と、後続車の割合も大きくなっています。

 同ケースでの過失割合は、落下物を避けきれず衝突した後続車に“軽度の前方不注視があった”という前提のもとに決められます。後続の運転者は前方を注視し、危険性を即座に判断して適切な回避措置をとれば、事故を防げるケースも多いからということ。

 ただし、後続車が視界不良や追い越し車線走行中、また二輪車だった場合には、過失は小さくなります。逆に、事故現場の200メートル以上手前から落下物が発見可能だった場合や、速度違反があった場合は、後続車の過失を増やすといった調整がなされます。
基本となる過失割合/自動車90:バイク10
 車を降りようとドアを開けたら、後ろからバイクが近づいてきていてヒヤリ……そんな経験をした方も多いのではないでしょうか。これは「安全不確認ドア開放等違反」という交通違反で、点数は1点、反則金は6000円。ドアを開けただけとはいえ、バイク側にとっては衝突、また避けようとして転倒するなど、いずれも死亡事故にもつながりかねません。そのために厳しい罰則規定が設けられていて、過失割合も自動車90:バイク10と、自動車側の過失が圧倒的に大きくなります。

 ちなみに、同乗者がうっかりドアを開けて事故になってしまった場合でも、運転者は過失ゼロではありません。「安全を確認しないで、ドアを開き、又は車両等から降りないようにし、及びその車両等に乗車している他の者がこれらの行為により交通の危険を生じさせないようにするため必要な措置を講ずること」が、運転者の遵守事項として道交法に明記されています。つまり、同乗者が安全確認をせずにドアを開けないようにするのは運転手の注意義務ですよ、というわけです。自動車損害賠償においても運転者の責任となりますから、十分注意してください。
基本となる過失割合/自動車100:歩行者0
 自動車と歩行者ともに青信号で進行していてこのような事故が起きた場合は、自動車側に全面的な過失責任が生じます。そのため、過失割合は「自動車100:歩行者0」。死亡事故になりかねないので、当然といえます。

 右左折時には、前輪と後輪による「内輪差」が生じるうえ、運転者から見えない「死角」もあります。そうしたことを十分考慮したうえで、バックミラーだけでなく目視による安全確認をすることが重要。最近、宅配便のトラックや路線バスなどは、右左折時に横断歩道手前で一旦停止するケースが多いですが、これも巻き込み事故防止のためです。プロの運転者の徹底ぶりを教科書とし、一般運転者も見習っていきたいものですね。

 事故状況によっては、当事者同士が過失割合に納得がいかず、もめてしまうこともあります。事故を起こさないよう安全運転を心がけることはもちろんですが、万一のときに不利な裁定をされないためにドライブレコーダーを設置する、といった自衛策も場合によっては有効です。

法律監修/
弁護士法人りべるて・えがりて法律事務所

制作協力/

株式会社マイト
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