車の自賠責保険の名義変更は必要ない?他人名義から変更する手続き方法を解説

車の自賠責保険の名義変更は必要ない?他人名義から変更する手続き方法を解説

中古車の購入や譲渡を行った際、自賠責保険の名義変更が必要かどうか迷うことはありませんか?

実は、自賠責保険の名義変更は義務ではありませんが、手続きをしないと予期せぬトラブルに発展する可能性があります。

この記事では、自賠責保険の名義変更が必要な理由から具体的な手続き方法、ケース別の注意点まで、必要な情報をわかりやすく解説していきます。

中古車購入やバイクの譲渡を考えている方は、ぜひ最後までご覧ください。

mokuji目次

  1. 自賠責保険の名義変更は必要?
  2. 名義変更をしないことによるトラブル例
    1. 更新案内が届かない
    2. 保険金請求手続きが煩雑になる
    3. 個人情報漏洩のリスクがある
    4. 保険証再発行の遅延が生じる
  3. 自賠責保険の名義変更手続き
    1. 名義変更手続きに必要な書類
    2. 名義変更手続きの流れ
    3. 名義変更手続きにかかる費用
    4. 名義変更手続きのタイミング
  4. 【ケース別】自賠責保険の名義変更の注意点
    1. 中古車購入時の場合
    2. 個人間での取引の場合
    3. 車検切れの車の場合
    4. 前名義人が死亡・不明の場合
    5. バイク(原付を含む)の場合
  5. 住所が変わったら自賠責保険の住所変更も必要
  6. 自賠責保険の名義変更は忘れずに完了しよう

自賠責保険の名義変更は必要?

自賠責保険の名義変更は必要?

自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)は、交通事故の被害者を救済する目的で作られた強制保険です。

法律で加入が義務付けられており、未加入の状態で公道を走行すると罰則の対象となります。

自賠責保険の大きな特徴は、対人賠償のみを補償範囲とし、事故で第三者が死亡したり、怪我をしたり、後遺障害を負った場合にのみ保険金が支払われる点です。

運転者自身の怪我や車両の損害は補償の対象とはなりません。

自賠責保険の名義は保険契約者を、車の名義は車の所有者を意味します。

一般的に保険契約者と車の所有者は同一人物ですが、車を譲渡されたり売却されたりした場合、両者が異なる場合があります。

法律上は、自賠責保険の名義変更に関する明確な規定がないため、変更しなくても違反にはなりません。

また、名義変更をしていなくても、有効期間内であれば事故の際の保険金は支払われるようになっています。

自賠責保険が運転者ではなく車に付随する保険であり、被害者救済を最優先とする制度のためです。

ただし、実際は名義変更を行うことが強く推奨されます。

更新案内が前所有者に届いてしまい、気づかないうちに保険期限が切れるリスクや、事故時の手続きが複雑になるなどの問題を防ぐためです。

名義変更をしないことによるトラブル例

名義変更をしないことによるトラブル例

自賠責保険の名義変更は法律上の義務ではありませんが、名義を変更しないことでさまざまな不都合やリスクが発生する可能性があります。

名義変更をしないことによる問題点として、以下が挙げられます。
  1. 更新案内が届かない
  2. 保険金請求手続きが煩雑になる
  3. 個人情報漏洩のリスクがある
  4. 保険証再発行の遅延が生じる
以下で、それぞれについて解説します。

更新案内が届かない

自賠責保険の契約期間が満了に近づくと、保険会社から更新手続きを促す通知が送付されます。

しかし、名義変更をしていない場合、更新手続きを促す通知が届くのは前所有者の住所です。

知人や親族であれば連絡をもらえる可能性もありますが、そうでない場合は更新時期を把握できず、気づかないうちに保険期限が切れてしまう事態に陥りかねません。

保険期限切れの状態で運転すると、1年以下の懲役または50万円以下の罰金、違反点数6点(免許停止処分)という重い罰則が科される可能性があります。

さらに、保険期限切れの状態で事故を起こしてしまうと、保険金が支払われず、高額な賠償金を自己負担しなければなりません。

保険金請求手続きが煩雑になる

自賠責保険の名義が実際の所有者と異なる状態で事故が発生すると、保険金の支払い手続きが著しく複雑になるでしょう。

保険会社からは名義が異なることについて説明を求められ、自動車の譲渡証明書や売買契約書などの追加書類の提出が必要となります。

このような書類の準備や提出には時間がかかり、保険金の支払いまでの期間が長引くかもしれません。

同様の問題は、自賠責保険の更新時や車を廃車にする際にも発生します。

個人情報漏洩のリスクがある

自賠責保険証明書には、以下の個人情報が記載されています。
  • 契約者の氏名
  • 住所
  • 証明書番号
  • 車台番号
  • 保険の契約期間
  • 自動車の種別
  • 保険料
名義変更せずに第三者に車を譲渡すると、前の所有者の個人情報が記載された証明書も一緒に渡るため、個人情報が漏洩してしまうでしょう。

特に、インターネットを介した個人間取引などで、面識のない相手に個人情報が渡るケースは要注意です。デジタル社会の現代では、個人情報が予期せぬ形で悪用される可能性も否定できません。

保険証再発行の遅延が生じる

自賠責保険証明書を紛失した場合、再発行には通常でも1〜2週間程度の期間が必要です。

名義が異なる場合は、前の契約者への確認作業が必要となり、さらに時間を要します。

自賠責保険証明書は運転時の携帯が法律で義務付けられており、不携帯は30万円以下の罰金対象です。

そのため、紛失してから再発行されるまでの期間は、車を運転できなくなってしまう可能性があります。

自賠責保険の名義変更手続き

自賠責保険の名義変更手続き

自賠責保険の名義変更は、比較的シンプルな手続きで完了できます。

ここでは、必要な書類、具体的な手続きの流れ、かかる費用、最適なタイミングなどを解説します。

名義変更手続きに必要な書類

自賠責保険の名義変更を行うにあたり、以下の書類を準備する必要があります。

自賠責保険の名義変更の必要書類一覧

  • 自賠責保険証明書
  • 自賠責保険承認請求書(譲渡人・譲受人双方の押印が必要)
  • 譲渡意思の確認ができる書類(自動車売買契約書や譲渡証明書など)
  • 保険契約者(譲渡人)の実印と印鑑証明書
  • 本人確認書類(運転免許証や健康保険証など)
譲渡人と譲受人の双方が押印する自賠責保険承認請求書は、保険会社の営業所窓口に用意されており、その場で記入・押印が可能です。

印鑑証明書は市区町村の窓口で取得できます。なお、マイナンバーカードをお持ちの方は、コンビニのマルチコピー機でも発行が可能です。

名義変更手続きの流れ

手続きの基本的な流れは、保険会社の営業所窓口で直接行うのが一般的です。ただし、仕事の都合などで窓口への訪問が難しい場合は、代理人でも手続きができます。

保険会社窓口での手続き

保険会社の窓口では、必要書類を提出し、その場で新しい自賠責保険証明書が発行されます。

事前に自賠責保険証明書で加入している保険会社を確認し、最寄りの営業所の場所や営業時間を調べておくとよいでしょう。

営業時間は平日の9時から17時頃までが一般的です。

代理人による手続き

代理人に手続きを依頼する場合は、委任状が必要です。

中古車販売業者や行政書士事務所などの代行業者に依頼する場合は、委任状があらかじめ用意されています。

親族や友人に依頼する場合は、国土交通省のホームページから委任状のひな形をダウンロードして使用するとよいでしょう。

名義変更手続きにかかる費用

名義変更の手続き自体は無料です。

ただし、必要書類の準備に際して費用が発生します。

印鑑証明書の取得には市区町村の窓口で300円程度の手数料がかかります。コンビニのマルチコピー機で取得する場合は、200円程度とやや安価です。

代行業者に依頼する場合は、別途手数料が発生します。

中古車販売業者の場合は諸費用に含まれていることが多く、行政書士事務所では1万円前後の手数料が必要です。

事前に手数料の確認をしておきましょう。

名義変更手続きのタイミング

効率的に手続きを済ませるには、車の購入時や譲渡時に名義変更を行いましょう。

中古車販売店で購入する場合は、車の名義変更と併せて自賠責保険の名義変更も行ってもらえるのが一般的です。

また、車検の時期に合わせて名義変更を行うのも効率的です。車検時は自賠責保険の更新も必要となるため、この機会に名義変更も一緒に済ませられるでしょう。

【ケース別】自賠責保険の名義変更の注意点

【ケース別】自賠責保険の名義変更の注意点

自賠責保険の名義変更は、車両の取得経緯や状況によって手続き方法や必要書類が異なります。

以下で、具体的なケースごとの特徴と注意点を解説していきます。

中古車購入時の場合

中古車販売店から車を購入する際は、販売店が自賠責保険の名義変更手続きも一括して行ってくれる場合がほとんどです。

購入時に車検が残っている場合でも、一般的に納車前に販売店が必要な手続きを代行します。

手続きの代行手数料は、諸費用に含まれている場合がほとんどです。

手続きの内容や費用について事前に販売店に確認しておくと、余計な心配や追加費用の発生を防ぐことができます。

個人間での取引の場合

個人間での取引では、自賠責保険の名義変更手続きを自身で行わなければなりません。

特にインターネットを介した個人間取引の場合は、売主と連絡が取りにくくなる可能性があるため、取引時に必要書類や手続き方法についての十分な確認が重要です。

先に触れたとおり、名義変更の必要書類である自賠責保険承認請求書は、譲渡人と譲受人の双方の押印が必要となるため、書類の準備と手続きのタイミングを事前に調整しておくと安心でしょう。

車検切れの車の場合

車検切れの車両は、道路運送車両法により公道での運転が禁止されています。

もし車検切れの状態で運転すると、30万円以下の罰金と違反点数6点、30日間の免許停止処分の対象です。

車検切れの車を譲り受けた場合は、まず車検を受ける必要があります。

自賠責保険の名義変更は、車検の際に一緒に手続きができます。

車検の際に名義変更をする場合、業者に依頼すれば一括して手続きを代行してもらえるため、効率的に済ませられるでしょう。

前名義人が死亡・不明の場合

前名義人が亡くなっている場合は、通常の名義変更に必要な書類に加えて、以下の追加書類が必要となります。
・除籍謄本
・登録事項等証明書
・名義人を変更した車検証
特に除籍謄本は、各市町村の役所窓口で申請する必要があり、手数料が750円かかります。

郵送での申請も可能な場合があるため、時間に余裕がない場合は役所に問い合わせるとよいでしょう。

バイク(原付を含む)の場合

排気量250cc以下のバイクは、コンビニで自賠責保険の加入や更新の手続きが可能です。

しかし、名義変更に関しては排気量に関係なく、保険会社の営業所窓口での手続きが必要となります。

バイク販売店や修理工場では手続きができないため、注意が必要です。

住所が変わったら自賠責保険の住所変更も必要

住所が変わったら自賠責保険の住所変更も必要

引っ越しなどで住所が変更になった場合、自賠責保険の住所変更手続きが必要となります。

自賠責保険証明書には保険契約者の住所が記載されているため、最新情報を保つのが重要です。

ほとんどの保険会社が、One-JIBAIというサービスでの住所変更に対応しています。

One-JIBAIは、自賠責保険に関する契約情報や手続きの簡素化を目指した便利なプラットフォームで、特に保険会社や自動車関連事業者にとって欠かせないツールとなっています。

Webサイトでの住所変更手続きに対応していますので、ホームページで確認しながら手順に沿って作業を進めましょう。

必要書類をスマートフォンで撮影し、手順に沿って進められるため、比較的簡単に住所変更できます。

自賠責保険の住所変更に必要な書類

  • 自動車損害賠償責任保険承認請求書
  • ナンバープレートまたは用途・種別、使用の本拠地の確認書類(住所変更と同時に変更がある場合のみ)
  • 契約者本人の確認書類(自動車損害賠償責任保険証明書を紛失している場合のみ)
住所変更をしないまま放置すると、保険の更新案内が旧住所に届いてしまい、気づかないうちに保険期限が切れてしまうリスクがあります。

保険期限切れの状態で運転すると法律違反となり、罰則の対象となる可能性もあるため、できるだけ早めに手続きを済ませるようにしましょう。

自賠責保険の名義変更は忘れずに完了しよう

自賠責保険の名義変更は法律上の義務ではありませんが、更新案内の未着や保険金請求手続きの煩雑化、個人情報漏洩のリスクなど、さまざまなトラブルを防ぐために重要な手続きです。

手続き自体は比較的シンプルで、必要書類を準備して保険会社の窓口に出向けば完了できます。

中古車購入時や譲渡時、車検時など、適切なタイミングで確実に手続きを済ませるようにしましょう。

また、万が一の事故に備えて、自賠責保険に加えて任意の自動車保険に加入するのも大切です。

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