脱輪(落輪)とは?安全に脱出する方法と事前対策、ロードサービスの活用法
特に狭い道や未舗装路では、タイヤが道から外れやすく、脱輪のリスクが高まります。
脱輪は多くのドライバーにとって焦りや不安を感じるトラブルですが、適切な対処法を知っていれば、落ち着いて安全に対応できるでしょう。
本記事では、脱輪の基本知識をはじめ、安全な脱出方法や事前の予防策、そしてロードサービスの活用方法まで詳しく解説します。
万が一の事態に備え、安全なドライブを楽しむためにぜひ参考にしてください。
目次
脱輪(落輪)とは?基本知識を理解しよう
安全に脱出するためには、まず脱輪の基本的な知識と対処方法を把握しておくことが大切です。
脱輪の定義と一般的なケース
最も多いのは、側溝にタイヤが落ちてしまうケースです。また、雪道や砂地でタイヤがスリップして動けなくなる「スタック状態」も、脱輪の一種です。
具体的には、以下のような状況が多く見受けられます。
・冬期の雪道や春先の砂地で、タイヤが空回りして動けなくなる
・狭い道路で対向車を避けようとして路肩に寄りすぎ、タイヤが道路から外れてしまう
縁石乗り上げとの違いとは?
縁石乗り上げとはタイヤが道路の縁石に乗り上げた状態のことで、脱輪はタイヤが道路から外れて落ちた状態のことです。
そのため、脱輪と縁石乗り上げのどちらが発生した場合でも、慎重な対応が求められます。
脱輪時に取るべき安全な対処法
慌てて行動すると、さらなる事故や被害を引き起こす危険性があるためです。
ここでは、脱輪時の基本的な対処法を2つのポイントから解説します。
脱出を試みる前に安全を確保する
- ハザードランプを点灯させる
- 自身の安全を確認しながら車外へ出る
- 車載の三角表示板を取り出し、車両の後方約50メートルの位置に設置する
- 使用可能な状態の発炎筒があれば、三角表示板の付近にあわせて設置する
特に視界が悪い場合や夜間は、発炎筒も併せて使用するとより確実に注意を促せます。
なお、同乗者がいる場合は、安全確保のためにガードレールの外側に待機させましょう。
プロに依頼すべき場合の判断基準
このような状況で自力での脱出を試みると被害が拡大する恐れがあるため、ロードサービスの利用をおすすめします。
JAFや自動車保険の付帯サービスでは、専門的な知識を持った作業員による、安全な救援作業が実施可能です。
クレーンやジャッキを使用するため、車体へのダメージを抑えつつ確実に脱出できるでしょう。
また、救援作業と並行して車両の状態確認もおこなうため、故障や損傷が見つかった場合はその場でレッカー移動の手配も可能です。
プロに判断と対応を任せることで、無理な走行による被害拡大を防げます。
自力で脱出する際の具体的な手順
その際は、脱輪の状況に応じて正しい脱出方法を選択することが大切です。
ここでは、自力で脱出する際のポイントや状況別の具体的な脱出方法について詳しく解説します。
状況に応じた脱出方法を選択
ハンドルを大きく切ってタイヤを側溝の壁に当て、その壁面を足場にとして利用する方法です。
特にSUVのオフロードモードが搭載された車両では、この機能を活用することでタイヤの空転を抑え、スムーズに脱出できる可能性があります。
脱出を試みる際は、ブレーキを軽く踏みながらアクセルを操作することで、タイヤの回転をうまく制御できます。
ただし、激しいアクセル操作は逆効果になるため、あくまでも慎重に対応しましょう。
ジャッキの使い方と注意点
まず、脱輪したタイヤ付近の安全な支点を探し、ジャッキを設置します。
この際、車両の状態によっては通常のジャッキアップポイントが使用できない場合もあるため、慎重に位置を選定する必要があります。
ジャッキを使用して車体を持ち上げたら、脱輪したタイヤの下に頑丈な板材を敷き入れてタイヤを支え、慎重に脱出を試みます。
急発進すると板を跳ね上げる可能性があり、危険なため、ゆっくりとアクセルを踏み込むのがポイントです。
ジャッキ作業は危険をともないます。経験の少ないドライバーは決して自力での作業を試みず、専門家に依頼することをおすすめします。
人手や牽引ロープを活用する方法
特に雪の多い地域では、雪道での脱輪を想定して牽引ロープを常備している車両や、牽引作業に慣れた方も多く、比較的協力を得られやすい環境にあります。
ただし、牽引作業は両車両の運転手の連携が重要です。不慣れな作業は事故につながる可能性があるため、十分に注意しましょう。
車を脱出させた後の初期点検
特に縁石に乗り上げた際は、バンパーやタイヤだけでなく、足回りにも影響が及んでいる可能性があります。
直進時のハンドルの違和感や駆動系、ブレーキ周りの異常がないか、慎重な確認が必要です。
自身で判断せず、整備工場で点検してもらうと安心です。
雪道や泥道での特別な対処方法
スタックラダーと脱出ボードは、雪道や泥道でスタックした際に使用する製品で、でこぼこした突起や網目構造が特徴です。
タイヤの下に敷くことでタイヤのグリップ力を高め、脱出を手助けしてくれます。
使用する際は、まず、脱出したい方向に近いタイヤ周辺の雪や泥を可能な限り取り除きます。
その後、駆動輪の前後にスタックラダーを設置し、ゆっくりと発進するという流れです。
四輪駆動車の場合は、前後進を小刻みに繰り返すのも効果的です。周囲の雪が踏み固められることで脱出しやすくなります。
ただし、急なアクセル操作はタイヤの空転を招くため、常に穏やかな操作を心がけましょう。
脱輪を防ぐための事前対策
必要な道具を事前に準備する
緊急時に必須となる三角表示板や発炎筒は、後続車への警告のため欠かせません。
さらに、車載ジャッキやスペアタイヤの点検も定期的におこなう必要があります。
寒冷地や砂地での走行が多い場合は、スタックラダーや脱出ボードなどの専用装備もおすすめします。
また、他車からの救援を受けられるよう、牽引ロープも準備しておくと安心です。
これらの装備は車両に搭載しておくだけでなく、使用方法を把握し、いつでも使用できる状態に保っておくことが大切です。
定期的な車両点検の重要性
タイヤの空気圧や摩耗状態、ホイールの損傷など、脱輪の際に負担がかかりやすい足回りを忘れずにチェックしましょう。
実際に脱輪や縁石乗り上げを経験した際は、整備工場で専門的な点検を受けることをおすすめします。
目視では確認できない部分の損傷や歪みが放置されると、重大な事故につながる可能性があるためです。
特に、直進安定性(ハンドル操作をしなくても車がまっすぐ進もうとする性能)は安定した走行に重要です。
ハンドルが取られたり左右に振られたりする感覚を覚えた場合は、すぐに点検を依頼する必要があります。
車両保険やロードサービスの確認
事前に内容を把握しておけば、いざというときも慌てずに対応できます。
例えば、ある保険会社の自動車保険では、落差1メートル以内の脱輪であれば無料でロードサービスを利用できます。ただし、落差が1メートルを超える場合や、クレーン作業が必要な場合は別途料金が発生することがあります。
また、JAFなどの専門的なロードサービスへの加入検討もおすすめします。
24時間365日の対応や、幅広い救援サービスを受けられるため、より安心できます。
加入した保険やロードサービスの連絡先は、車内のわかりやすい場所に必ず保管しておきましょう。
脱輪後の車両チェックと修理のポイント
ここでは、脱輪を経験したあとの点検や修理のポイントを紹介します。
脱輪した後の車両の確認ポイント
タイヤとホイールの状態を確認
軽微な傷であれば走行に支障ありませんが、深い傷や亀裂が見られる場合はタイヤが破裂する危険があるため、直ちに交換する必要があります。
点検の際は、タイヤの外側だけでなく、車体側(内側)も必ず確認しましょう。
自分で点検するのが難しい場合は、ガソリンスタンドやカー用品店などでの点検をおすすめします。
アライメントやサスペンションの影響を点検
脱輪によって衝撃を受け、車両の足回りに負担がかかると、アライメントが狂ったり、サスペンションがダメージを受けたりする場合があります。
これらふたつの部品が損傷すると、直進安定性の低下や燃費の悪化など、さまざまな不具合につながります。
通常の走行と比べて明らかに挙動が異なる場合は、早急にディーラーや整備工場で点検を受けましょう。
なお、アライメントの調整には通常1〜2万円程度、サスペンション全体の交換には10〜40万円の費用が発生しますが、安全な走行のために必要不可欠な投資といえます。
車両下部の損傷をチェック
ドライブシャフトブーツは、このドライブシャフトの一部を保護するために取り付けられているゴム製の部品です。
脱輪時の衝撃でこのブーツが破損すると、内部のグリスが漏れ出し、最終的にはドライブシャフト本体の故障につながる可能性があります。
ドライブシャフトブーツの異常は、目視で確認可能です。
ハンドルを左右どちらかにめいっぱい切り、タイヤの内側にあるドライブシャフトブーツが見えやすい状態にしてから、亀裂やグリスの飛び散りがないか点検しましょう。
早期発見であれば修理費用は1万円程度で済みますが、放置すると数万円規模の修理が必要になることもあります。
最悪の場合、走行不能に陥りレッカー移動が必要となる可能性もあるため、早めの点検がおすすめです。
ロードサービスの活用方法
緊急時の連絡手順と必要情報
そのうえで、車両の正確な位置情報を落ち着いて伝えることが大切です。具体的には、以下の項目を伝えるとよいでしょう。
・目印となる建物
・交差点名
・現場の状況
・視界の程度(特に夜間や悪天候時)
保険証券とロードサービスの連絡先は、いつでも確認できるよう車内に保管しておくのがおすすめです。
サービス内容の確認と活用例
・専用機材(ジャッキやクレーン)を使用した安全な脱出作業
・車両の損傷状態の専門的な確認
・必要に応じたレッカー移動の手配
脱出時に車体が受けるダメージを抑え、さらなる被害拡大を防ぐことができます。
ただし、サービスの範囲や費用は契約内容によって異なるため、自分の運転状況や想定されるリスクを考慮し、適切なプランを選択することが大切です。
ロードサービスが充実の自動車保険で脱輪に備えよう
日頃から必要な装備を車に搭載し、定期的な車両点検をおこなうことで、トラブルを未然に防ぎ、被害を最小化に抑えられます。
万が一の脱輪時も、慌てずに安全を最優先に考え、状況に応じて自力での脱出やロードサービスの利用を選択しましょう。
落ち着いて対応することで、さらなる事故や被害を防ぎながら確実に脱出できます。
安全で快適なドライブのために、本記事で解説した対策と点検の知識をぜひご活用ください。
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