交通事故の過失割合の決め方は?自動車同士や歩行者との接触など事例別に解説
この記事では過失割合の決め方と、事故の状況別の基本の過失割合、事故後の交渉などについて解説します。万が一自動車事故が起きてしまったときの参考にしてください。
目次
事故過失割合とは?
過失割合は損害賠償額の算定に直接影響を与える重要な要素です。
過失割合は誰がいつ決めるか
過失割合の決定の流れは、以下のとおりです。
- 事故状況の確認
- 基本過失割合の算出
- 修正要素の反映
- 双方の合意が得られれば、過失割合を決定
- 交通事故紛争処理センターでの調停
- 裁判所での民事調停
- 民事裁判による解決
過失割合の決め方
判断の基準となる要素は、以下のとおりです。
【基本の過失割合】
- 道路交通法上の優先関係
- 運転者の注意義務の履行状況
- 事故発生時の状況や環境要因
【修正要素】
- 信号や一時停止などの交通規制の遵守状況
- 前方不注意や速度超過の有無
- 天候や路面状況などの環境要因
- 事故回避の可能性
【状況別】交通事故の過失割合の考え方
自動車同士の事故
交差点内における直進車同士の事故
ケース | 過失割合の考え方 |
道幅が同じ場合 | 左方車40%:右方車60% |
一方が優先道路の場合 | 優先道路10%:非優先道路90% |
一方に一時停止規制がある場合 | 規制なし20%:規制あり80% |
交差点内におけるその他の事故
ケース | 過失割合の考え方 |
青色信号同士での対向車の事故(直進車と右折車) | 直進車20%:右折車80% |
右折車と左折者の事故 | 左折車30%:右折車70% |
右折で優先道路に進入する際の事故 | 優先道路直進車10%:右折車90% |
赤信号で進入してきた緊急車両との事故 | 一般車両80%:緊急車両20% |
車線変更の際の事故
高速道路における事故
ケース | 過失割合の考え方 |
合流地点での事故 | 本線車30%:合流車70% |
進路変更での事故 | 直進車20%:進路変更車80% |
後続車の追突事故 | 前方車40%:追突車60% |
Uターンの際の事故
駐車場などの出入りの際の事故
ケース | 過失割合の考え方 |
一方が左折で道路に入る際の事故 | 直進車20%:左折車80% |
直進車と対向右折車の事故 | 直進車10%:右折車90% |
駐車場内における事故
自動車と二輪車の事故
交差点内における事故
ケース | 過失割合の考え方 |
道幅が同じ道路の出会い頭の事故(二輪車が左方の場合) | 二輪車30%:自動車70% |
青信号の直進車と対向右折車の事故 | 直進二輪車15%:右折自動車85% |
左折巻き込みの事故 | 二輪車20%:自動車80% |
渋滞車両の間での事故 | 二輪車30%:自動車70% |
その他の事故
ケース | 過失割合の考え方 |
自動車のドアを開けた際の事故 | 二輪車10%:自動車90% |
Uターンの際の事故(自動車がUターン) | 二輪車10%:自動車90% |
自動車と歩行者の事故
横断歩道上における事故
ケース | 過失割合の考え方 |
歩行者の赤信号無視による事故 | 歩行者70%:自動車30% |
信号がない横断歩道上の事故 | 歩行者0%:自動車100% |
駐車場内における事故
高速道路における事故
その他の道路での事故
ケース | 過失割合の考え方 |
横断歩道以外で道路を渡る歩行者との事故 | 歩行者30%:自動車70% |
歩行者の左側端通行による事故 | 歩行者5%:自動車95% |
歩行者の左側端通行による事故 | 歩行者50%:自動車50% |
自動車と自転車の事故
交差点内における事故
ケース | 過失割合の考え方 |
自転車の赤信号無視の場合の事故 | 自転車80%:自動車20% |
自転車に一時停止規制がある交差点内における出会い頭事故 | 自転車40%:自動車60% |
道幅が同じ道路における出会い頭事故(自転車が左方の場合) | 自転車20%:自動車80% |
優先道路を走行している自転車との事故 | 自転車10%:自動車90% |
右折で優先道路に進入してきた自転車との事故 | 自転車50%:自動車50% |
駐車場などの出入りの際の事故
ケース | 過失割合の考え方 |
自動車が右折で道路に出た際の事故 | 自転車10%:自動車90% |
左折で道路に出た自転車との事故 | 自転車40%:自動車60% |
その他の事故
ケース | 過失割合の考え方 |
道路上で対向車とすれ違う際の事故 | 自転車20%:自動車80% |
道路上における自転車による障害物回避のための進路変更の際の事故 | 自転車10%:自動車90% |
交通事故後の対応と過失割合への影響
事故発生時の対応|警察への連絡・証拠の保全
事故発生直後は速やかに警察へ連絡し、状況を正確に伝えましょう。警察への届け出は、事故証明書を取得するために必要です。事故証明書は保険会社に事故を報告する際や、その後の示談交渉において重要な書類となります。
また、事故現場の状況の記録も重要です。具体的には、以下のような方法で証拠を保全しましょう。
- 事故状況の写真撮影:スマートフォンなどで事故現場全体や車両の損傷状況、道路状況を撮影する
- 目撃者の確保:近くに目撃者がいる場合は、氏名や連絡先を聞いておく
- ドライブレコーダーの映像の保存:ドライブレコーダーを搭載している場合は、忘れずに映像を保存する
保険会社とのやり取り|過失割合の交渉
保険会社との話し合いでは、以下の3点に特に注意が必要です。
- 感情的にならず、冷静に対応する
- 話し合いの内容は必ず記録に残す
- 納得できない場合は、示談を急がない
納得いかない場合の対処法|異議申し立て・弁護士への相談
弁護士への相談は、示談成立前であればいつでも可能です。特に以下の場合は早めに相談したほうが良いでしょう。
- 提示された過失割合に大きな不満がある
- 保険会社との交渉が平行線をたどっている
- 事故状況が複雑で判断が難しい
交通事故の過失割合を理解して適切な行動を心がけよう
過失割合の交渉では保険会社と慎重に話し合い、納得できない場合は専門家への相談も検討します。示談の成立後は過失割合の変更ができない点を事前に理解して、適切に判断しましょう。
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※本記事では一般的な例をもとに情報をまとめています。各社の商品やプランによっては当てはまらないケースもあります。
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