猫の歯石の原因は?歯周病のリスクと対処法を解説

猫の歯石の原因は?歯周病のリスクと対処法を解説

 猫は人間に比べて歯石がつきやすい動物です。正しくケアをせず猫の歯石を放置してしまうと、口臭や歯が抜ける要因にもなります。

 今回は、歯石ができる仕組みや、歯石の放置が招く病気のほか、家庭でできるケア方法を解説します。
ガイア動物病院 院長 松田唯

監修者 ガイア動物病院 院長 松田唯

北里大学獣医畜産学部卒業後、千葉県内と東京都内の動物病院で勤務。2019年7月、ガイア動物病院開設、院長となる。

※監修は医療情報についてのみであり、ペット保険への加入を推奨するものではありません。

mokuji目次

  1. 猫の歯石の原因
  2. 歯石が招く猫の病気
    1. 歯肉炎
    2. 歯周炎
    3. 歯槽膿漏
  3. 家庭でできる猫の歯石予防法
    1. 歯磨きをする
    2. 歯磨きアイテムやフードを活用する
  4. 猫に歯石ができたら動物病院での除去が必要
  5. 歯石ケアで猫の健康を維持しよう

猫の歯石の原因

@猫の歯石の原因

 猫の口を見たとき、歯に黄色または茶色がかった石のようなものがついていたら、それは歯石です。歯石の元となるのは、歯についた食べかす。口の中の細菌が食べかすを分解して、粘り気のある歯垢(プラーク)へと変えてしまいます。さらに歯垢を放置すると、石灰化してカチカチの歯石となるのです。

 食べかすや歯垢の段階であれば、歯磨きなどの口腔ケアをしっかり行うことで除去できます。ですが、歯石は文字どおり石のように硬く、歯にこびりついているため、家庭で除去することはできません。

 また、歯石の表面はざらついているため、食べかすがつきやすく、ますます歯垢・歯石が溜まるという悪循環となります。

 なお、人間の場合、歯垢が歯石に変わるまでには数週間かかるといわれますが、猫の口腔内はアルカリ性のため歯石に変わるスピードが速く、1週間程度で歯垢が歯石化します。猫の歯石を防ぐためには、人間以上にこまめな口腔ケアが必要なのです。

歯石が招く猫の病気

 石のような見た目の歯石ですが、実は細菌の塊。そのため、歯石を放置すると、細菌が歯の周辺の組織に感染して炎症を起こします。

 歯石が招く猫の病気といえば歯周病ですが、これは歯石による口腔疾患の総称です。歯周病は病状の段階によって、下記のように歯肉炎」、「歯周炎」、「歯槽膿漏」に分類することができます

歯肉炎

 歯肉炎とは、細菌により歯茎が炎症を起こし、赤く腫れている状態です。歯周病の初期の段階ですが、進行すると歯茎が衰えて、歯の付け根が見えるようになります。

 また、歯茎や舌などに、粘膜がえぐれたような潰瘍ができることもあります。

歯周炎

 歯周炎は、歯と歯茎のあいだの深い所まで炎症が広がった状態です。歯茎から出血したり、強い口臭を発したりします。また、痛みのために食事がとれなくなってしまうこともあります。

歯槽膿漏

 歯周炎がさらに進行すると、歯槽膿漏となります。これは、細菌が歯を支えている歯槽骨にまで達して、歯の根元の部分に膿が溜まっている状態です。さらに進行すると、歯が抜けたり、顎の骨が折れたり、口と鼻を分離している骨や頬の皮膚が溶けて、穴が空いてしまったりすることもあります。

家庭でできる猫の歯石予防法

家庭でできる猫の歯石予防法

 猫の歯石を放置してしまうと、取り返しのつかない事態にもなりかねません。そのため、普段から歯石を作らないための予防的なケアが重要です。ここでは、家庭でできる歯石の予防法についてご紹介します。

歯磨きをする

 歯石予防には、愛猫に歯磨きをするのが効果的です。とはいえ、いきなり歯磨きをしようとしても、嫌がる猫は多いはず。まずは、顔や口の周りにふれることに慣れてもらい、次に前歯に指でふれ、歯にさわれるようになったら口を開けることに慣れさせるといった具合に、段階を踏んで少しずつ進めていってください。1つステップが進むたびに褒めてあげるのも効果的です。

 口の中が見られるようになったら、いよいよ歯磨きです。歯ブラシを使うことを嫌がる場合は、飼い主の指に巻いて使う歯磨きシートや、指にはめて使う指サックブラシを使ってみましょう。

 歯磨きは子猫の頃から習慣付けるのが一番で、成長してからだと慣れるまでに時間がかかります。くれぐれも無理をせず、愛猫に合った方法で歯磨きを習慣付けていきましょう。1日に1回以上、食事の後に歯磨きができれば理想的です。

歯磨きアイテムやフードを活用する

 歯磨きがなかなかできない場合は、歯磨きアイテムや歯磨き効果のあるフードを活用する方法もあります。歯磨きアイテムとは、コットンやメッシュ生地、シリコンゴムなど、さまざまな素材でできた猫が噛んで遊ぶおもちゃです。猫がおもちゃを噛むたびに、歯に貼り付いた食べ残しや歯垢を取り除けるように作られています。

 歯磨き効果のあるフードとは、噛むことで歯磨き効果が得られるドライフードやおやつです。いつも与えているキャットフードに混ぜて使ったり、間食として与えたりすることで、歯磨き効果が期待できます。

 なお、猫の歯石除去をうたう「スケーラー」という器具が市販されています。金属棒の先端に小さな鎌状の刃がついた形状で、歯石の除去に用いられるものですが、これを使うには正確な技術が必要です。慣れない方が使うと、愛猫を傷つけることになりかねないので、あまりおすすめできません。

猫に歯石ができたら動物病院での除去が必要

 毎日丁寧に歯磨きをしても、歯垢を完全に除去することはできません。残った歯垢が歯石となってしまったときは、動物病院で除去してもらいましょう

 病院での歯石除去は、全身麻酔をかけた上で、超音波振動で歯石を除去する「超音波スケーラー」といった器具を使用して行います。歯と歯茎のあいだに隠れた歯石まできれいに除去することができるので、定期的に除去してもらうのがおすすめです。

 ただし、全身麻酔は高齢の猫にとって負荷が大きい場合があります。獣医師にご相談の上、決めてください。

歯石ケアで猫の健康を維持しよう

 猫は歯石がつきやすいため、毎日の予防的ケアが重要です。焦らず少しずつ歯磨きに慣れさせていき、毎日の歯磨きを習慣化してください。

 毎日歯磨きをしていてもできてしまった歯石は、動物病院で除去してもらいましょう。定期的に獣医師にチェックしてもらうことで、歯石のケアだけでなく、そのほかの病気が潜んでいた場合も、早めに気付くことができます。また、万が一大きな病気が見つかったときに備えて、ペット保険に加入しておくと安心です。

 オリコンでは、日本最大級の規模で調査を行い、毎年「ペット保険 オリコン顧客満足度ランキング」を発表しています。保険料はもちろん、ペットの種類別や精算方法別など、さまざまな視点でのランキングをご確認いただけますので、ぜひ保険会社選びの参考にしてください。

ペット保険 オリコン顧客満足度ランキング
ガイア動物病院 院長 松田唯

監修者 ガイア動物病院 院長 松田唯

埼玉県生まれ。北里大学獣医畜産学部卒業後、千葉県内と東京都内の動物病院で勤務。
2019年7月、ガイア動物病院(東京都杉並区)開設、院長となる。大学時代は医療の専門用語が苦手だったこともあり、治療法や薬について分かりやすく説明し、治療法のメリット・デメリットを理解して飼い主さまが選択できる診療を心掛けるようにしています。
ガイア動物病院(外部リンク)

※監修は医療情報についてのみであり、ペット保険への加入を推奨するものではありません。

ペット保険オリコン顧客満足度ランキング

オリコン日本顧客満足度ランキングの調査方法について

\ 4,448人が選んだ /
ペット保険ランキングを見る