自動車保険の長期契約を検証!3年契約は本当にお得なのか

  • 【画像】3年契約

自動車保険といえば1年ごとに満期が訪れて、その都度契約の更新もしくは乗り換えを行うのが一般的とされています、しかし、保険期間が1年以上の自動車保険も存在します。保険会社によっては、3年契約や8年契約といった長期契約も可能です。

長期契約にすることで保険料の割引を受けられるほか、事故を起こした時の保険料アップ、料率改定による保険料アップを一時的に回避することもできます。そのため、代理店型自動車保険を選ぶ際は、長期契約を検討する人も多いのではないでしょうか。

しかし、長期契約にもデメリットがあるため、知らずに契約してしまうと後悔するかもしれません。ここでは、自動車保険の長期契約のメリットやデメリット、等級や保険料の違いについて解説していきますので、自動車保険選びの参考にしてください。

自動車保険の契約期間は1年だけではない!2年契約や3年契約、最長8年契約も

長期契約は保険会社によって異なりますが、「2年契約」から「最長8年契約」まで選べます。長期契約は、一度契約をすると数年後に訪れる満期日まで更新手続きをする必要がありません。さらに、事故を起こした時の保険料アップを一時的に回避できる、長期契約割引を受けられるなどのメリットもあります。

2023年5月時点では、主に東京海上日動火災保険やあいおいニッセイ同和損害保険、損害保険ジャパン、三井住友海上火災保険などの代理店型損害保険会社で長期契約を取り扱っています。

1日自動車保険について

自動車保険の契約期間には、1年契約や3年契約・8年契約といった長期契約以外に、1日単位で契約できる「1日自動車保険」があります。

1日自動車保険は、友人や家族の車を借りて運転する場合に加入できます。保険料は1日あたり500円程度となっているのが一般的で、年齢による保険料の差はありません。また、最長7日間まで継続できるほか、パソコンやスマートフォン、コンビニなどで手軽に申し込めるのも魅力です。

ただし、自分が所有する車を乗る際に加入することはできない点や、補償内容が限定される点には注意してください。ごく短期間だけ自動車保険に加入したい場合は、1日自動車保険を活用しましょう。

自動車保険は1年契約と3年契約、どちらが得か

自動車保険の1年契約と3年契約の違いは、以下の通りです。

1年契約

3年契約

保険期間

1年

3年

契約手続き

代理店・ダイレクト(通販型)両方に対応

代理店のみ

補償内容

対人・対物賠償、車両保険など

対人・対物賠償、車両保険など
※1年契約とほぼ同じ

等級の進み方【事故なし】

翌年に1等級アップする

3年後に3等級アップする

等級の進み方【事故あり】

翌年から等級がダウンし、事故あり係数が適用される

保険期間中は等級の変更なし。契約更新時に等級がダウンする

保険料

事故の有無関係なく、1年間変わらない

事故の有無関係なく、3年間変わらない

長期契約割引

なし

保険会社によってはあり

ゴールド免許割引

1年ごとに適用

3年ごとに適用

特に大きな違いが出るのは「等級の進み方」「保険料」です。同じ保険会社で1年契約と3年契約を比較した場合についてそれぞれ見てみましょう。

等級の進み方

1年契約と3年契約では等級の進み方にどのような違いがあるのか、実例を見てみましょう。

仮に契約時の等級が「10等級」のケースで、1年契約を行った場合とします。この場合、無事故で1年経過すると次年度は11等級です。反対に、1度3等級ダウン事故を起こすと次年度は7等級になり、その後も事故がなければ2年後は8等級、3年後は9等級となります。

同様に契約時の等級が「10等級」のケースで、3年契約をした場合を見てみましょう。3年契約の場合、保険期間中の保険料は事故があってもなくても変わらないため、1年目は10等級相当の保険料、2年目は11等級相当の保険料、3年目は12等級相当の保険料となります。仮に事故があっても保険料が途中でアップすることはありません。

ただし、満期が訪れると事故があったことが次回の契約に反映されます。例えば1年目に3等級ダウン事故を起こしていた場合は、満期後に9等級となります。

このように事故があった場合は、1年契約でも3年契約でも4年目の等級に変わりません。しかし、3年契約の場合、事故の有無が等級に反映されるのが遅くなり、保険料アップを一定期間回避できます。

ただ、更新間際で事故を起こした場合(例えば契約3年目に3等級ダウン事故を起こしたケース)は、次の更新時にすぐ等級ダウンが反映される点には注意しましょう。

保険料

次に、代理店型A社を例に1年契約と3年契約の保険料を比べてみましょう。

契約条件

保険料

1年契約を3回更新した場合

1年目:5万2,770円 2年目:5万1,720円 3年目:5万650円 合計:15万5,140円

3年契約の場合

1年目:5万2,770円 2年目:5万690円 3年目:4万9,640円 合計:15万3,100円

※等級:15等級、車両保険:なし、人身傷害:3,000万円、対人:無制限、対物:無制限、年齢制限:26歳以上限定、運転者限定特約:本人配偶者限定
上記の場合、事故を起こさなくても3年契約の方が2,030円お得になる計算です。少しでも安い保険料で、代理店型自動車保険に加入したいのであれば、3年契約も選択肢に入れておくケースもあるので、代理店に保険料を問い合わせるといいでしょう。

自動車保険における長期契約の4つのメリット

自動車保険の長期契約には以下のように、保険料や更新手続きなどの面でさまざまなメリットがあります。
・契約期間中は保険料が上がらない
・事故を起こしても更新時まで等級が変わらない
・更新手続きの手間が減らせる
・一括払いで割引が適用される可能性がある

1.契約期間中は保険料が上がらない

長期契約をすると、事故による等級アップや保険商品の改定の影響を受けにくくなります。そのため、契約期間中に保険料が上がる心配はありません。保険料が長期間一定なので、家計管理もしやすくなるでしょう。

ただし、保険料が安くなるなど、契約者にとってプラスとなる改定が行われた場合でも、そのメリットを享受できない点には注意してください。

2.事故を起こしても更新時まで等級が変わらない

長期契約であれば、事故を起こして保険を使っても更新までは等級が変わらないので、保険料も変化しません。1年更新のように毎年保険料が変わることはないため、支払いの見通しを立てやすいメリットがあります。

3.更新手続きの手間が減らせる

自動車保険の更新手続きは、担当者と会ってプランを確認したり、書類を読み込んで署名をしたりと手間がかかります。長期契約ではそのような手間を省けるため、時間を節約できるのがメリットです。更新手続きを忘れて無保険になる心配も少ないでしょう。

ただし、長期契約をした場合も、記名被保険者の年齢や運転者の範囲が変わったなどがあれば必ず手続きをしましょう。完全に放置するのではなく、年に1回程度は補償内容に過不足はないかを見直しておくことをおすすめします。

4.一括払いで割引が適用される可能性がある

長期契約では、複数年分の保険料をまとめて支払う「一括払い」が可能です。その場合、割引が適用される可能性があります。まとまった出費となるため一時的な負担は増えますが、トータルで見れば大幅なコスト削減につながるかもしれません。

自動車保険における長期契約の4つのデメリット

自動車保険の長期契約はメリットばかりではありません。以下のデメリットがあることも理解した上で、1年契約とどちらを選ぶべきか判断しましょう。
・契約者の条件で保険料が下がる場合適用までに時間がかかる
・複数回事故を起こすと等級が急激に下がる
・仲介手数料により保険料が割高になるケースもある
・インターネットからの申し込みができない

1.契約者の条件で保険料が下がる場合適用までに時間がかかる

契約者の条件が変更されて保険料が安くなる場合でも、反映されるまでに時間がかかってしまうのが長期契約のデメリットです。

例えば保険期間中にゴールド免許を取得した場合や、年齢条件を変更できるようになった場合など、保険料が下がる要素がある時でも次の更新まで反映できません。1年契約であれば翌年からすぐに反映でき、割引を受けられるため、損をしたように感じることもあるでしょう。

2.複数回事故を起こすと等級が急激に下がる

長期契約にしたからといって、事故を起こした場合の等級アップを完全に回避できるわけではありません。特に保険期間中に複数回事故を起こしている場合は注意が必要です。

例えば3等級ダウン事故を3年続けて起こした場合、1年契約の自動車保険では更新する度に3等級下がります。ところが3年契約の場合、更新時にまとめて9等級下がるため、保険料が大幅に下がることになります。最終的な等級・保険料はどちらも変わらないものの、負担が急激に増えたように感じられるでしょう。

3.仲介手数料により保険料が割高になるケースもある

長期契約は、1年契約をした場合と比べると1年あたりの保険料が安くなる傾向があります。

しかし、これはあくまでも同じ保険会社で比べた場合の話です。そもそも長期契約を取り扱っているのは代理店型の保険会社のみであるため、代理店型の保険会社は人件費・店舗運営費などが保険料に反映されている分、ダイレクト型の保険会社と比べて割高な保険料が設定されている可能性があります。保険料だけを重視するなら、ダイレクト型の保険会社で1年契約をした方が安くなることもあるでしょう。

4.インターネットからの申し込みができない

1回あたりの手続きがやや大変になるのも長期契約のデメリットです。基本的に長期契約での自動車保険の加入や、長期契約からの乗り換えは、インターネットでの申し込みに対応していません。カスタマーセンターへの電話連絡や、代理店の店舗に足を運んでの手続きが必要となります。

3年契約の自動車保険を途中解約や契約変更する場合の注意点

3年契約の自動車保険を途中解約する場合、タイミングを見誤ると不利益が生じる可能性があります。また、契約変更の手続き方法の注意点についても知っておきましょう。

途中解約する場合

3年契約などの長期契約を途中解約することは可能です。ただし、途中で解約して他社に乗り換えたい場合は、ほとんどの保険会社が「始期日」ちょうどの乗り換えでなければ対応してもらえません。例えば「4月1日」に3年契約をスタートしたのであれば、2年目の「4月1日」や3年目の「4月1日」でなければ乗り換えられないのです。

また、途中解約する場合も乗り換える場合も違約金は発生しませんが、3年契約の2年目や3年目で解約した場合、等級が据え置かれることにより1年目の等級のままになってしまうので注意が必要です。

例えば15等級で3年契約をした場合、2年目や3年目は16等級17等級相当の保険料になりますが、途中で解約すると等級が据え置かれるため「15等級」とみなされます。

契約変更する場合

長期契約でも車を乗り換えたい、運転者限定を変更したいといった「契約内容の変更」は随時可能です。ただし、インターネット上で手続きをすることができないケースが多いため、代理店やカスタマーセンターに連絡をしなければなりません。

必ずしも3年契約がお得になるとは限らない。保険料以外のメリットにも着目しよう!

3年契約などの長期契約の自動車保険は、事故の際の保険料アップや保険料率の改定、補償内容の変更などの影響を一時的に回避するというメリットがあります。契約更新を毎年行わなくても済むため、3年間は手続きに煩わされることがありません。

その反面、途中で解約する際の手続きが煩雑になるほか、等級で損をするデメリットがあります。また、代理店型自動車保険のみが取り扱っているため、もともとの保険料が割高な傾向です。

保険料の安さという点から長期契約を選ぶのであれば、ダイレクト型自動車保険の見積もりも取得した上で検討しましょう。ダイレクト型を選択した方が、保険料が安くなるケースがあります。それでも長期自動車保険を選びたいという人は、デメリットもしっかりと理解した上で、契約をするようにしましょう。

この記事の監修者:酒井 富士子

  • 監修者:酒井 富士子

    監修者:酒井 富士子

経済ジャーナリスト/金融メディア専門の編集プロダクション・株式会社回遊舎 代表取締役。日経ホーム出版社(現日経BP社)にて「日経ウーマン」「日経マネー」副編集長を歴任。リクルートの「赤すぐ」副編集長を経て、2003年から現職。「お金のことを誰よりもわかりやすく発信」をモットーに、暮らしに役立つ最新情報を解説する。

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自動車保険選びのポイント

任意保険には、対人・対物賠償や人身傷害補償、車両保険などさまざまな種類があります。事前にチェックして重視する補償を決めることが大切です。

自動車保険会社は、ダイレクト系と代理店系の2つに大きくわけられます。双方のメリット・デメリットをきちんと踏まえて選びましょう。

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